小説『雑記帳』より。(1話③)
1話 私と鈴木さん③(1話目最終)私はまた2階に上がってマルク・シャガールの前に座った。
シャガールの青は、ソファから立つ前も立った後も、どこまでも同じ青だ。けれど、何かが違うように見えてしまうのは、私の心の持ち様が違うからなのだろう。
ランプを振り上げた女性は、なぜ水を相手にかけて頬をビンタして、さらにランプに手をかけたのだろう。男性は彼女にそれほどに酷い事をしたり、発言したり傷つけていたのか。
振り上げたその手は、きっと彼女の中の大切な何かを守ろうとして振り上げたも