日々007

地獄には閻魔様と呼ばれる裁判官が居るらしい。
悪行を重ねたものは、舌を引き抜かれたり大鍋に放り投げられ茹であげられると聞いたことがある。
最近は、よくないニュースばかり流れている。
令和日本に足りないのは、お金でもマイナンバーカードでもない。今時代が求めているヒーローは大人を叱る存在である。
「嘘をつくと舌を抜かれる」
そんなことを聞いた子供は二度と嘘をつかなくなる。
幼い頃、母に叱られることが怖くて、嘘をついたことがある。
当時の私にとってみれば完璧な嘘であったが偉大なる我が母には通用する訳もなく、すぐに「嘘をついたら舌を抜かれるぞ」と脅され
恐ろしくなった私は自ら全てを白状した。
それ以来私は今日に至るまで嘘をついたことがない。


子供の頃は恐ろしく感じたこと、信じていたものを持っていたことだろう。しかし、成長するにつれ物事の解像度が上がり知りたくなかったことを知っていくのだ。

サンタクロースが居ないことや可愛い子の横には恋人が必ず居るということ。
そしてそれは、閻魔様も例外では無い。


と思っていたのだが、
私は今地獄にいる。閻魔様に舌を抜かれて先程判決を言い渡されたばかりだ。

閻魔様なんぞ初めて見た私であったが、
バカでかい椅子に座って、頭に王と書いてある帽子を被ったあの姿を一目見て
「むむ、俺はコイツを知っているぞ」
ない頭を全力で回転させ目の前の存在を思い出そうとするのだが、いかんせん此処は暑すぎる。蒙古タンメン中卒中本の中に放り込まれたようだ。止まらぬ汗に加え、周りは目がくらむほど赤黒く染まっている状況に不快感という名の濁流に揉まれて立ちすくんでいると突如、私の名前が読み上げらた。

「お前は、久しぶりなどという言葉では抑圧出来ぬ程の長い間noteを更新しなかった」
まさに地獄の王に相応しい声で私の罪状?を読み上げていく。
ちなみに、閻魔様と聞くと夕方18時からやっていた某アニメで有名な閻魔様の笏(しゃく)
笏とはメモ帳である。忘れないように書き留めたりしておくモノでいつのまにか、正装の一部となってしまったらしい。どれほど大層な書物に笏のことが書いてあろうが、本人の口から聞くのが一番正しいハズである。事実は小説よりも奇なり。笏の使用用途は一体なんなのか。問いを投げかけようと顔を上げると大王様は大変お冠の様子である。

「最後のnoteを更新したのはいつだ?」
そう言われても、急にわかる事ではないがここで答えねば身の危険を感じた私はでたらめな数字で答えたがそれがまずかった。
閻魔「喝ッ!!」
私「ヒィッ!」
私の体のどこから出たのか分からぬ程の情けない声はいつのまにかすすり泣く声となり
閻魔の叱責への返答はしゃっくりとなる頃には、閻魔は私を落ち着かせようと泣き止むのを待っていてくれた。地獄に仏とはまさにこのことである。
閻魔の優しさに触れ無事泣き止むことが出来た私は、それではそろそろ帰らねばと
友人の部屋を後にするようにその場を去ろうとしたが、地獄の鬼達に止められて
再び閻魔に喝を入れられたのである。二回目にもなると仏が現れることはなく
私は再び、しゃくり上げながら大粒の涙を零しながら、審判を言い渡されることとなった。


私に言い渡されたのは「Noteを投稿すること」それだけであった。
厳かな中ずいぶん的外れなことを言われた気がしてとっさに閻魔様に対し
質問をした。閻魔は先程とうって変わり温和な様子で答えてくれた。
「最近noteの更新が出来ていないのは仕事が忙しく自分の時間が取れていないことは知っている。しかしだ、このまま多忙な日々を過ごしたらお前の感性が無くなりそうな気がしたのだ。最近、花を見たか?公園へ出かけたり四季の変化を感じたか?もう夏になった。蝉が鳴き、木々に生い茂る葉は油絵の具をそのまま出したかのような緑色をしている。私はただ、初心を忘れてほしくないのだ」
閻魔の顔はどこか寂しそうにも見えた…

この文章は地獄で書いてる。閻魔は内容は何でも良いと言っていたので
今日のことを書こうと思う。投稿をしたら元の場所に帰れると聞いたので
それまでは、地獄を楽しもうと思う。
雨に濡れるのではなく、雨を浴びるのだ。




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