見出し画像

5番のウエットスーツおばちゃん

昨今、写真を撮る為だけの行動が多い。
それじゃあ、全部写真に収めて終わりではないか。
実際それ以降が大切なのに。
だからこそ、撮影禁止の場所に行ってみたいと私は思う。
カウンター・カルチャー。
そして、写真に残せないからこそ、それを五感に焼き付けて、自分の考えを巡らそうと思う。


初、あかすり。


新大久保にある24時間営業女性専用のあかすりの店に行った。
スーツケースのまま直で向かった。
中の様子は見えなくて、入るまでの勇気はひとしお。

受付のお姉さんは全員韓国の方で、日本語が少し不自由そうだった。
最初にメニューを選択する。
「初めて来たんですけど、どうすればいいですか?」と聞けば、だいたいどうにかなる。
これを言えばだいたい優しく教えてもらえる。
これを言わないから、知ったかぶるから失敗するんだ。
エステとあかすりで1万円くらいだったと思う。
3時間コースだったかな。
女は大変だなと思う。


進むとロッカーがあって、そこで着替える。
利用者も外国の方が多かった。
専用の館内着に着替えるんだけど、どこからが始まりなのかわからない。
あかすりの場所も何もかも。
不安すぎて、着替えるのに40分くらいかけてしまった。

2階に上がると、サウナと銭湯があった。
そこでやっと全裸。
わからんし、怖いな。

あかすりの前にゆっくりサウナと湯船に浸かるよう指示があったので、ずっと入っていた。

次々にウエットスーツの韓国のおばちゃんが番号を呼んでいく。
最初に渡された番号札に沿って呼ばれていく。

1時間近くしてから、韓国のおばちゃんが私のところに来た。

銭湯の奥の仕切られた場所に連れて行かれて、寝かされる。
いや、本当に寝かされて始まるまではドキドキする。
どうやったって、恥ぃ〜〜〜が勝つじゃん。

緊張してると、おばちゃんが片言で
「お仕事大変ですか?」
と聞いてきた。

「学生なのでお仕事はないですけど、大変ですね」と答えた。

ちょっと安心した。
あー、ちゃんとした人だ。

おばちゃんはあかこすりをすると、
「ほら!ちゃんと出てるでしょ!」
とあかを触らせてきた。
自分のかはわからないけど、ちゃんと教えてくれるのありがたいね。

そして、あかすりが終わると一旦休憩で、また湯船に浸かる。
湯船にいたら、おばちゃんが来て
「これあげる!水分取らないとね!コーン茶!」
と渡してきた。
コーン茶初めて飲んだ。
あまりに味はわからなかったけど、優しいなと思った。

そして、また呼ばれて横になる。
今度はエステが始まる。
わからないけど、良いらしい。
終わり頃、おばちゃんが急に口に粘度の高いものを垂らしてきた。
殺されると思った。
そして、
「舐めて!食べて!ほら!」
とおばちゃんは放った。
死ぬと思った。
優しいと思って信じたら殺されるんだと思った。
恐る恐る舐めてみると、最初味がしなかったけど、だんだん甘さを感じてきた。
ハチミツだった。

良かった〜、食べ物で。

何も言われず目を瞑った状態で口に何かを乗せられるのは死を覚悟する。

結局、終始ただの優しいウエットスーツおばちゃんで良かった。

最後に強めに
『5番ね!次、5番!』
と言われ、
「?」
をでかめに浮べといた。

本当に何のことかわからなかった。
銭湯を出て、外のパネルにその答えがあった。
パネルには、それぞれおばちゃんたちに番号が振ってあり、次に来る時に指名してくれってことだと分かった。

また会いに行ってあげたいなと思った。

その後肌の調子が良かったかと言われれば、別にこれといって変わりはなかった。
それでも、5番に会いに行きたいとは思う。


5番ね!5番!


#行ったことない場所 #撮影禁止 #ルビーパレス #RUBYPALACE #新大久保 #女性専用サウナ #人生 #エッセイ

お金よりもスキしてくれるとスキ