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10GbEのケーブル・コネクタの基礎知識[SFP+]

10GbEのネットワークを作るに当たってまず前提となる知識が必要なのでここでは簡単に解説します

10GbEのネットワークは大きく分けて二種類あります。

それは従来からある見慣れたRJ45という形状とSFP+というコネクタ形状です。


■RJ45

10Gで使う場合はCAT6Aと呼ばれるケーブルを用います。
ここでは使うことのメリットとデメリットを述べます。

・メリット
新たに覚えることが少ない
CAT6Aで配線してあればそのまま使える
距離が短ければCAT5eやCAT6でも使える場合がある
互換性が高い

・デメリット
消費電力が大きい
スイッチやネットワークカードが熱で不安定になりやすい
やや遅延があるのでスイッチを複数通す中継に用いると全体のレイテンシが大きくなる
CAT6Aなど対策されたケーブル以外は束ねるとエイリアンクロストークと呼ばれるケーブル間の干渉でノイズが発生する。
一本では大丈夫でも二本ケーブルを束ねると問題が起きるわけだ。
この場合、古いケーブル(CAT5eなど)を使った場合に問題が起きても気づきにくい。

◆CAT7やCAT8について

結論から言うとCAT7/CAT8等のケーブルは意味がないです。(誇大広告です)
メーカー独自規格のなんちゃってCAT7/8であり、ノイズを拾いやすいという話もあるので使わないほうが良いです。
CAT7/8を利用していてネットワークのトラブルがあるようならノイズを拾っている可能性があるのでCAT6Aにすると調子が良くなるかもしれません。
(そういう話をちらほら聞きます)

対応速度が25Gbps/40Gbps対応となっていて将来性があるような素振りを見せていますが存在しない仕様の規格なので製品が出る予定がまったくありませんので将来性はありません。

本当のCAT7はRJ45ではないのでコネクタの互換性がありません。
トラブルを避けたいなら選ぶべきではないです。

CAT6A相当のケーブルを情弱に高く売ってるだけだと思ってましたがCAT7を使ってNBASE-Tでトラブルが起きたいろんな実害のレビューなどを見ているとケーブルを6Aにすると症状が消える例も多く、10GとCAT7は相性が良くないように見えます。

家電量販店やアフィリエイトではCAT8の単価が高いのでオススメされますが買わないほうが良いでしょう。
特にCAT8はケーブルが太すぎて使いにくいです。


・その他

個人的にはRJ45で10Gのネットワークを組むのはおすすめしてなくて1ポートだけインターネット回線につながった10Gルータと繋げるために割り切って使うのが良いと思います。

SFP+に対応した家庭用のルータが市場にないためです。プロバイタからレンタルできる10Gルータの端子はRJ-45が主流です。

■SFP+

SFP+は光ファイバー(短距離10GBaseSR、長距離10GBaseLR)用モジュールとDAC(ダイレクトアタッチケーブル)、RJ45用モジュールの三種類あります。

SFP+は少し複雑で、モジュールを変更するとケーブルの種類を変更することが出来ます。
ユーザーが特性を選んでカスタマイズします。
距離と消費電力で選ぶのがベストですが、すでに敷いてあるケーブルで選ぶという事もできます

互換性のある規格がいくつか存在していて
1G時代の古い規格でSFP、25G時代の新しい規格のSFP28が存在していてそれらはコネクタとケーブルに互換性があります。

QSFPやQSFP+という似たような規格もあるのですがそちらはケーブルやコネクタの形状が違う形になっています。(QSFPのSFP+モジュールを挿すと使えるようになったりするのでややこしい)

◆モジュールの種類

通常使うのはDAC / 10GBase-SR / 10GBase-Tの3つだけでしょう。

●DAC (ダイレクトアタッチケーブル)
SFPモジュールとケーブルが一体になっている。
ケーブルは銅線で信号をそのまま流しているので最大距離は短いがレイテンシ、消費電力も低い。
接続するとロックされるため最初は外し方を調べてから接続をおすすめします。
紐を引っ張れば外れます。
最大10m

●AOC (アクティブオプティカルケーブル)
SFPモジュールとケーブルが一体になっている。
ケーブルは光ファイバーでトランシーバーと一体になっているので最大距離は長い。
距離の制約は光ケーブルに準ずる。
お手軽だが使うメリットは薄い。

●10GBase-SR
短距離用の光ファイバーの規格です
通常はこれを使います
最大300m

●10GBase-LR
長距離用の光ファイバーの規格です
最大10km

●10GBase-T
RJ-45のケーブルが使えます。
一般的に発熱が大きい。
消費電力(現状3W程度)も大きく比較的相性問題が出やすいモジュールなので動作確認が取れたものを使うのが良いでしょう

RJ45コネクタしかないプロバイタが提供する10GbEルータの接続用途以外は個人的にはあまりオススメはしないです。もう少し世代が進んでこなれてから買うのもアリ。

マルチギガに対応したタイプでは2.5/5GbEなどの接続用にも使えます。


◆光ファイバーケーブル

●マルチモードとシングルモード
シングルモードは長距離伝送用で細くて高い
マルチモードは短距離伝送用で太くて安い

10GbEで使われるのはマルチモードのOM3とOM4と呼ばれる規格です。OM3とOM4の主な違いは伝送距離にあります。
OM3は25GbEにも使えるので将来25GbEに変えたときにOM3はそのまま使えます。
通常はOM3を使えば良いでしょう。

※よく40GbEが使えると説明されるけどそのままじゃ使えないと思います(単線じゃなくて束ねてつかうのとコネクタがMPOという規格になる)

●LCコネクタとSCコネクタ
10GBase-SRの場合は通常LCコネクタを使います
古い規格のものはSCコネクタの場合があります。
SCコネクタの方が大きいコネクタです。
(SCコネクタは身近なものではプロバイタから提供される光コンセントです)

◆ベンダーロックと相性


SFP+のトランシーバにはベンダーロック問題と相性問題があります。
ベンダーロック問題とはA社のスイッチやネットワークカードにB社のトランシーバーを使った場合に機器から認識しない問題です。

相性問題とはA社のスイッチやネットワークカードにB社のトランシーバーを使った場合に認識するが正常に動作しない問題です。

インテルやHPなどがベンダーロックをかけています。最近はかけてない製品が多いですが正確に把握するのは難しいようです

インテルの場合はベンダーロックをドライバで制御しているようでlinuxの場合、ドライバにパラメータを渡すことでベンダーロックを外すことができる場合もあります。

シスコの場合はファームウェアの更新で解除できるようです。

何れにせよベンダーロックがかかっていても対応したSFP+のトランシーバを使えば問題なくつなぐことは出来ます。

やっかいなのは相性の場合でファームウェアのバージョンで対応してもらうようにメーカ側に働きかける以外は難しいです。メーカー側で試験したモジュールを使うようにしましょう。
(酷い相性が出るのはINTELのトランシーバです。それは気をつけてください)
最近発売されている製品はインテル以外ベンダーロックはまずかかっていないです。

■おすすめの商品


◆ダイレクトアタッチケーブル(DAC)

短距離の接続はこれが便利です


◆OM3ケーブル(LCコネクタ)

距離を稼ぎたい場合にはOM3が良いです。
短距離のケーブルもあるのでトランシーバが揃ってるならOM3で揃えてしまうのもアリです。


◆SFP+トランシーバ

LCコネクタの光ファイバー用

RJ-45のメタルケーブル用


◆SFP+スイッチ

SFP+のスイッチは消費電力が低いのでファンレスが主流です。
機材が揃うならこちらで揃えたほうがトラブルが少ないです。


2.5GbEを併用する場合はSFP+にモジュールを挿すよりアップリンクにSFP+があるスイッチを増設してしまうのが便利です

ネット回線が1~2GでNASとクライアント一台だけの構成ならSFP+が2ポートでも良いかもしれないですね。

アマゾンで売っている中華スイッチは先にAliExpressで売られています。
ラインナップの予習です。


◆RJ45スイッチ


RJ45は消費電力高めなのと熱量が多いのでファン付きが主流となっている
夏は置き場所に注意
ファンレスも出ていますが風当てないとすぐに壊れる気もします。


◆SFP+のLANカード

インテルのカードは互換品のほうがベンダーロックがかかっていないので扱いやすいです。
互換品であればx4スロットのカードもあります

中古も選択肢にあれば以下のページもどうぞ

◆RJ‐45のLANカード

インテルのX540だけは避けてください。普通の人には扱うのが難しい爆熱カードです。
X550も熱に気をつけなければ不安定になります。
10Gのカードはファンレスですが熱を持つのでケースのエアフローがよくないと不安定になります。
AQC系も環境によっては不安定なようです。(自分の環境では不安定になったことはないです)
不安定だというレビューを見ているとCAT7を利用している人が多い印象です。10Gを利用する人は新しいものを好むのでCAT7を利用する傾向にあると思います。
不安定な場合は排熱管理とCAT6Aを利用しているか確認したほうが良いです。


◆SFP+対応のNAS


◆RJ45対応のNAS

オールフラッシュのNASが出てますがこれはRJ45のみのラインナップ


オールフラッシュのNASは購入したのでレビューしています。


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