口先女。
下を向く小学3年生の私。
担任の女性教諭は吐き捨てた。
「この口先女」
忘れ物もよくした。算数が苦手で文章題のドリルの宿題はドリルを忘れたと言い訳して出さなかった。私以外の提出された文章題約30冊で思い切り殴られた。
そして、思い出したくなかったあの日。
隣に座っていた男の子は、その頃の私には理解しづらく苦手だった。テスト時間に筆箱を忘れたその子に鉛筆を貸すかどうかの分かれ道。周りに座っていた友人達が口を揃えて言う「貸さなくていいよ」
貸さなかった。テスト時間中ずっと罪悪感が重くのしかかったけれど。
そしたら自分には重い重い罰が待っていた。
次の授業時間。
クラス全員が見る前で立たされた私は、足を踏ん張らなければ立っていられないくらい、ひたすら先生に叩かれていた。その後の事は記憶にない。自分がその場から、いや、この世から消えたかったことだけは覚えている。
「この口先女」
何度も何度も先生にその名で呼ばれた小学3年生の私は今、先生と呼ばれ小学校の教壇に立つ。
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