見出し画像

好きなバンドが響かない

こんなに悲しいことはない。
今まで大好きだったのに。
少し前から新曲が出るたびに、「うーん、前の方がいいけど、これが今の彼らなんだから受け入れるか」という妥協と次への期待で、この曲いいかも!と言っていた気がする。
けど、今回はなんだこんなもんか。と思ってしまった。
ジャケ写があまり好きじゃなかったこともあるし、誰かが「あの子で勝手に“実写化”されてしまった」と言っていて、なるほどと思った。
今までのジャケ写は知らない人ばかりだったのに、今回は知ってる人が写っていてなんだかなと思った。
私のイメージはお前じゃない。
それでいて、ドラマで何度もふわっと聴いていたり、その間にも歌詞を読んでいたり、ジャケ写が出たり、音楽として聴く前の段階が多すぎたのかもしれない。
音に乗った途端に、なんだこれ?と思ってしまった。

歌詞がとても面白いのに、結局言葉の意味より音が優先されてしまっている感じがした。
今までは言葉の意味の上に音が乗っていたのに、今回は反対の感じ。
音の上に意味をつけてる。
こんなんじゃ何も伝わらないよ。
言葉遊びだってことはわかるけど、前はこんな曲出さなかったよ、きっと。
ちゃんと意味を伝えようと、隣に居ようとしてくれた感じがしたんだけど、今回は横にいるけど、ただ並列で歩いてるだけ。
街の人って感じ。
ああ、あの人は知らないな。でも、同じ速度だな。
という感じ。

苦しみを共有してくれてた人が遠い。
自分の苦しさを半分こしてくれてたのに、
自分の苦しさを半分持ってくれてたのに。
あの人誰?って。
独りの夜に突き放したり、同じく独りで居てくれたりしてくれてたのに。
壁の向こうで背中合わせのような感じが勝手にあったんだけど、これは本当に勝手だな。
情けなくてどうしようもなくて、結局独りで。
それでも、一人が独りじゃないという感覚にさせてくれた。
あんたがいてくれたから、どうしようもない夜を越えられたのに。
どこにも行かないでくれと言ったのは、お前だろ。

今までは音楽が小説みたいだったのに、物書きを始めてからは、音楽が音楽になってしまった。
それは音楽だから本来の姿だし、そりゃそうなんだけど、そうなってしまったら、私はてめぇに用はねぇのよ。
音楽っぽくないから、私を掬い上げてくれてたのに、音楽になってしまったら、他の音楽と変わらないじゃないか。
意味無いよ。
小説みたいな音楽が好きなんだよ。
物書きとしての欲求をそっちで満たせてしまっている。
小説に文字を取られてしまった。
感情剥き出しでも、文章として成り立ってたじゃないか。
私は彼らの音楽が好きなんだよ。
好きでいたいんだよ。

自分が変わってしまったのか?
変わってしまったのかもしれない。
10代や大学生の頃と同じ感性ではいられないのか?
私がおかしいのね?

音楽みたいな音楽を聴いて初めて、彼らの良さに気付いた。9年。
ダメなものも見ないと、良いものって本当は見えてこないという真意がわかった。

凄くモヤモヤしている。
きっとこんな感情もしょうもない。

私から言わせれば、あんな曲、しょうもな。

#私の好きなバンド #エッセイ #バンド #新譜 #新曲

お金よりもスキしてくれるとスキ