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開業の名刺づくり~活版印刷がドンピシャだったわけ

書体について考えた読書ノートからのつづきで、最近新しく作った名刺の話です。

スピード名刺もやってみた

行政書士試験に合格後、登録までしばらく期間があったため、その間に会う人に渡す名刺は、とりあえずCanvaで自作して、ネットの格安スピード印刷でオーダーしました。

早いし安いし紙も選べて、個人の連絡先を記したカードとして問題ありませんでしたが、あくまでとりあえず。わたしにとって新たな肩書きと事務所名を伴う一歩目の名刺は、あらためて作るつもりでした。

じつは自分で作ってみると、思いのほか文字が小さかったり、選んだ紙のせいで色のイメージが異なったり、いろいろと反省もあり、難しさを感じていました。

どうしようかな、と考えているうちに思いのほか早く登録が完了することが分かったので、以下のnoteのとおり、自分の名前を表明するときがきた!と勢いで名刺を作りに出かけたのです。

活版印刷がドンピシャ

タイトルに書いたとおりで、新しい名刺を活版印刷で作ることにしたのは、いくつかの出来事が重なったからです。

最初は、先日銀座で会った友人でした。アナログをこよなく愛する彼女は、おもむろに活版印刷の見本を見せてくれました。ちょうど名刺を作ろうとしているところへ、申し合わせてもいないのに、なぜか名刺の刷り見本も持っているという……いま思うと不思議な展開です。

それを触らせてもらうと、そのインクの載った風情が、当然スピード名刺とは違う独特の印象を醸して、味があるものでした。映画監督の西川美和さんが映画のタイトルに使っていたとか、そんな情報も聞いて納得です。

そうこうしているうち、フォント愛を綴った本『文字の食卓』で各種和文書体の成り立ちや奥深さを知ったら、自分で書体を選ぶなんてハードル高すぎでしょ、と。

そこで! 活版印刷なら、すでにある鉛でできた活字を組んで版をつくるから、フォントはあるものしか選べません。しかもその「活字」は、これまで数えきれない印刷物に使われてきた、それこそ「活きた書体」なのではないか、と思った次第です。

ちょうどいくつかの出来事と自分的タイミングが重なって、活版印刷という選択肢に行き着いたのでした。

中村活字

友人にもう一度聞いて、いくつかの活版印刷の候補を検討した結果、銀座にある中村活字を訪ねたのでした。

以下2015年の記事ですが、いくつもの逸話をもつ、活字印刷屋さんです。

(株)中村活字

名刺を作りたいと言うと、先例の名刺のファイルを見せてくださいました。興味深く拝見したのですが、それぞれが当たり前に別の顔をしていて……一つ一つ見入ってしまうほど。知っているお名前もチラホラ発見しました。

ある程度レイアウトを考えて持って行ったので、イメージに近い形にできそうとなったけれど、最後に迷ったのは自分の名前のサイズでした。
自分の名前で作ることが第一にあったんだっけ、と思い出し、活字の味がより色濃く出るという、大きい方でお願いしました。

印刷には1週間はかからないと言われていましたが、翌日には完成の連絡がありました。それって、ちょうど行政書士登録が完了したその日だったんですよね。

翌日取りに行くと、引き取り手を待つ袋がたくさん並んでました。
2018年のこちらの記事にも中村活字の名刺の人気について書いてありますが、それは今も続いているみたいです。

想像以上に、美しい仕上がりの名刺が刷り上がっていました。

直接会って渡したい

振り返ってみると、偶然の成り行きのようであって、本来の名刺づくりの順序とは違うのかもしれません。

でも、これが「わたしらしい」気がしています。自分の頭の中が誰かやなにかとリンクしてたり、点と点がつながっていくのが面白いし、そこから今後の自分のあり方を発見していくような感じ。
いつも手探りで試行錯誤だけど、そこに意味があると思えるのです。

そんなこんなで、まだ開業前ではあるけれど、先日の読書会ではネタも絡めて、みなさんにお渡しすることができました。

これから、旧知の知り合いには会って開業の挨拶をしていきたいし、これから出会う方々にも、どうか直接お渡しさせてください!
今回がそうであったように、たくさんの良い出会いがあると信じて。





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