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ついに見た!ドラマ『カバチタレ!』が最強だった

ついに、あの、テレビドラマ『カバチタレ!』を全編見ることができました。

なぜカバチタレ?

『カバチタレ!』は、2001年にフジテレビの木曜10時枠でやっていた、連続ドラマです。
当時はわたし、ほとんど知らず、見ていなかったみたいです。

なぜ今ごろ『カバチタレ!』かというと、ダブル主演の主人公の一人が行政書士で、おもなドラマは行政書士業務にかかわる設定だからです。

行政書士を目指すようになってから、原作漫画の『カバチタレ!』を大人買いしていたのですが、1巻途中で挫折していて……。

でも、行政書士のことを人に話すと、「あー『カバチタレ』ってドラマ、行政書士ですよね」と言われることが何度かあり、世間の行政書士認知を一部形成しているということを実感したのです。あの「山Pの」って枕詞が付くこともあります。山下智久さんが高校生時分で出演されているので、その同世代くらいの認知度が高いとも思われます。

ともあれ、行政書士がどのように描かれていたのか、知っておきたいとずい分前から思っていたのですが、ネット配信は一切されていません。
そしてやっと、レンタル落ちの中古の中古が流れついたのです。

見始めると……おもしろくて一気見、あっという間に見終わってしまいました。(その間ほかの事ができてないのは目を瞑って…)

時代を映すドラマ

あえて敬称略しちゃうのですが、深津絵里(現50)と常盤貴子(現49)は、1,2コ上のイケてる同世代女優さんの代表格で、必然的にそのお仕事ぶりにはいつも注目してきました。

常盤さんといえば人気ラブストーリードラマの常連だし、ふかっちゃんなんて、昔から選ぶ作品のセンスがよく(映画『ハル』とかドラマ『きらきらひかる』とか)、ティーンエイジャーの頃からモデルをやったら路線がクールだし、ゆえに、友だちの間でも話題になるほど、憧れの的だったわけです。ふかっちゃん風のショートカットが似合う友だちも多くカッコよかったですね。

そんな二人がダブル主演だったのに、当時まったく見てなかったのは、自分自身も彼女たち同様、自分のことで忙しかったからでしょうね。夜10時に家でドラマを見ることに憧れつつも、帰れないし!みたいな、劇中の設定そのままだったのかもしれません。

そういう意味では『カバチタレ!』は28歳の女性のリアルをコメディタッチで描きながら、設定や長台詞にはトレンディドラマの名残があって、事件を扱えば社会問題にも踏み込む、とにかく盛りだくさんの内容だったのです。

どんなお話?

ショートカットの深津さん(栄田千春)は、原作では男性で行政書士になる前から描かれていた主人公を、クールでファッショナブルな女性行政書士に設定変更。

薄幸で優しい常盤さん(田村希美)はドラマオリジナルキャラで、この2人が出会ったことから、互いの人生に影響を与え合い、やがて名コンビとしてストーリーが展開していきます。

全11回のタイトル一覧を見てみましょう。

<第1回> 「恋する女、温泉に売られる」
<第2回> 「暴走!包丁もったオバさん」
<第3回> 「あっ!と驚くいい男とカレーうどん」
<第4回> 「恋人は子持ちで痴漢なの!」
<第5回> 「免停と交通違反キップで警察と対決!」
<第6回> 「浮気妻慰謝料サギと家賃値上げを撃退」
<第7回> 「甘い罠商社マンが出張ホストで転落!」
<第8回> 「暴力夫に気づかれないで離婚する方法」
<第9回> 「嫌がる夫と緊急離婚!届出は24時間OK」
<第10回>「ブリーフの白い色は恋人の色」
<第11回>「セクハラ男に置き去られ結婚式で恥をかく」

フジテレビHPより

このサブタイトルや、ドラマ全体を見ていて、とっても時代を感じながら、一方で、思い出したことがありました。

『逮捕しちゃうぞ』との共通点

昔お仕事で関わっていたことのある、アニメ『逮捕しちゃうぞ』です。
だって、なんか似てる……

『逮捕しちゃうぞ』も人気漫画が原作で、女性警察官の名コンビ夏実と美幸が主人公の痛快コメディ。女性主人公のお仕事バディものの代表傑作です。

奇しくもわたし、このドラマと同じ2001年に放映されたアニメ『逮捕しちゃうぞ SECOND SEASON』に関わっていたのでした。

当時、ぺぇぺぇのアシスタントPとしてSECOND SEASONの脚本打合せに同席させてもらっており、そこで脚本家のお仕事というものに、偉く感動していたのでした。TV2クール全26話を統括するシリーズ構成の方と、数人の脚本家で各話をまわし、監督、プロデューサーらによって何週にもわたって推敲された脚本がやっと仕上がる…。そこから絵コンテになり、アニメーションになり、声が吹き込まれていく…。あ、アニメ制作の話ではないのですが、アニメもドラマも、脚本家とその脚本が創作の根幹であると、現場で学んだ経験でした。

『カバチタレ!』に戻ると、篠原涼子演じるミニスカ婦人警官が主要キャラで登場してるところも、同時代性を感じずにはいられませんでしたが、なにより脚本です。このドラマのすべては脚本だと言っても過言ではないでしょう。脚本は大森美香先生、当時30手前じゃないですか、大出世作ですね。

『カバチタレ!』が女性脚本家である点は、原作から大きく離れてひとつの作品に生まれ変わった要因でしょう。

行政書士ドラマとしてどうか

正直なところ、いまこのドラマに出てくる行政書士が行政書士の仕事だと思われると困ってしまいます。原作を最初から読むと設定が古いな、と思ってしまうのと同じ、設定はだいぶ原作に忠実なところもあるので。

弁護士の小林聡美が、舞台となっている行政書士事務所の仕事を、弁護士法に抵触していると業際問題を突いてくるのですが、それはそうだろう、と。だって、栄田千春が勤める行政書士事務所、紛争に首突っ込みまくるんですもの。行政書士がかなり危険の伴う仕事に描かれています……。

原作は広島が舞台で、だから「カバチタレ」は広島弁で文句や屁理屈を言う人のこと、転じて「屁理屈言うな!」といった意味のようです。そのタイトルのとおりに、痛快なお仕事コメディに仕上がっています。

当時の行政書士会が、このドラマにどう関わり、利用したのか、気になりますね。「行政書士」の認知度アップには多大なる貢献をしたはずですから。

とはいえめちゃくちゃ面白い

DVDがときどき止まったり音が途切れたりしながらも、なんとか全編見れたのは、貴重でした。昔のドラマってクオリティが高い!と見直しました。

「制作陣の本気度が高い」というのは中古DVDからも伝わってくるものなのです。20年後にどう評価されるか、という観点だとすると、今現在のドラマとは比べられるものではありません。トレンドを追っていても、大切なのは描きたい、伝えたいものに、本気で向き合う姿勢なのだと思います。

28歳の働く女性の代表としての栄田さんの葛藤や、常に弱者の味方であろうとする希美の真っ直ぐさ、がストレートに刺さります。

どこを切り取っても迫真の、拍手を送りたくなる最高の演技をしていた深津さん。3年前に朝ドラ主演を果たし、その貫禄を見せつけていたのも当然だと思えます。

一方の常盤さんも、ちょうど今クールのお仕事ドラマ『それってパクリじゃないですか?』(NTV)に出演していたので、拝見していました。こちらは知財を扱ったお仕事ドラマなのですが、今度はデキる上司役として、貫禄と成長っぷりを見られたのもナイスタイミングでした。

複雑な立場の名作ドラマ

そんなこんなでドラマ『カバチタレ!』、個々のエピソードにはひとり突っ込みするほど、見入ってしまいました。

ドラマ内では「行政書士」を「代書屋」と(自他ともに)連呼されていますが、昔は本当にそう呼ばれていたようですね。代書屋に誇りを持って、内容証明をそらで手書きで書きあげちゃう栄田さん、わたしも憧れてしまいます。

行政書士としては、いま配信されずに見られないのは、(勘違いを生むという意味で)ありがたいような…。でも、こんな名ドラマが広く見られない状態なのはもったいない! と複雑な気持ちです。

同世代だけに発見の多かったドラマですが、だれにとっても、お仕事するなら心に栄田さんと希美の名コンビを置いていたら、良い仕事ができるんじゃないかと思うのです。


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