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御厨、久我山辞めるってよ

コーチ辞めます

タイトルにある通り、御厨の久我山高校サッカー部での活動は昨日をもって終了しました。中学1年生から約8年間、ほとんど毎日通った場所に行かなくなると考えると、何だか不思議な感覚に陥ります。身長は10センチも伸びませんでしたが、人間としては大きく成長させてもらった素晴らしい環境でした。

なぜか最近の大事な日はめちゃめちゃ晴れるんです。選手権決勝の日も快晴でしたし、昨日もほとんど雲の無い青空。天気の話は冒頭に入れやすいので、お天道様には感謝ですね。いつかの京都旅行で3日連続大雨だった分が返ってきたのだと思います笑。新たなステージに晴れ晴れとした気持ちで臨むことができそうです。

思うことや学んだことは沢山ありますので、その中でも僕が一番伝えたいことをここには書いていきたいと思います。

まず前日の話から。辞めるにあたって、最後のミーティングで何を話そうか、三ツ沢公園をぐるぐる走りながら考えていました。最後の最後で話したいことが、選手たちに一番伝えたいことだと感じたので、その内容をここでも書いていきたいと思います。

選手たちに伝えた内容は主に3つ。

高校時代の後悔
指導者をやって一番に感じたこと
選手たちへの感謝

高校時代の後悔

僕には高校時代の選択において2つの後悔があります。1つは、東大を目指さなかったことです。

高2の秋の段階で、進路の選択を迫られました。「目指すなら頂点」と周りにはイキがってものの、内心は不安だらけ。「落ちて浪人したらどうしよう」「サッカーに集中できなくなったらどうしよう」そんな感情に苛まれていました。

先述したように僕の決断は、日本のトップではなく、私大のトップ。周囲には、「早慶の方がカッコいい」とか「選手権に出るから国公立は厳しい」なんて事を言ったような気がします。上手な言い訳ですね。

学歴へのコンプレックスではなく、挑戦をしなかったことへの後悔が今でも強く残っています。失敗のリスクに打ち勝つほど自分の可能性を信じぬくことは、当時の自分にはできませんでした。これが1つ目の後悔です。

2つ目は、自分自身でサッカー部のトップチームでの活動を辞退したこと。その時の理由は、「勉強に集中できないから」「本気でサッカーを楽しめなかったから」、しまいには、「応援団長の自分がトップカテゴリでの活動に入りすぎると、チーム全体を見られなくなってしまうから」というもっともらしい言い訳を考えついてもいました。これは3年生の中盤での決断でした。

僕はサッカーが全く上手くないのです。まともにボールコントロールもできないし。以前どこかでも書きましたけど、自分がミスして、ため息が漏れること、舌打ちが聞こえること、不機嫌そうな顔をされること、そんなのサッカーでは当たり前だけど、はるか遠くの次元で戦う選手たちからのそれは、当時の僕にとってはあまりにも重たいものでした。

だから、高いレベルの選手たちと共にプレーをするのが怖かった。ただそれだけなのです。批判されたり馬鹿にされたりすることへの恐怖が、自分への信頼を上回ることが無かったのです。

半年前に「サッカーで頂点を目指すから、勉強ではトップを目指さない」と言った人間が、「勉強に集中できないから、楽しくないから、という理由でサッカーにおいてトップを目指す」ことを辞めたのです。半年前に自分についた嘘に、半年後に嘘を重ねたのです。

この2つの後悔を知っている人はほとんどいないです。今でもこの選択が正しかったとは思えないし、何しろこの話をすることが、自己を否定することに直結するから。

僕は普段大口をたたいて、「周りと違うことをしたい」「大きなことを成し遂げたい」「世界を変えたい」「挑戦を続けたい」と言い続けています。小学校の卒業文集に書いたのは、将来サッカー選手になって、ワールドカップに出場すること。自分を信じて挑戦を続ける御厨優がいる反面、恐怖から逃げて安全な所で自分を守ろうとする御厨優もいます。

この2つの選択における後悔が今でも僕の大きな原動力になっています。周りから触れられると一番心が苦しくなる2つの原体験です。だからこそ、このタイミングで選手たちに伝えたいと思ったのです。御厨が一番苦しんだこと。そして、それが指導者を始めるきっかけとなったこと。

僕が指導者を始めた理由は単純に楽しそうだから。しかし、裏にあったのは、自分と同じように苦しい想いをしている選手を助けたい、力になりたい、勇気をもって挑戦できる人間になってほしい、というものでした。勇気も自信も実績もない人間の捻り出した選択が、久我山でサッカー指導者をすることだったのです。選んだ道を正解にしようと必死に隠し、もがいているのです。

この選択は、初めて自分で選んで挑戦したものだと思います。大学生という時期のスタートにおいて、このチャレンジグかつエキサイティングな道を選んだ自分を誇りに思います。

選手たちには、恐怖に負けそうになっても自分を信じて挑戦してほしいと。よく言っていたのは、そこで辛くなった時に仲間がいるのだと。仲間を頼って、挑戦を続けなさい、と。「未来の自分を変えるために」本気で挑戦しなさい、と。

指導者をやって一番に感じたこと

指導者をやって学んだことなんか数えきれないほどありますよ。俗にESに書けそうな経験なんかいくらでもあります。「常に決断と実行を繰り返したこと」「全く異なる他者を同じ目標に向かわせたこと」「他者の抱える課題を論理的に解決したこと」などなど。

でも一番に感じたのは、「全力で何かに向き合ったら、返ってくるということ」。こんなにすっごい単純なことなんです。

選手が楽しく上手くなるためにTRや試合の戦い方を毎日毎日考えたこと、どうやったら上のカテゴリのコーチが見てくれるかを考えて何度も交渉したこと、本気で悩む選手と何度も話したこと、試合中鼓舞し続けたこと(御厨は無限に「力抜けー!」と言い続けます)、コーチなのに馬鹿みたいに声をあげて選手権で応援をしたこと。

全部選手のために本気で向き合ったから、みんな信じられないほどサッカーが上手くなったし、楽しんでプレーしてたし、言っちゃえば地区リーグの選手なのにめちゃめちゃ戦術的なプレーも実行できるようになったし、上で活躍して評価される選手がいっぱい出たし。

超絶綺麗事ですけど、彼らの成長がこの2年間の生きがいだったし、何よりも僕自身を大きく成長させてくれました。

正直自分は冷たいし人に決して優しくはない人間だけど、自分の選手だけには心から彼らの成長を願って日々過ごせたような気がします。だって、子どもにとって、それだけ周りの大人の存在って大事でしょ。親とか、先生とか、監督とかコーチとか。その存在がこの先の道を大きく左右するし、言っちゃえば人生の一部を背負っているとも思うんです。

だから、自分自身がいくらサッカーが下手でも、たとえ勇気が無くても、グラウンドに立った時間は指導者として彼らに全力で向き合おうと。昨日、選手にこんなLINEをもらったんです。

御厨コーチ
1年半ありがとうございました!
今まで関わってきた大人の中で
1番いい人で好きな人だと思います。
バカ楽しかったです!!

最高じゃないですか。言葉が淀みなさ過ぎて最高。泣いちゃうって。こんな言葉をもらえる仕事あります?まじでみんな指導者やった方がいいよ笑。本当に素晴らしいですよ、練習や試合を理由に、デートも飲み会も成人式ですら行かなくて良いのですから。

冗談はさておき。僕は全力で指導者として選手に向き合った分、たくさんの喜びと成長と感動と生きがいを貰いました。だから、選手たちにもこれを伝えました。「全力で何かに向き合ったら、返ってくるということ」。サッカーでも勉強でも恋愛でも何でもいいから、本気で向き合ったらその分自分の大切なものとして残り続けるよ、と。

選手たちへの感謝

最後は、とにかく「ありがとう」を伝えました。周りのどんな存在よりも彼らと接していた時間の方が長いのではないかと思います。普通に家族や友人や彼女とかよりも。そりゃあ、好きにもなるし想いも強くなるし。

そんな奴らが喜んでたら嬉しいし、楽しんでたら楽しいし、成長したら自分も成長できたような気にもなるし。

薄給で長時間労働で土日出勤のやりがい搾取な仕事ではあるけど、その分のやりがいは余りにも大きく、自分の人生史を振り返った時に最も大切な時間だったと胸を張って言えると思います。

留学や起業みたいな辞めるにあたってのたいそうな理由はありませんが、もともと「指導者は2年」と決めて始めました。もっと世界を広く見て、異なる分野でも戦えるように。もっともっと強くなって、いつかまた指導者をやりたいとも思っています。ギアフォースは使えるくらいにレベルアップしなきゃとは思いますが。

久我山で出会ったこの縁は切れることは無い。また、サッカーを続けていたらどこかで出会えると。選手たちからたくさんの感謝の言葉を貰いましたが、全部に「こちらこそありがとう」と100倍で返したいです。

どんなに辛かったり気分が落ち込んだりした時でも、この場所に行けばみんなとサッカーができました。ただ楽しくて、刺激で溢れていて、成長できて。2年早かったなあ。マジ秒で終ったな。本当にありがとうね。

おわりに

ここで久我山サッカー部コーチとしての旅はいったん終了ですが、ここからも御厨優はアクセル全開で進んでいきますよ。また、久我山のサポーターとして全力で応援は続けていきます!

指導者の方々、先生方、保護者・サポーターの皆さん、友人、家族、仲間、そして選手たち。本当に最高の時間でした。ありがとうございました!御厨優を今後ともよろしくお願いします!

【p.s.約4000字泣きながら書いたので、ここまで読んでくださった皆さん、大好きです!】

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