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市内RPG

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福井丘県子郡市。市役所発の魔王討伐に、高校生勇者がゆるーーく挑む。不定期連載中。
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2024年7月の記事一覧

市内RPG 63 闘技場に立つ 

戦士ヤスと魔法使いヒラ、僧侶カナ、勇者のぼくは、闘技場に立った。 闘技場は、体育館の半分。バスケットコートと同じ広さである。 いや、バスケットコートである。 白い帽子をかぶり、紺のスーツを着たおじさんたち4名が、審判のようだ。 3名以上が戦闘不能とみなした場合に、退場が告げられ、全員が退場すれば負けである。 「こちらに並んでください。」 主審のおじさんが、紅白の旗で、整列する場所を指し示した。 ぼくらは、少し緊張しながら、整列した。 馬場たちと対面して、並ぶ。 「あほ

市内RPG 62 副賞は退魔の剣

小原合戦武道大会の開会式。 紺のスーツ、七三分けの男の人が会を進める。 「それでは、加治山沙織市長からのご挨拶です。」 うすいピンクのジャケットにパンツ。メガネのフレームもピンク。そしてピンクの口紅。 そのピンクまみれの女の人は、マイクの前に立った。 「ご紹介に預かりました加治山にございます。小原武道大会の開会にあたり、一言ごあいさつ申し上げます。ここに集まりし勇者諸君、魔王の力は絶大です。ぜひとも、仲間と力を合わせ、力と技を磨き、子郡市の安全と平和のため、力を尽くして

市内RPG 61 小原合戦武道大会、始まる

小原合戦。 今から、1000年ほど昔、響都にあった牟呂町幕府が北朝と南朝に分かれて争っていた。遠い場所での争いのはずだったけれど、その火は、ここ子郡にも飛んできたそうだ。 子郡の豪族だった大朋氏と菊智氏。2つの豪族はそれぞれ北朝と南朝につくことになった。そして、北朝についた大朋氏と、南朝についた菊智氏が、筑五川沿岸のこの子郡の地・小原で戦ったのだ。 戦いの末、菊智氏が大朋氏を破って、この地方を制覇することになる。 その古い史跡にちなんだ武道大会が「小原合戦武道大会」である

市内RPG 60 カッパ4人衆

「これがカッパかーーーー」 戦士ヤスが、おかっぱ頭の4人を見て、拍子抜けした声を出した。 「失礼ね。これは、ボブって言うのよ。」 1番背が高い女性が応えた。180cmくらいはある。30代かな、40代かな。母さんよりは若く見える。 「こちら、背の高い順に、白烏ダンススタジオの白烏さん、黒鈴目さん、青木字さん、黄和士さん。」5cmずつ、小さくなっている・・・。 「よろしくーーーーー。」 4人は、声をそろえて言った。 「・・・・よろしくお願いします。」 ぼくらも、おそるおそる

市内の魔王に挑む、RPGはいかが?

あらすじ ぼくは、福井丘県子郡市に家族4人で平和に暮らしている16歳。毎日、隣町の来目市の明仙高校に、二師鉄電車で通学する。何にもない町と何にもない日々。ある日、家に届いた回覧板で「魔王討伐」の記事を知った。同じ高校の仲間ヤス、ヒラ、カナと、町の平和のために、魔王討伐の冒険を志す。子郡市役所で勇者の登録をした。保険にも入った。活動の手引きも読んだ。ケータイで、武器と防具と呪文を登録すると、攻撃力や防御力が上がったり呪文が使えたりする。まずは、スライムを退治して、レベルを上げ

市内RPG 59 カッパに出会う

早いもので土曜日になった。 いつもの二師鉄子郡駅前に集合した。 「大穂駅の改札にこいつが引っかかって、大変だったーー。」 戦士ヤスは、ベリービッグコンパスを担いできた。 「どんどん武器が大きくなってるから、気を付けないとね。」 魔法使いのヒラは、6色ペンの杖を振り回しながら言った。 「そう、そう、周りにも迷惑だから気を付けてよね。」 僧侶のカナも、それに同調した。 4人、そろったので、今日の行き先を決めることになった。 「もう来週が武道大会よ。装備も新しくなったし、力試