PolkadotのParachain、Astar Networkについて知ろう
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こんにちは、you425です。
今回はParachain紹介シリーズ第三回、Astar Network/Shiden Networkについて書きたいと思います。
Polkadotって何?という方はこちらをどうぞ。
※個人の解釈や感想が強めに出ますのでお気をつけください。
1.Astar Networkとはどんなプロジェクトか?
まず基本情報です。
Polkadotでの名称:Astar Network($ASTR)
Kusamaでの名称:Shiden Network($SDN)
Astar Networkは、Polkadotにスマートコントラクト(X-VM:Cross Virtual Machine)とレイヤー2ソリューションを提供し、さらにレイヤー1ブロックチェーン(EthereumやBSC、Cosmos、Definity、Solana、Avalanche等)と繋がることでdAppハブを目指すプロジェクトです。
スマートコントラクトのプラットフォームを作るだけでなく、ウォレットの管理やステーキングが出来るポータルなどのプロダクトも提供します。
取引所や大手VC、ブロックチェーンのフレームワークであるSubstrate提供元のParity Technologiesからのサポートが厚いです。
Astar Networkの開発元であるStake TechnologiesはW3FからのGrantを7回と最多で受け取っており、Polkadotにとって重要な位置づけになっています。
また、Parity Technologiesが提供するSubstrate Delivery Partnersに認定された最初の1社であり、リソースや技術的支援を受けています。
2.日本初のパブリックブロックチェーン
開発元のStake Technologiesは、日本人の渡辺創太氏がCEOを務めるシンガポールの会社です。
渡辺創太氏は東京大学でブロックチェーンの共同研究員を経てシンガポールにて会社をスタートさせています。
日本では暗号資産に対する税制の問題で、トークンを発行するタイプの事業のスタートアップをすることはかなり難しい状況になっています。
そのため、海外で日本人の成功例を出したうえで日本国内に戻そうという意図があります。
日本人の成功例が増えれば、他にもブロックチェーンのスタートアップをする企業は増えていくと思います。
他にも内閣府のTrusted Web推進協議会のタスクフォースメンバーや、日本ブロックチェーン協会(JBA)の理事を務めるなど日本国内でのブロックチェーンやWEB3.0を推進するために日々活動しています。
以前にCONNECTVという、あたらしい経済とCOINPOSTが共同で運営しているYoutubeチャンネルでインタビューを受けているので、お時間あるときにぜひご覧頂ければと思います。
3.提供プロダクト
X-VM(後ほど詳しく解説します)のスマートコントラクトプラットフォームだけでなく、第一弾としてポータルが提供されています。
Polkadotの公式拡張機能はdApps利用時のトランザクションを通すのに使いますが、それ以外はアカウントの管理とアドレスのコピーくらいしかできず送金や残高の確認が出来ません。
polkadot.js.orgに繋げば大体のことはできるようになりますが…使い勝手が悪く一般層にはあまり向いてません。
そこでAstar Portalにつなぐことで残高の確認や送金、ステーキング等一通りのベーシックな機能が使えるようになります。
また、開発者はここからスマートコントラクトを手軽にデプロイすることもできます。
更に、Astar Networkの目玉機能の一つであるDApp Stakingもここからアクセスすることが出来ます。
4.DApp Staking
dApp開発者は通常プロトコルの利用料や独自トークンの運営分から収益を得ます。
例えばUniswap等のDEXでは取引手数料の一部が運営側に回る仕組みを作ることで事業収入になります。
この場合プロトコルを作ったのはいいものの、利用者が増えなければ収益を得ることが出来ません。
その為、多くのプロジェクトは先にトークンセールを行って資金を集めたり異常なAPRをインセンティブにTVLを集めて収益を得るようなパターンが散見します。
トークンセールに関してはまだいいのですが、後者のようなやり方だとプロトコルとしての持続が難しく一瞬で終わってしまうことが多いです。
いわゆる魔界の状態で、過剰になると業界としても望ましい環境ではありません。
更にスマートコントラクトをデプロイするときにガス代としてネイティブトークンが必要なので、開発費以外にも経費が掛かっていきます。
DApp Stakingでは上記のようなトークンセールやプロトコル以外からの収益を開発者に提供することでベーシックインカムの様に機能します。
開発者はAstar Networkのフォーラムで申請することにより、ポータルのStoreに掲載されDApp Stakingを利用できるようになります。
ユーザーは好きなdAppにステーキングし、開発者とユーザーに報酬($ASTR/$SDN)が発生します。
仕組みとしては画像の様になっています。
ブロックごとに$ASTR/$SDNが生成されていきますが、そのうちの50%がDApp Stakingの報酬に回されます。
基本設定としてはそのうちの8割が開発者、2割がステーカーに渡ります。
インフレ率が10%で設定されているので、図の例の様に$ASTRの時価総額が10億ドルとすると年100万ドルがブロック生成され、そのうちの40万ドルが開発者、10万ドルがユーザーの報酬として分配されます。
開発したプロトコルの他にこれだけの収入があることは開発者にとってはかなり大きいことだと思います。
このことにより
1.Astar Networkで開発するインセンティブになる
2.無理な開発をする必要が減る
3.持続性の高いdAppを作りやすい
4.ユーザーライクなより良いプロダクトが出来る
等、様々な恩恵があります。
また、開発者側だけではなくAstar Network自体にも大きなプラスになります。
プラットフォームやプロダクトは使われないと意味がなく、価値は上がりません。
どんなに豪華で最新の設備で作られたショッピングモールでも、店舗が全然入ってなかったら意味がありませんね?
プラットフォーム=ショッピングモール、dApp=店舗
と考えられます。
1.良いプラットフォームが作られる
2.店舗が出店する
3.人が集まる
4.プラットフォームの価値が上がる
5.さらに良い店舗が集まる
6.さらに人が集まる
以下エンドレス
このようにしてプラットフォームの価値は上がっていきます。
DApp Stakingはプラットフォームの価値を上げ、ネットワーク効果を強化する素晴らしい仕組みだと思います。
5.X-VM(Cross Virtual Machine)
こちらも目玉機能の一つです。
以前の記事でも触れましたが、今後のスマートコントラクトプラットフォームの主流はEVM系統からWASM系統に移行していくと予想しています。
それは、Ethereum2.0がeWASM(WASM系統)を搭載するということからも想像できます。
現状ではスマートコントラクトプラットフォームとしてEthereumが圧倒的な人口があるためEVM系統が主流です。
しかしメインの開発言語はSolidityというスマートコントラクト用の専門言語であるため敷居が高くなっています。
WASM系統はEVM系統と違い、多彩な言語に対応しています。
最近プログラム業界で人気のRustをメインにC系、JAVA等の技術者人口が多い言語でもスマートコントラクト開発ができるうえ、軽量かつ高速で動作することができます。
Substrate(Polkadot系のフレームワーク)で作られたチェーンではWASMをネイティブサポートしています。
Astar NetworkではEVMとWASMを同等に扱うことで、両方のdAppsを同じプラットフォームで動かし、相互運用することが出来ます。
ピンとこない方のために
EVM:Switch
WASM:PS5
で例えてみましょう。
それぞれ出来るゲームは別なので、例えばPS5でSwitchのゲームを動かしたりできません。
ところが、どっちのゲームも動かせる最新ゲーム機が出現しました。
それがX-VMです。
うーん、すごく便利ですね。
WASMだけのプラットフォームだと、未だ開発者が少ないのでdAppsが少なくてなかなか盛り上がり辛いですが、EVMも同時に扱えるとなればそれぞれの開発者が集まるので盛り上がりやすくなります。
WASMのdApps開発者もユーザー数を見込めるため、Astar Network上で開発するインセンティブになるでしょう。
DApp Stakigと併せてよい効果が見込めます。
また、他のParachainのプロダクトは基本的にWASMで動いているので相互運用しやすいのもポイントです。
将来的にはEVMとWASM、両方dAppsをアグリゲートするプロダクトも出てきそうですし…楽しみですね!
6.レイヤー2ソリューション
初期はPlasm Networkという名前だったという話をしましたが、Astar Networkに名前を変えてもその機能は残ったままです。
レイヤー2というと、Ethereumでのイメージでスケーリングソリューションと考えてしまうことが多いですがもちろんそれだけではありません。
例えば企業が自社チェーンを新しく開発するという場合に1から構築するのは大変ですが、Astarのレイヤー2ソリューションを利用することでかなり楽に進めることが出来ます。
その際にパブリックでもコンソーシアムでもプライベートでも運用ができますし、Astarを通じてPolkadotエコシステムに参加することも出来るため、様々なユースケースが考えられます。
長期的に考えると、この機能のおかげでエコシステムの在り方に大きな影響がありそうです。
7.Moonbeamとのエコシステムの違い
前回の記事ではMoonbeamの紹介をしました。
あちらもスマートコントラクトプラットフォームでしたが、Ethereumと同じ環境をPolkadotに実装することを目的としているため、EVMにのみ対応しています。
そのためエコシステムとしては、もともとEVMで開発されていたプロジェクトがそのまま移行してくるようなものが多いです。
Astar Networkのエコシステムは最初からPolkadotエコシステムで動かすつもりの比較的若く意欲的なプロジェクトが多く感じます。
スタート段階ではMoonriverでの実績があるMoonbeamのエコシステムの方が盛り上がると思いますが、将来的なポテンシャルとしてはかなり高いと思います。
また、日本初のパブリックブロックチェーンなので日本の企業との提携も多くあり、Microsoft Japanからの支援も受けています。
8.クラウドローンの情報
ドキュメントのトークンアロケーションでは数字がまだ明記されていませんが、クラウドローン用に確保されているのが全体の30%とかなり多いです。
→更新されました。
【追記】
初期供給は7000万枚と判明しました。→70億枚に変更。
クラウドローンでは15%を分配+5%ボーナスとトークンアロケーションに変更が入りました。
Astar Networkでは事前のセールは行っておらず、通常は最初に$ASTRを入手する機会はクラウドローンです。
但し去年2度ロックドロップ(ETHを最大1000日ロックして$PLMを得る)というトークン配布の形式が行われておりかなりの割合を占めています。
ロック期間など、まだ確定はしていません。
去年ロックドロップに参加している人たちはコミュニティとして参加する意欲が高い人たちが多いと思いますので、あまり大きな売り圧にはならないと考えています。
チーム分のアロケーションが5%とかなり少ない事からも分かる通り、なるべく多くのトークンをコミュニティに渡してDAO化を進めようとしています。
【追記】
コア開発チームにPolkadot界隈古参のCommonWealthが入りそちらにも5%が追加されました。
クラウドローンの情報は先日第一報が出ただけで、未だすべては明らかになっていませんので分かっている情報のみ記載します。
【追記】第二報・第三報が出たので大きく修正。
◆参加方法◆
・Astarの専用ページ
・CEX(OKEx/Kraken/Huobi/Gate Binanceは不明)
・各ウォレット(Polkadot.js.org/Fearless/Math 等)
・パートナー(Parallel/Equilibrium)
◆報酬スキーム◆
・総供給の15%(1,050,000,000ASTR)を$DOT貢献量に合わせて$ASTRを分配、5%(350,000,000ASTR)はボーナス分
例)2,625,000DOT集まった場合は400ASTR/1DOTで分配
・リファーラルボーナス(被紹介者がロックした$DOT1つにつきの$ASTRを10個取得=10ASTR/1DOT、被紹介者は1%ボーナス)
・オークション1戦目が終了する(11/18)までに参加で20%ボーナス
・ロックドロップかShidenのクラウドローン参加ウォレットから参加で10%ボーナス
・10000DOT以上の貢献で9%ボーナス
・トークンは最初に10%ロック解除、22カ月かけて残りのロック解除(ロック中もDApp Staking等に参加可能)
◆パートナー特典◆
【Parallel】
・クラウドローンに入れた$DOTに応じて$cDOTを入手。(ParallelがPLO勝利後)
・ボーナスは上記と同じで参加タイミングで+2~6%で合計が最大36%リファーラルボーナス、さらに4PARA/1DOTを獲得
・報酬はClaimページから請求、ロック分も都度請求なのかは不明
・ロックドロップかShidenのクラウドローン参加ウォレットから参加で10%ボーナスは付かない(↓の画像は訂正前)
【Equilibrium】
・クラウドローンに入れた$DOTに応じて$xDOTを入手。(Kusama用のGenshiroで獲得、EquilibriumがPolkadotのPLOで勝利後にブリッジ可能)
・ボーナスがどのように適応されるかは不明。(少なくともリファーラル以外はつくはず)
・報酬がどのように付与されるかは不明(おそらくClaim)
因みにShiden Networkの時は全体の22%がクラウドローンに充てられ、1か月ロック後10カ月かけて解除されていくことになっていました。
9.まとめ
ということで今回はAstar Networkの紹介でした。
長くなってしまいましたが、ポテンシャルはかなり高いプロジェクトです。
競合のMoonbeamのマーケティング力が強いので最初の段階ではなかなかつらい戦いになると思いますが、将来的には大きな存在感を出すと考えます。
特に日本人としては、このプロジェクトには成功してほしいのでかなり応援しています。
クラウドローンでどこに入れていいかわからない?
そんなあなたはAstar Networkに入れておきましょう。
投資云々とかリターンの話ではなく、応援すべきだと僕は思います。
聞きたいことがあれば、分かる範囲でいくらでも答えるのでDMなりなんなり下さい。
それでは今回はこの辺で終わります、長々とお付き合いありがとうございました。
次回はPhara Networkの紹介予定です。
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