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大親友に彼氏ができて大泣きした話

こんにちは、中桐ユウといいます。

突然ですが、みなさんは自分の友だち(同性)に彼氏ができて大泣きしたこと、ありますか?たぶん、なんとなく寂しくて、とか、片思いが実って自分のことのように嬉しくて、とか、そういった理由で泣いたことがあるかもしれません。

きょう書こうとおもうのは、失恋の話です。彼氏のほうに、ではありません。大親友(同性)のほうです。そっちかいって思ったらすみません、そっちです。

ふたりきりの世界

小学校のころからずっと仲の良かった女の子がいました。ここではムギという名前にします。ムギと私は一心同体でした。中学校になっても、ずっと一緒にいました。学校帰り、別れるのがさびしくて、遠回りをしたり、ダストボックスのうえ、野原、木陰、最後の最後の交差点で座りこんだりしていました。真っ暗になっても、制服のままずっと座りこんでいたので、パトロールにきた先生によく注意されていました。

自分たちの関係が、なんとなく友人関係を超えたナニカだと、お互いに思っていました。友達以上、恋人未満、よくわからないけど、他の人の入る隙間のない、どこか秘密めいた、2人きりの世界でした。

私とムギの関係が変わったのは、中学校を卒業したときでした。私は進学校へ、彼女は音楽学校へ行きました。当時はLINEなどもなく、メールでやりとりをしていました。高校生になってからも、2人で会っていました。

それぞれの世界

それが半年くらいすぎて、だんだんと、互いに連絡をとらなくなっていきました。中学校まで私たちが2人きりでいられたのは、文学がすきな私と話が合うのはムギだけだったし、ムギのすきな芸術の話ができるのも私だけだった、ということもあったのでしょう。それぞれが進学すると、私の学校には文学の話ができるあたらしい友人たちがいて、ムギの学校には芸術の話ができるあたらしい友人たちがたくさんいたのです。

音楽学校にいって、それまで私以外とほとんど話すことのなかったムギが、水を得た魚のようにかがやいて、生き生きとして音楽に耽っているのをみて、嬉しいような、寂しいような、どす黒い気持ちすらもありました。そんな自分を、なんて性格が悪いんだろうと、ずっと思っていました。

かわった日

なんのきっかけだったのか、これといって大きな出来事があったわけではありません。たしか、たまたま学校帰りに最寄り駅で出くわすことが増えたとか、そんなきっかけだったとおもいます。ムギと連絡をとり、よく会うようになりました。お互い実家暮らしでしたが、部屋でこそこそ布団に入ったり、親のいないときに会ったり、相変わらずちょっと「ヘン」な距離の関係をつづけていました。またムギと2人きりの世界にもどったような気がしました。

あるとき、ムギからメッセージがきました。

「彼氏ができた!^^」

・・・で、できた?何が?あ、かレシか・・エッかれ・・彼氏?え?

そのあとどう返したのか、よく覚えていません。多分おめでとうとか、私も嬉しいとか、なんかそんなようなことを返したんだと思います。帰り道、貯水池の横、枯れたススキの道をあるきながら、気がついたらボロボロと涙があふれて、何で自分が泣いてるのか、悲しいのかなんなのかも全然わからなくて、「かれし」という3文字を口のなかで反芻していました。そしてようやく、「私はムギのことがすきだったんだ」と気づいたのです。すとんと胸に落ちました。

あっさりとした、どうしようもない、失恋でした。

大親友は恋人にはなれない

ふたりきりの世界だと思ったのは、友人以上恋人未満の秘密の関係だと思ったのは、他の何にも替えがたい存在だと思っていたのは、私だけだったんだと思いました。(とても失礼な言い分ですが)どこの馬の骨ともしれない歳上の男に、何年も何年もずっと一緒だったムギはとられたんだ、私だけこんなどす黒い想いをかかえていたんだ、と思いました。このとき、自分が同性をすきになったことの違和感はほとんどありませんでした。ムギが、ムギだけが特別なんだと思っていました。

でも、どれだけ仲がよくても、親友は恋人にはなれない、ということを知りました。なんで親友は恋人じゃダメなんだろう?親友と恋人の違いってなんだろう?なんでムギは馬の骨を選んだんだろう?・・・ということを聞けるはずもなく、ぼんやりとしていました。

このあと私とムギはまた色々なことがあるのですが、きょうはここで終わります。

すきになってはじめて「同性愛」に気づいたきみへ

レズビアンの友人たちのなかには、「生まれつきレズビアンだった」、「幼稚園のころから気づいていた」という子もいます。そしてその子たちは、その子たちなりの痛みを抱えてきたと思います。一方で、私は自分が女の子をすきになるなんて思いもよらなかったし、高校生になったらきっと好きなひと(男)ができて、恋人(男)ができることもあるんだろうな〜今はないだけで!と思っていました。ムギは、ムギは・・・よくわからないけど、特別なんだと思っていました。

でもたぶん、すきになること/ならないことは、自分でどうにかできるものではないです。なってしまったものはしょうがないです。なんですきになったのかなんて、こっちが聞きたいです。

高校生、まわりの友達はみんな他のクラスのかっこいい異性の話をしていて、みんなの話に全然ついていけなかったり、自分も「この男の子のことがすきなのかもしれない!すきにちがいない!」と思ったり、誰にも相談できなかったり、戸惑うことがたくさんあるかもしれません。これまでまったく気づかなくて、はじめて同性をすきになったことに、何より自分で自分に戸惑っているかもしれません。

みんなそれぞれに状況はちがうので、一概にどうしたらいいとかは言えないです。なんの責任も負えません。

でもひとつだけ共通していえる、どこかの誰かに伝わって欲しいのは、

自分だけは自分を認めてあげてほしい

ということです。あなただけは、どうか、自分の気持ちを認めてあげてください。


きょうはここまで!解散!(パンパン)


注:この話は、一部フェイクを入れています。どこかでズレがあったらすみません。

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