好きという鏡像
君はスクラップブックを知ってるか?
漫画、ブルーピリオドで美術の予備校生たちが課題で作っていたアレだ。かく言う私は2年ほど作っていた。と言うのも、実は私は美術部だったしアート方面で人と関わらずに生きたいとか考えてた馬鹿でもあったからだ。
ちなみに絵の腕前はこの程度である。
下手くそが。
閑話休題。スクラップブックに毎週に何か目を引いたものをペタペタ貼る作業は正直めんどくさかった。
「いやー、違うんだよなぁ。俺は鉛筆一本で心に触れちゃう芸術家の卵なのだよ」
とか思いながら、嫌々やっていた。
ここで横道に逸れよう。
当時、同じ美術部だった女の子が人生初のデート相手であり、一緒に映画を見たし上野美術館にも行った。俺が会話下手すぎてダメだった……。
閑話休題。(それはともかくって意外と便利な言葉だって歌っている)
このスクラップブックは俺の心に引っ掛けを作ってくれた。今でも、思い出すことがある。それは「コンビニ・ララバイ」という小さなコンビニの店長の人情を題にした小説だ。その好きなシーンを切り抜いて貼り付けた。その近くには100均に置いてあるカタログから切り抜いた白人モデルを貼っていた。
それがなぜ心に残っているのか?
おかしな話になるが、心に残すことをしたからだ。ぼんやりとアウトラインすらない好きを俺の行為が輪郭と為したからだ。
だからこそ思う。
「好き」は明らかにしてあげないといけない。
だからこそ、俺はテクストに編み残す。
以下、好きなものを乱雑に語っていくーone of a kind?
ネタバレしまくりや
・ロード・オブ・ザ・リング
アラゴルンが「フロドのために」って突撃していくシーンで続くのが弱いホビット二人なのがいい。友情とは命をかけてもいいのだ。個人差あり。
・天元突破グレンラガン
宇宙に大きな穴を突き抜けた男が故郷の星で、惚れた女の能天気な願いを叶えるために穴を掘っては種を埋めていく。笑顔の花を求めて。
・クロスチャンネル
大人たちの欲望の対象となり壊れた少年が、何よりも求めていた母の愛が自分の奥底に気づく。何よりも遅く、遠回り。そして、かつては拒んだ他人を求め続ける。電波に想いを、ひとり乗せて。
・グッド・ウィル・ハンティング
虐待された天才児は人を愛せずに青年となった。その頭脳に多くの人は魅了されていた。ある日に青年は恋人と喧嘩別れをした。今の人生を変える勇気のない自分を虚勢で隠すために言葉で傷つけたからだ。それでも、恩師や親友たちにより青年は誰にも明かせなかった過去の傷と遂に向き合う。そして、大企業への就職を蹴り、親友たちから貰った車を駆り青年は向かう。恋人のもとへと。
・あしたのジョー
男のバイブル。俺の根性はここから来ている。ハマった時には80キロから52キロまで体重を落とすほど影響を受けていた。
・寄生獣
母の形をした生き物につけられた傷を、母の形をした生き物に癒してもらった。ただいま。
まだまだたくさんあるが、これ以上羅列していくのがめんどくさい無限に時間がかかりそうなのでやめようと思う。
近年、B級映画を晒しては如何につまらないかを囃し立てる風潮がある。俺はアレが嫌いだ。良さを見ずに欠点を見る行為でしかないからだ。
人間で喩えるならば、クラスの成績不良者の粗探しをし続けてるのと同じだ。
デビルマンはCGすごかったし、キャシャーンは最後まで戦争反対というテーマを貫いたし監督の美的センスが光るラストだった。ドラクエユアストーリーはドラクエの主人公でなく、ドラクエをするゲーマーが主人公であり正に俺の物語だった。シャークネードは毎回こちらの予想を裏切って独特の世界観を築き上げながらも最後にそれを振り切った。
映像美がすごかったり、低予算特有の演出をしたり、会話の間が現実のようだったり。
探せば見えてくる長所をぱっと見の短所で見えなくするのは勿体ないだろう。
一見、ふざけた人間でも頭を叩けば哀しい音がするものだ。
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