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【翻訳】The Astar Vision Part 2: Asset Diversity Through XCM dApps and Smart Contracts

Part3


前置き

この記事は、Astar Networkの公式MediumにCTOのHoon Kim氏が投稿した記事を翻訳したものです。XCMはPolkadotエコシステムにおいて最重要な物であり、Astarにとっても大きな意味をお持ちます。XCMを使うことによって、何が起きるか、Astarにとってどのような意味を持つか、伝わると幸いです。

※今回の翻訳はPart1~3のうちの2つ目の記事です。

Part1

Part3


翻訳本文

流動性とアセットの多様性

相互運用可能なブロックチェーンの未来では、チェーン間の流動性資産の多様性がエコシステムを繁栄させる大きな要因になると考えています。現在、ブロックチェーンの開発価値は、暗号通貨の時価総額、エコシステムの規模、ネットワークTVL、開発者のリソースによって大まかに決定されています。しかしXCMによる真に相互運用可能なブロックチェーンの世界では、ソブリンブロックチェーンにおける外部トークンの総額とトークンの多様性が、新しいエコシステムプロジェクトと投資家がレイヤー1のブロックチェーンを評価する際に考慮する2つの指標になると考えています。

従来、ブリッジ経由で転送される外部アセットはDeFi空間内でのみ利用可能でしたが、ブリッジは同じアセットに対して複数のアセット表現(例:ERC20)を作成する必要があり、ブリッジごとに新しいものを作成するため、これらのトークンの信頼性は特定のネットワークではかなり疑問視されています。あるブリッジから転送されたUSDCトークンは、別のネットワークでは認識されない可能性があります。さらに、ブリッジ間の標準形式がないため、開発者がブリッジを完全に利用することは困難です。

Polkadotエコシステム上のXCMでは、ネットワークがXCMトランザクションに使用するアセットを定義できるため、外部アセットはさらなる有用性を持つことになります。さらに、同じアセットに対して複数のERC20トークン表現を持つことになる従来のブリッジド・アセットとは異なり、Substrateノードはブリッジされたアセットを表現するために単一のパレットを使用できます。 その結果、ネットワークはすべての外部アセットに対して単一で正しいソースを持つことができるので、dAppはそれを自分のプロジェクトに統合することが容易になりました。これがXCMの特性と組み合わさることで、今や外部アセットはこれまで以上にエコシステムと密接に統合されるようになったということです。ネットワークが互いに経済的に依存するようになると、ブロックチェーンは特定の機能に特化し、その価値を最大化するために他の機能に依存するように動機付けられます。このように互いに支え合うことは、エコシステムが利用できる安定した信頼できるクロスコンセンサスチャネルに繋がります。

これにより、真に相互運用可能で異なる特徴を持ったブロックチェーンのネットワークが実現すると考えられます。


Astar Networkの戦略

ここでは、Polkadotのエコシステムの中でのAstar Networkの位置づけと、XCM-Native dAppsとWASMスマートコントラクトを活用して我々のビジョンを実現するための戦略について説明します。

XCM-Native dApps
Astar Networkは、分散型アプリケーション業界のイノベーションを推進するユーザー向けdAppsのハブであり、スマートコントラクトプラットフォームです。私たちは、スマートコントラクトが他のParachainが提供する機能を活用できるようにすることで、すべての人々が日常生活で使用できるユニークで機能的なプロジェクトの構築にdAppsが集中できるWeb3.0空間が生まれると信じています。これは他のネットワーク上のdAppsが提供できない方法です。

分散型スマートコントラクトプラットフォームプロバイダーとして、我々は他のParachainとのXCMチャンネルの開設に注力し、dApp開発者がこのチャンネルをプロジェクトにフル活用するために必要なAPIを提供する予定です。つまり、ユーザー向けのdAppプラットフォームとして、Astar Network上のdAppがビジネスロジックの一部として、他のParachainやXCMチャンネルを利用できるビルディングブロックとして主に捉えているのです。私たちは、様々なParachain間の化学反応とその価値提案が、トークンセールではなく、dAppのステイカーの手によって反応する場所となるのです。

私たちは、すべてのdAppsのための様々なスマートコントラクトと通信標準(すなわち、Polkadotの標準提案)を後押しすることによって、エコシステム全体でdAppsの互換性を確保することができます。この戦略を押し進めるために、他のParachainとチャネルを確立するときに、次のようないくつかの要因を考慮する必要があります。

  • トークンエコノミクス:ネットワークの持続可能性、そして私たちのネットワークのエコシステムにどのような影響を与えるか?

  • 価値提案:このParachainのユニークなセールスポイントは何か、ユーザー向けのdAppはこの機能を(他の機能と一緒に)どのように使って、ユニークで革新的なdAppを作ることができるか?

  • ディベロッパーAPI:開発者が使用できる外部コンポーネントを呼び出すためのXCMペイロード/要件と、期待される結果/データ構造はどんなものか?

他にも考慮すべきことはあると考えられます。

WASM Smart ContractsによるXCM
Substrateコントラクトパレット(本記事ではWASMスマートコントラクト環境とも呼ばれる)は、WebAssemblyをネイティブSubstrateレベルで搭載したコントラクト実行環境です。このため、Substrate上のWASMコントラクトはEVMのようなオーバーヘッドがなく、またink! (Rust)、ask (AssemblyScript)など、より多くの言語をサポートしています。

広範な言語サポートと(オーバーヘッドの削減による)パフォーマンスの向上という組み合わせは、開発者がEVM上のSolidityを使うだけでは構築不可能な複雑なdAppsを作成できることを意味します。Substrate上のWASMコントラクトのもう1つの重要なコンポーネントは、チェーンエクステンションの概念です。簡単に言うと、チェーンエクステンションによって、スマートコントラクトがネットワークからパレットを直接読み込んで実行できるようになります。また、Substrateとinkの言語は多かれ少なかれ互換性があるので、パレットや他のネイティブなオンチェーンデータと通信することは難しくありません。

Astar NetworkのXCMパレットのチェーンエクステンションがあれば、オンチェーンで実行されるスマートコントラクトから完全にカスタムXCMトランスファーを作成し、dAppがスマートコントラクトから直接他の外部Parachainとやり取りできるようにすることが可能です。つまり、Part1で説明した仮想的な複雑なユースケースは、WASMのスマートコントラクトによってのみ実現できるのです。

ink!やaskを使ったWASMスマートコントラクト開発とチェーン固有の機能を持つXCMは、dApp開発者にとって非常に新しい概念です。その結果、ドキュメント、教育、標準APIが開発者のエンゲージメントに不可欠となるでしょう。Astar Networkと統合するParachainの両方が責任を持ち、特定のXCMチャンネルの価値提案と、dApp開発者がそのAPIを使ってエンドユーザーが使用できるものをどのように作成できるかを明確にする必要があります。

Part3では、Astar HubとPolkadotのエコシステムが真の相互運用性を実現している事例を紹介します。

Part1

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