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【読書メモ】背景を考える本 4冊

イラストや漫画の背景のことを考えて早3ヶ月。
上達は微々たるものですが、参考になった本を紹介します。

私の場合は漫画を描きたいから背景の描き方を知りたかった動機なので、色塗りよりは背景のパース重きをおいた選書です。

ただ色があろうがなかろうがパースは役立つので、いろんな方の参考になると思います。

そして最後に「背景を描く」ということについて思ったこと、近況を述べたいと思います。

【1冊目】吉田誠治作品集&パース徹底テクニック

こちらは人気絵師さいとうなおき先生もおすすめの1冊

吉田誠治(ヨシダセイジ)さん略歴
背景グラフィッカ、イラストレータ。ゲームメーカーの原画兼背景グラフィッカーを経て、現在フリー。多数のゲーム背景ほか、書籍装画なども手がける。コミックマーケット97では紙袋イラストを担当。

Amazon商品紹介より

こんな壮大な背景かけるかな、という気持ちで最初は買うのを躊躇していました。

でも実際読んでみておもしろかったのは「ごまかしかた」「それっぽく描く」といった、手抜き方法が載ってるところです。

例えば窓の前に立ってる構図を描きたいとき、
左の構図じゃなくて、右の構図の方が描きやすい。

ちゃんと背景を描かなきゃ、パースの勉強しなきゃ、と思ってると、難しい方向に進みがち
そこを楽にしてくれるテクニックがなかなかおもしろかったです。

もちろん基本的なパースの考え方や背景の描き方の練習も載っています。
背景と人物のサイズ感や模写についてなど基本もわかりやすく学べる点、色塗りもしたい方も満足の本でしょう。

パースは大切だけど、なにを描くか、なにを表現したいか、というのが大事。
決まり事にこだわりすぎると進めなくなるから気をつけよう、というのがこの本からの一番の学びです。

参考動画(本の紹介や著者のインタビューなど)

動画の最初に紹介されていて、この本の魅力を熱く述べられています。
本の内容もちょっと出てるので気になる方はぜひ。

こちらは京都芸術大学の講座で1時間半くらい
コメントに「かわいい」「かわいい」って書いてあって、なにがかわいいんだろうって見たら、確かにかわいい。吉田誠治さんが。

ちょっと長いので途中の木の部分だけ見たのですが、それでもこういう感じで塗ってる空気感は伝わってきました。

かわいい言われてるとはいえマスコットキャラみたいな人か、というとそうではありません。

美少女ゲームの背景を描いて重宝されたところが仕事の始まりで、ここまで来たというリアルなインタビューがなかなかおもしろいです。
なるほど、こういう人…という意味で好感を持つ方も多いでしょう。

絵を描きたい、と思っている人に軽く刺さるいい6分の動画です。

【2冊目】背景描きかた漫画

沼原望さんという漫画家さんの本です。
この本はkindle Unlimited(読み放題)にも登録されています。

背景が描けなくて、はじめは宇宙を舞台にして背景を描くのをごまかしていた著者が、一念発起して背景の描き方を学んだ知見を漫画で丁寧に説明する本です。

線画なので先ほどのようにカラーの塗り方を学びたい方には物足りないかもしれません。
ただ、パースを学ぶ上では線画もカラーも変わらないので、こちらも読んでみるとなるほど、です。

読み進めていくと徐々に難易度が上がりますが、漫画なので読む流れでステップアップしていくのがいいですね。

登場人物の疑問は、初心者がつまずくところをしっかり抑えています。
プロのイラストレーターが感覚で書いた本と違い、背景が苦手な著者が勉強して書いた、というのが伝わってきます

この漫画の舞台が学校なので、学校を舞台の作品を描きたい方は思わず筆を取りたくなること間違いなし、です。

参考動画(沼原望さんのメイキング)

著者の沼原さんの作画動画です。
ペン入れから始まってますが、その前にどうやって下書き描いてるのかしりたいよ!というもどかしさがあります。

ただ実際に描いているのをみると、やっぱり感動しますね。
前の方は細かいけど、遠くはただの線で…ああ奥行き…とか思ってドキドキします。

【3冊目】コンセプト別 世界観のつくりかた

こちらの本は人気のクリエイター5人の作品のメイキング紹介です。

刈谷仁美さん、しらこさん、yomochiさん、高妍さん、banishmentさんという方々です。
(すみません、私は刈谷仁美さんが朝ドラの「なつぞら」の方、ということしか知りませんでした…)

クリエイターさんのお名前を存じてなくても、作品を見るとその魅力と描き方に学ぶことは多いでしょう。

特に刈谷仁美さんとしらこさんはiPadアプリの「Procreate」を使っています。
プロの方のProcreateのメイキングはまだまだあまり見ないので、Procreateでこんな作品描けるんだ~と感動します。

あとこの本は良い意味で地味です。

最近のイラストは、サイバー感とか都会的、幻想的、つやつやキラキラした感じが個人的にはあるのですが、
この本は現実的、地に足がついた風景、というジメッとした感じが私は好きです。

落ち着きのあるデジタルイラストを描きたい方は一読の価値があると思います。

参考動画(アニメーター刈谷仁美さんのメイキング)

この動画ではProcreateじゃないですが、デジタルでイラストを描いてる様子です。

シンプルなのにどうしてこんなに厚いんだろうって、本当メイキングを見ると学ぶ前にいろいろ考えてしまいますね。

こういうイラストが自分にとって目標なのかな、と今のところは思っています。

【4冊目】MAEDAXの背景萌え!

こちらの本は読んでないのですが、YouTubeがめちゃめちゃおもしろかったので、いつの日か買いたいなと思っています。

サンプルを見ると、時代による住宅のデザインの変化が紹介されていました。
「そうそう、これこれ!時代によって描き分けたい!!!!!」と大興奮。
しかし読むだけで時間が吸い取られそうと思ったので、購入には至ってません。

細部に魂が宿るってこういうことだな~と、好きな人は好きだと思います。私はめちゃめちゃ好き。

参考動画(アシスタント背景美塾Maedax派)

紹介したかったのはこの動画じゃなかったのですが、これもおもしろかったです。

衝撃を受けた動画は添削だったと思うのですが、街中の植木を描くときに萌え萌え言ってて「あ~たしかに、この葉っぱの描き方は萌え!」と興奮して、思わず次の日に植木をスケッチしました。

背景について考えたことメモ

いつまで経ってもぼんやりしている私ですが、背景のあるイラストが描きたい、背景込みで漫画が描きたい気持ちはあります。

NFTアートの世界だと背景は特に描かれてなくても、トレーディングカードみたいな感じで売れるものは売れるなあ、という印象です。

なのでNFT作品を早く高く売るには、人間を魅力的に描けるようになったほうがいいなと思います。

「魅力的な人間を描けたほうが早く売れそう」ということに関しては、先ほど紹介した吉田誠治さんのインタビュー動画で、
吉田さんは人間が苦手で、みんな人間を描くけど自分は風景を模写してた、というのが1つヒントでした。

(吉田誠治さんの描く人間は無機質で、確かに人を描きたい人ではなさそうだという印象を失礼ながら受けます)

やっぱり人間は人間が好き、というのは1つの真理。
人間を突き詰めて描く、というのは大事なことだと感じました。

人間を魅力的に描ければ母数が大きいので売上にも繋がりやすい。

普通にかわいい人間をかければ、NFTアートもそうですが、アイコン作成でもなんでも需要ありそうです。

もちろん、世界観は絵だけに宿るわけじゃなく、クリエイター自身や作品コンセプトにも宿すことができます

魅力的な人間を描ければいい、という短絡的なものではありませんが、やっぱり人間描けるのは大事だなと思ってます。

で、私も最初は魅力的な人間を描きたいと思ってたはずなんですが、うっかり漫画が描きたいという「世界観を作りたい」方向に進んでしまいました。
描きたいのは人だけじゃなくなっちゃったんですね。

「世界観を作りたい」というのは意識高い系でも自慢でもなくて、地獄です。
人も風景も力を入れるということは作業量増えて、時間だけがどんどんかかります。
全然上達の速度も遅いし心も折れそうです。

「世界観を作りたい」地獄をどうするか

少ない時間でそれなりに満足度の高い作品を作るにはいいのか。
手抜きと全体バランス、あとは自分のこだわりなのかな、と思ってます。

大人になるとデッサンとかパースが気になってしまうわけです、描けもしないのに、目だけは肥えて。

とはいえ人間の目はそこまで精度が高いわけではない。
どう手抜きをするか、どう目をごまかすか。

その辺りを学んでるところです。

でも基礎を学ぶことは「変だな」と感じたときに修正ができるところがいいなと思っています。
ただ基礎にとらわれすぎると怖くて描けなくなる、という気持ちもわかってきました。

しかし、基本も大事だけど全体のバランスを整ってればそれっぽく見えるんじゃないか?というのも感じています。

「首と頭のつながりが~」と悶々と考えるよりは、
「この人はどこで何がしたくて、どんな体勢をとってるのか?」から全体のポーズと背景を決める、と考えたほうがスムーズに作品ができるようです。

あとは自分が描きたい人や物の写真を集めることも大事だとわかってきました。

私は「女の子を可愛く描きたい!」みたいな具体的な願望があるわけじゃないので、
とりあえず新聞を見て、描いてみたいポーズや風景を模写したりクロッキー描いてみたりするのが最近の日課です。

「こういうシーンが描きたい」というのが浮かんで、そのシーンを描く速度が少しでも早くなるといいなと思っています。

ちなみに今日は「人のまつげを取るために、ティッシュを1枚取って、4つ折りにして、ぬぐい、ティッシュを丸めて捨てる」という動作を燃えるゴミを出しながらぼーっと考えたり、実際にティッシュを出す手を描いたりしました。

そういうどうしようもないこだわり、人の動きや、その周辺が描きたくてイラストを学んでると思うと、まじでキモいし時間のムダじゃないかと思いながら
今日も自分の世界を作るために描いています。

もしもこのnoteを読んだ方の、世界観づくりに役立つ本や動画があれば幸いです。

読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m


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