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『量』は『質』を生む。

『量』は『質』を生む。これはよく言われることですね。
『質』を高めるためには『量』をこなす必要があるということです。

『質』は本人の実力がアウトプットとしてだされた結果だといえます。
スポーツ選手だと成績でしょうし、コピーライターだと人々を感動させるような文章だったりするでしょう。余程の天才でないかぎりはそのアウトプットをだすために一定の『量』をこなして実力をつけていっているはずです。

この『量』のこなし方は人によって違いがあると思いますが、第一線で活躍している人は幼い頃から好きでその道の『練習』を繰り返していると思うので、本人は『量をこなしている』と思っていないかもしれません。
※例えば、幼い頃から絵を描くのが好きで画家になった人は『絵を描く』のが好きだっただけで『練習』とは思っていなかったはずです。

稀に「量をこなすよりもひとつひとつの質を高める方が大事」ということを言う人がいますが、そのアウトプットをみると残念ながらまだ質を高められるほどの実力に達していないことが多いです。
コンスタントに高い質のアウトプットをだせるようになった人が言うのは良いと思いますが、基礎的な実力がつく前に上辺だけの質を求めてしまうと中身のない人になってしまうので注意が必要です。

量をこなすためには継続力が必要になるので、嫌々量をこなしているのであれば、それは自分には向いていないんじゃないかと疑うのもアリかと。
目指すべきGoal(もっと上手くなりたい、とかでも良いと思います)があって、そこに向けて量をこなしているという意識がなければけっこう辛いことだと思います。

量をこなしていくと下記のように順を追って成長していきます。

①知らないことを知っていく:
当然ですが、やったことがないことをやるのは『知らないことを知る』ということ。まずはヘタでも不器用でもいいので成果は気にせずに『知る』ことを目標に始めてみることが大事です。繰り返し同じ動作をしていくことで熟練されていき、全体像が理解できていきます。

ここで大事なのは『基礎』を学ぶことです。
いきなり上辺のテクニック論から入ってしまうと本質を理解せずに見せかけの技術だけで次に進んでしまうので、いずれ壁にぶち当たった時に突破する力がない、ということになりかねません。野球選手が素振りを何度もやるように、反復練習をして身に染み込ませることが大事です。
※自分のやっていることがきちんと自分で説明できるようになると『理解した』ということになるのかもしれません。

この段階では全体と細部を知って基礎をつくることと、繰り返し行うことで少しずつスピードを上げていくことを心がけていきましょう。ここができないと次のステップの『短縮』や『応用』に進むことができません。
②周囲からの評価を得る:
①を繰り返すと熟練してきてスピードが上がると同時にアウトプットが一定のクオリティを常に担保できるようになってきます。周囲から信頼されるには『まぐれ当たり』な質の高さではなく、一定のクオリティを担保できるようになる必要があります。・・でないと安心して仕事を任せられません。

①によって基礎がついたかどうかは自分で測るのは難しいかもしれないので、自分が定期的にだすアウトプットや仕事の進め方等の評価を周囲にしてもらって認められるものかどうかを測った方が良いでしょう。
※定期的に評価され続けられるかどうかが大事です。

WEBでのアウトプットだとログから数値をみることもできるので、それによって自身が生み出したものの評価を客観的に知ることもできますね。

この段階がクリアできるようになってから少しずつ「貴方に任せるから」というような信頼から生まれる裁量権が渡されるようになっていきます。
③時間を短縮していく(数をさらに増やす):
①と②までは先輩や上司から教わる部分が多いかと思いますが、そこをクリアして裁量権が多く渡されていくと自身でコントロールできる幅が一気に増えると思います。

一定のクオリティが出せると周囲に認知されたのであれば、次は自身の個性をだしたり、さらに多くの数をこなす方向に意識を向けていくことになります。いいかえると『自身の影響力を増す』段階といえます。

まずは一定のクオリティを保ったままで、さらに数をこなせるように工夫していきましょう。仕事の全体像が理解できたならば業務のなかで必要/不必要な部分の判断やフローの改善の検討ができるようになっていると思います。それらを実行することで工数を減らし、対応できる案件の数を増やすことができれば自身の周囲への影響力は増すことができるでしょう。

稀に『時間をかけて良いものを創りたい』という人がいますが、優秀なビジネスマンは『限られた時間のなかでベストなアウトプットを出すことができる人』だと思います。必要以上の時間をかけて良いものを創るのはそれは仕事ではなく趣味の世界です。よっぽどの大御所や個人名で仕事をとってこれる人なら別なのかもしれませんが、クライアントがいて、そこから対価をもらう仕事をしているのであれば、決められた枠のなかでベストを尽くせる動きを心がける必要があると思います。
※そのためにも不必要な時間を減らし、その時間を使って質を高める活動をしましょう。
④学んだことを応用していく(自分ならではの個性を出す):
一定のクオリティがだせるようになり、さらに数をこなせるようになったあとは、いままで学んだことを応用して自分なりの個性を出すことをしていきましょう。基礎があってこその応用なので、ここのアウトプットで周囲から認められれば『唯一無二の存在』になっていけると思います。

『量をこなす』といっても何も考えずに作業をしているだけでは成長はありません。量をこなしている最中でも「もっと効率的なやり方はないか?」「もっとクオリティを上げる方法はないか?」などと考え(自問自答)ながらPDCAを回していかないと、いつまでたっても成長はないと思います。
『やっつけ仕事』的に量をこなしても意味がありません

また『量をこなす』ポイントがズレていると意味がありません。
量をこなすポイントは本質的なところであって、その周辺領域ではありません。例えばWEBアナリストが量をこなすポイントは考察部分がメインであって、レポートをキレイにつくることではありません。
※そこのとらえ方がズレている人をよく見かけます・・。
やるべきポイントを間違ってしまうと、まったくGoalにたどり着かないので、きちんとターゲットを定めて量をこなしたいものです。

あのイチローでも「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道」と言っています。量があってこその質ですので、地道な道のりと思いますが、飛躍的なショートカットはあまりないと思うのできちんと実力をつけて一歩ずつ進んでいってもらいたいと思います。

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・・・さて、ここまでは自身がプレイヤーだった場合としての話になりますが、(立場によっては)自身が『量』をこなさずに『質』を手に入れる方法もあります。それは『優秀な他人(サービス含む)を使うこと』ですね。
※その場合の優秀な他人は自身がプレイヤーである必要がありますが。

求められること(目的)が『高い質のアウトプットをだすこと』なのであれば、自身でやるかどうかはどちらでもいいわけです。
ある意味『お金で時間を買う』と言われるM&Aもその一種かと思います。

例えば「おいしいラーメン屋を作る」ことが目的だった場合、必ずしも自分がおいしいラーメンをつくれる人である必要はない、ということですね。
おいしいラーメンを作れる人を雇えばいいのですから。
※ただし、その場合は『経営者としての量をこなす』必要がでてきますね。
この場合は「おいしいラーメン屋をつくる」ことが目的であって「自分でおいしいラーメンをつくる」は手段(選択肢)のひとつでしかないわけです。

自分は何を求めていて、周囲からは何を求められているのか、ということがうまくマッチングできることが大事だと思います。

立場によって求められることが変わるのでいろいろな視点がありますが、ここについては別の話になってしまうので今回は割愛します(苦笑)。

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