見出し画像

美しく勝て

こんばんは。ゴーストライターが付いているでお馴染みの御厨です。

勝てなかったですね。悔しいし、もっとやれた気もするし、勝てたとも思うし。「もしも」のお話は、試合に出ていた選手の方が死ぬほど感じていると思うので、ここらで終いにしておきましょう。ピッチに立てない者がすることは、全力で勝利のために応援すること、負けたらすぐに立ち上がることです。

さてさて、我々國學院久我山サッカー部の理念は、お馴染み「美しく勝て」でございます。これってどんな意味か皆さんご存知でしょうか。リズムの良いパスサッカー?かつてのオランダ代表のようなトータルフットボール?それともマンチェスターシティのサッカー?

これらは、どれも正解で不正解です。我が師匠李さんはよくこんなことを言っています。

「おいらは一度もパスサッカーを目指しているなんて言ってないんだけどなあ(笑)」

と。みなさん驚きましたか?久我山は別にパスサッカーを志向しているわけではないのです。日テレのアナウンサーの発言は、本質とはややズレていると内部の人間は思っているわけです(笑)。我々が目指すのは、ボールを持ってシンプルにゴールを目指し続けること。そして、ボールを奪われたら再び奪い返してゴールを目指すこと。そこに必要なのはテクニック。テクニックとは、ボールコントロール・ポジショニング・状況判断。これが久我山のサッカーの根幹にあるものです。

そういう意味で、今シーズンのチームを形容する枕詞として使われていた、「久我山なのに前に速い」というのは、少々間違っているのです。ゴールを目指すのが本質で、そこのシンプルさを追求するのが我々なのです。

少し脇道に逸れましたが、ここからが本題です。「美しく勝て」についてです。この言葉には二つの要素がありますね。「美しくあれ」と「勝て」の二つです。

「勝て」は単純明快ですよね。試合に勝つこと、勝負に勝つこと。なので、今日はミッションコンプリートならずです。無念。

厄介なのが「美しくあれ」です。「美しさ」って何でしょう。定性的な評価しかできないのですよね。美しさに点数をつけるのって難しいというか、間違っているというか。別にパスを何回も繋ぐサッカーよりも、ロングボール・走力・気合のサッカーの方に「美しさ」を感じる方も多くいますしね。話は変わりますけど、さや香が好きな人がいれば、ウエストランドが好きな人もいるし、ヨネダ2000が好きな人もいるのです。そこに定量的な採点を用いれば、当然評価のブレは生まれますよね。その評価を非難するのはナンセンスなのでは、と思うのです。まあ、運命懸かってるから仕方ないか。

「美しさ」とは人間個々の内側に宿るものです。なので、共通の何かを描くのは非常に難しい。我々は、そんなチャレンジングなことに挑戦し続けているといえば、少し聞こえがいいのではないでしょうか。

そんな「美しさ」ですが、僕の中で一つ明確な定義があります。

それは、人の「心を震わせる」ことです。

言語化できるものではないですが、心の内からグワっと何かが湧き起こる感覚。アタマとココロとカラダが釘付けになる感覚。自然と喜怒哀楽の感情が巻き起こる感覚。人の心を震わせる。それが、「美しさ」。

音楽、絵画、映画、風景、小説、スポーツ。そして我々にとっては、サッカー。我々はその足で誰かの心を震わせることができる。そして、それが叶った瞬間「美しい」サッカーができたと言えるのではないか。しかし、答え合わせは、いつになってもできないと思います。言葉や数字にならないものを追い求めていくのだから。でも、だからこそ、追い求めていくのです、「美しさ」を。哲学的でしょ。そうなんですよ。うちのサッカーは哲学なんです。李監督は哲学者ですからね(笑)。

今後も久我山というチームは、その美しさを追及していくでしょう。しかし、その答え合わせは皆さんがそれぞれの心の中でしてみてください。その基準は「心が震えたかどうか」。今年のチームは間違いなく、僕の心を震わせてくれました。帝京戦は人生の中で最高のベストバウトでした。本当に心震えたぜ。3点目はガチで100回以上観てるからな。

たと、しゅんや、小栗、ユウゴ、トウア、なるき、一路、駿、かんた、さく、ナオキ、やまけん、オト、太郎、塩貝。みんなお疲れ様。コーチとしてではなく先輩として、最後まで心震わせてくれたみんなを尊敬してます。これからも俺の心を震わせるプレーをし続けてほしいな。とりあえず受験頑張ろうな(笑)。

「美しく勝て」。哲学的で抽象的で、先の見えない俺たちのゴール。でも、きっと俺たちのサッカーが誰かの心を震わせている。そうあり続けられるように、今後も歩みを進めていこう。久我山サッカー部。

【おわりに】
僕は今シーズンで久我山サッカー部を離れます。理由は、大学の4年間の中で新たなチャレンジを起こしたいと感じたから。これは1年前から決めていたことです。どのステージでも、「結果を求めること」そして「美しさを追及すること」を自分の大切な軸として、今後も歩みを進めていきます。そして何より、久我山サッカー部を今後とも応援よろしくお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?