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【15回連載! インタビュー企画 Vol.3】 〜インターン生から、インターン生達へ〜

ようびでは、地域人材の育成や、ものづくり、ブランディング等について実践的に学ぶことができるスクール事業やインターンシッププログラムをコーディネートしています。

そんなようびの様々なプログラムに、インターン生として参加してくれた就実大学・教育学部3年の由藤さんが、
同じようにプログラムに参加された他のインターン生や、事業者様 に、学生ならではの視点でインタビューをしてくれました。
現在連載で記事をお届けしています。
ぜひご覧くださいませ。

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今回インタビューさせていただいたのは、ようびがコーディネートしている、「京もの担い手育成事業」に昨年度参加された事業者様の1組である、「蘇嶐窯」の涌波まどかさん・蘇嶐さんご夫婦

京もの担い手育成事業のインターンシッププログラムでは、京都の若手伝統産業職人さんが抱える課題をインターン生と一緒に解決するワークショップを実施しています。

蘇嶐窯はご夫婦で営まれており、京都の清水焼と福岡の小石原焼の技術が融合された作品からは、他にはない美しさが感じられます。

そんな蘇嶐窯ができたのは7年前。その背景には、次の担い手となるお子さんへの想いが強くありました。

――プログラムに参加したきっかけや理由を教えてください

(まどかさん) 2年前に、京都市役所の方から教えていただき、このプログラムを知りました。ブランドの今後に悩んでいたので、客観的な意見を求めて応募しました。
その時は残念ながら選外だったのですが、その後、ようび代表の大島さんから丁寧なお手紙をいただいたんです。それがすごく嬉しくて!
今年もこのプログラムが開催されることを知って、「チャンスだ!」と思い、応募させて頂きました。

――プログラムの中で1番印象に残っているワークは何ですか?

(まどかさん)「ものの考え方のワーク」ですね。学生さんたちにも、私たち社会人にとっても、すごくためになるお話でしたし、大島さんが仰っていた「なんでも面白がる力が大事」という言葉が印象的でした。「思考の偏り」に気づかされ、「ものの考え方の基礎」を学ぶことができたと思います。

(蘇嶐さん) 僕は「ステークホルダーマップ」の作成ワークが1番印象に残っています。事業を取り巻く人たちとの関係性のマップを実際に作ることで、現状が明確になり、今まで自分たちがやってきたことの分析ができたので、すごくためになりました。

――参加する前と後で何か変化はありましたか?

(まどかさん) 「心構えや視野の広さ」が変化したと思います。大島さんやインターン生たちと関わり、繋がったことで「新しい世界が広がった」気がします。

(蘇嶐さん) 僕も似たようなことなんですが、普段仕事をしているだけでは知らなかったことがたくさんあって・・・。「いろんなものに興味を持てるようになった」と思います。

――ブランド「蘇嶐窯」ができた経緯を詳しく教えてください。

(まどかさん) もともと夫が、京都で4代涌波蘇嶐という陶芸作家として活動していて、そこへ私が、福岡の小石原焼という窯元から嫁いできました。

最初の10年は夫の仕事をサポートする仕事に徹していたのですが、なかなか陶芸で作家として食べて行くのが厳しくて。子どもを育てていく中で、「このままで大丈夫かなあ」という将来への不安があったんです。

そんな中、息子が小学校低学年の時に、早くも「おれが5代目を継ぐ!」と言ってくれて・・・。だけどその後「陶芸で食べていくのは厳しいし、何のバイトしようかな?」と言っていたんです。

「継ぎたい」と思ってもらえているものの、「陶芸の世界は厳しい」とも思われていることがショックでした。だからこそ、このままではいけないと思い、「いかに良い形で次世代にバトンを渡すことができるか」について夫婦で話し合いました。

その頃、周囲の人から「違う産地の技術を持つ二人が同じ仕事をしているのって珍しいね」と言われることが増えて、「私達にしか出せない世界観があるんじゃないか」と考えるようになりました。

そこで、4代涌波蘇嶐とは別に、夫婦で違う産地の技術を融合したブランド「蘇嶐窯」を7年前に立ち上げました。

――作品に対するこだわりや強みを教えてください。

(まどかさん)
違う産地の技術を持つ2人が一緒に制作しているので、「それぞれの技術が詰まっているところ」が強みです。私の実家の民芸の技法である「飛鉋」という技法を、夫が初代から守り継いていた茶道具などで使われる「青磁」という青い器と掛け合わせて、「青磁飛鉋」という、全国で自分たちでしか作れないものを生み出すことができました。

――個人的に蘇嶐窯さんの「縄文シリーズ」がすごく好きなのですが、このシリーズはどのように誕生したのですか?

(まどかさん) 息子の夏休みの宿題がきっかけです。息子が3年前に夏休みの宿題で「火焔型土器」を作りたいと言い出して・・・。でも私も夫も縄文土器のことを全く知らなかったので、調べてみたんです。

すると、縄文土器の造形の美しさに、陶芸を始めて20年目にしてハマってしまったんです!「1万年以上前の技術で、こんなにすごいものが作れるなんて!」というリスペクトが生まれました。

その後、息子と手びねりで作っていた「土偶」をSNSに投稿したらすごく反響があって!それを見た方から東京での個展のお話をいただいたことも大きいですね。これをきっかけにいつの間にかあれよあれよと作品が増えていきました!

こんな風に息子や娘が新しい気づきや視点を教えてくれて・・・それも新しいアイデアにつながる1つですね。

――あなたにとって、一番大切な「価値」は、何ですか?

(まどかさん) 「人とのつながり」ですね。これがひとえに、ものづくりの先にも後にもつながるし、人生を豊かにするという意味でも重要だと思うので・・・。この7年間それに支えられてきたという実感もあるので、そこに価値を感じます。

(蘇嶐さん)僕は「蘇嶐窯自体」かなと思います。蘇嶐窯ができたからこそ、今回のプログラムや雑誌の取材などいろんなことに参加して多くのつながりができましたし、作家活動だけではできなかったことを体験させてもらったことは、僕にとってすごく価値だなと思います。

――今後の目標や展望を教えてください。

(まどかさん) 実は・・・いろんな取材で毎回この質問を聞かれるんですが、いつも答えられないんです(笑)。次はこういうのをしたいとか、こういう目標がある、というのがあまりなくて・・・

(蘇嶐さん) 具体的な目標があるというよりは、「私達だから・蘇嶐窯だから」と持ってきてくださる仕事を1つずつちゃんとやることで、新しい可能性やつながりを大切にしていきたいですね。その新しい可能性やつながりが未来につながるというイメージです。

(まどかさん)どれだけ忙しくても「1つ1つのものと丁寧に向き合いたい」という気持ちを、今後も忘れないようにしたいですね。

蘇嶐窯様の工房には、「京もの担い手育成事業で学んだことを忘れないように」と、学んだことを記した紙を貼ってくださっていました。
インタビュー中、ご夫婦仲睦まじく、お互いの顔を合わせて笑いあう姿も見られました。
個人的に好きな「縄文シリーズ」の誕生秘話も聞くことができ、とても嬉しく、楽しいインタビューでした!
涌波まどかさん・蘇嶐さん、今後もたくさんの素敵な作品を楽しみにしております!
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ご自身のブランドについて、客観的な視点を求めて「京もの担い手育成事業」に参加されたとお話しされる蘇嶐窯様。
プログラムを通じて、現状の理解や分析ができたこと、インターン生たちとの繋がりができたことなどを喜んでいただけているようで、とても嬉しく思います!

京もの担い手育成事業について
https://jirei.youbi.me/2022/03/31/1667/

※できるだけプログラム参加者様の思いや言葉をそのままお届けしたいという考えから、インタビュー内容についてはほぼ未修正で掲載しています。

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