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【読書メモ】メタバース進化論

メタバースって一体なんだ?

勝手にメタバースっぽい4コマを書いていたけれど、ちょっと不安になってきて、noteにあったメタバースの記事をちょっと見てみました。

すると、ねむさんの『ソーシャルVR国勢調査2021』という、VRを実際に利用してる方の調査を発見。とてつもなく感動して、本も読んでみました。

『ソーシャルVR国勢調査2021』はこちら

読んでてめちゃくちゃ生々しい印象(いい意味で)がしたのは「原住民の実体験」という点でしょう。

私は今のところソーシャルVRを使う必要がないので本を読むにとどまっていますが、
読むだけで彼らの生活をのぞいたようで興奮しましたね!!!!

この本は2000円近くするので購入を躊躇する方もいると思います。
ただ、以下の方には強くおすすめです。

  1. ソーシャルVRをはじめる前に入門書を読みたい

  2. 2022年現在、メタバース・VRは何が楽しいの??

自分の勝手な感覚なのですが、ソーシャルVRの世界は90年代のコミケみたいな感じだなと思いました(その話は脱線するので最後にまわします)。

ソーシャルVRの楽しさとは?現状は?この本で理解できること間違いなし!です。


著者「バーチャル美少女ねむ」さんの紹介

本の表紙になっている美少女が著者のねむさんです。

こちらのMV『ファントムセンス』はソーシャルVRのプラットフォーム・NeosVRで撮影されたそうです。
クリエイターがキャラクターを動かすのではなく、ねむさん自身が仮想空間で歌い踊り、スタッフの方がサポートして映像が撮影できる(だからみんな自宅とか別の場所にいるわけですよね)、なんとも不思議です。

2017年から活動するバーチャルYouTuberのねむさん。
世界最古の個人系VTuberとされています。

お名前の由来になった仮想通貨NEMのヘアアクセサリーがポイントです。

現在はソーシャルVRの文化を紹介する「メタバース文化エバンジェリスト」として活躍されています。

「エバンジェリスト(evangelist)」とは、IT業界の新しい職種、あるいはその役割を担う専門人材のことです。
もともとはキリスト教の「伝道者」の意で、ITのトレンドや技術について、ユーザーやエンジニアなどに分かりやすく説明し、啓蒙することを仕事とします。

HRPro用語集「エバンジェリスト」より

『ソーシャルVR国勢調査2021』はミラさんとの共同調査

『ソーシャルVR国勢調査2021』は、ミラさんというスイスの学者さんも共同で調査をされています。

スイス・ジュネーブ大学の人類学者 (修士課程終了)。日本のVTuberやバ美肉などの現象が人間のアイデンティティやコミュニケーションに与える可能性について着目し、様々な研究レポートを発表。「バ美肉」に関する論文でジュネーブ大学のジェンダー分野の学術賞「プリ・ジャンル」を受賞

『ソーシャルVR国勢調査2021』noteより

お2人の研究の成果が、この立派な本に詰め込まれていると思うと胸が暑くなりました。

ソーシャルVRを始める入門書として有用

美少女のアバターでいろいろな人と交流したい!というのがソーシャルVRをはじめる人のきっかけとして多数なのかなと思いました。

こちらの本がソーシャルVRを始めるときに役立つポイントは例えば以下の3つです。

  • ソーシャルVRのプラットフォーム比較

  • VRゴーグル比較

  • VRを楽しむ経験者の声

私でもソーシャルVRできそうだなって気持ちになりました。

ソーシャルVRのプラットフォームの比較がある

まず、どんなソーシャルVRがあるかという点。

日本人が「VRゴーグルを使って」利用するソーシャルVRのプラットフォームは以下の5つとのことです。(順番は利用者の多い順・複数回答)

  • VRChat(99%)

  • cluster(クラスター)(23%)

  • バーチャルキャスト(20%)

  • NeosVR(13%)

この結果はVRゴーグルを使ってるユーザーを対象にしているので、スマホやPCからのユーザーは含まれていないそうです。

ただ、逆にVRゴーグル使ってる人はVRChatをめちゃめちゃ利用してるんだな!ということがよくわかる結果です。

初心者はVRChatを利用すべし、というのがよくわかりました。

それ以外のソーシャルVRについても、メリット・デメリット含めてリストにまとめられている点もわかりやすくてナイスです。

こういうきめ細やかなまとめは、ねむさんが勉強熱心であることと、実際にVRに住んでいるからこそかなと思いました。

VRの製品紹介がある

私のような無知な者ですと、VRというとゴーグルつけるくらいしか思い浮かんでませんでした。
あるんですね、体につけるものが。

トラッキング技術は、3点トラッキング、6点トラッキング(6点以上がフルトラ)、10点トラッキングとどんどん細かくなることでより人間の動きに近づくわけですね。

細かいと装着が大変だけど、kawaiiムーブという可愛らしい動きができるわけですね!!

(たぶんVRにふれている方々は「そんな当たり前だろ!」と思うようなことも、一般人にはなるほどな~と思わず本から目を離し、空を見上げるような、ちょっと冷静になりたくなる大発見であったりもします。

VRを楽しむ人達の空気感がわかる

バーチャル世界で美少女になりたい、ふれあいたい方はこちらの本を読むことで、まずその楽しさがわかることでしょう。

そしてそこには若干の暗黙のルールがありそうだ、ということにも気づくことができます。

その雰囲気を壊すことで何か罰則があるわけではないけれど、ふんわりとした秩序を守って生活している人にとっては気分が悪いものになりそうです。

この本はその「ふんわりした秩序」を読むだけでまず学べるのではないかと思いました。

ここまでがソーシャルVRを始める入門書としての魅力でした。

VRの世界とはなにか?がわかる

ここからはこの本がVRの世界を紹介する本として魅力的だ、という話をします。

『メタバースではないもの』の説明が豊富

個人的に好きだなって思った項目が、『メタバースではないもの』の説明がしっかりされているところです。

この本ではメタバースについては以下のように定義されています。

現在「メタバース」という言葉が使われるとき、大まかには「リアルタイムに大規模多数の人が参加してコミュニケーションと経済活動ができるオンラインの三次元仮想空間」を指すことが多いです。

『メタバース進化論』より

メタバースってなんかよくわからないけど、Twitterとは違うの?

みたいな疑問はいくらでも出ますよね。
その点の説明も丁寧にしてるだけじゃなく、そうじゃない例もこれまた丁寧な解説が載っていて、面白いです。

以下はじゃない例の見出しです。

メタバースはSNSのことではない
メタバースはオンラインゲームのことではない
メタバースはAR・VRのことではない
メタバースはNFT・ブロックチェーンのことではない

『メタバース進化論』より

この本ではVRの話は出てますが、VR自体は手段でありメタバースではない。
ただソーシャルVRは「既にある必要最小限のメタバース」と語られています。

だれかにメタバースやソーシャルVRを説明したいときにも有用です。

国勢調査の結果を深掘りした内容が載っている

『ソーシャルVR国勢調査2021』はねむさんのnoteから確認できます。
そこから更にツッコんだ解説がこの本には載っています。


ファントムセンス(VR感覚)という新たな感覚

「ファントムセンス(VR感覚)」とは「視覚」「聴覚」しか再現されない現在一般的なVR体験中に、本来感じるはずのないそれ以外のさまざまな感覚を擬似的に感じる現象のことです。

メタバース進化論より

人間にはもともと視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感があります。
VRゴーグル自体は視覚と聴覚しか刺激しないのに、不思議と嗅覚・味覚・触覚も感じるということです!

不思議ですよね。

「落下感覚」「風の感覚」「温度感覚」などを感じる方もいるそうです。

それは認知心理学などの用語「クロスモーダル現象」「共感覚」と呼ばれるものではないかとも書かれています。経験によるもの、先天的なものいろいろ考えられるようですが、個人差は大きいようです。

個人的には実際の経験があることで感じることが多いのかな、と思いました。味覚は実際に食べたことあるものからしか感じないだろうし、似たような状況で風に当たったことがあるから感じるのでしょう。

脳が都合よくその記憶を引き出せた、ということかな。

視覚+聴覚+体の動き(そして没入)で引き出せるのかな。不思議ですよね。

4DXの映画じゃなくても、自分のファントムセンスで実は相当楽しめるのかなとかいろいろ考えますね。

メタバース恋愛とセックスに関すること

これは多くの方が興味がありながらも、リアル世界と同様のデリケートな扱いをしないといけないんだなと強く思いました。

メタバースでの「お砂糖」

まずメタバースでの恋愛関係を「お砂糖関係」と呼ぶことを知り、私の心は色めき立ちました。

逆に別れることは「お塩」というようです。

ただソーシャルVR国勢調査によると、実際にアバターを操作している中の人が男性(ここでは「物理男性」と呼びます)が89%(日本の場合)。

その物理男性がアバターに女性を使っている割合は76%

蓋を開ければ男性×男性になってる場合もあるわけですが、その辺りは暗黙の了解であり、他人がどうこう言うことではないと感じました。

(これで1つBLの話書けそうじゃない?とか思いましたが、ここではやめておきます)

人とコミュニケーションを取るということは、恋愛感情も生まれるね!と静かに納得しました。
VRChatを楽しんでる方々が若いことも理由かなと思いました。

ちなみにTwitterでリプライ頂いたTARABαさん、なかなか楽しみ方を簡潔に伝えていただいて、本当に感謝です。
めちゃめちゃいい感じに伝わりました。ありがとうございました!


ファントムセンスもあるしVR機器も発達するということは!!!セセセ!

触覚も感じ、恋もする。すると想像することはただ1つ。

しかし多くの紳士淑女が公の場でセックスの話題を慎むように、この本では詳しい言及を避けています。

リアルな世界ではこれまでも、LGBTの方などは性的な失礼な質問をかけられがちだったと思います。

同様におそらく、自分が一般人だと自負する人達にとって、VRの世界のセックスへの発言は失礼なものになることが多いでしょう。

(それは男女の子作りを伴う性行為が一般的で、それ以外はマイナーな行為だからですね)

ねむさんもやんわりと釘を刺すような、キツめに書いてあるなと感じました。

でもVRまったく興味ない方も、聞いてみて良いものであればトライしたいと思う人もいるのでしょうね。

だから単に技術的にどうなのか聞きたいだけで、別に他人のセックスの話を聞きたくないわけじゃない、ということであっても、結局は他人のプライバシーをのぞくことになるわけで、そこはリアルな世界と同じような扱いであることは忘れてはいけませんね。

逆に体験談を知りたい方は「バーチャル美少女だけどVR風俗体験してみた【世界初バーチャルセックス生配信】」こちらの有料noteを読むといいかもしれません。

【個人の感想】メタバースの未来はどうなるか?

ここまで読んで、現在のソーシャルVRについて理解が深まりました。
まだまだ始まったばかりのメタバースの世界に一歩足を踏み入れた気持ちです。

じゃあこれからのメタバースってどうなるんだ?という想像を巡らせてみました。

アバターの自由度の高さは必要か?

世界観を強制されない完全に自由なデザインのアバターを利用する権利が保障されていなければ、必要最低限の「自己同一性」があるメタバースとは言えないのではないでしょうか。

メタバース進化論 より

Meta社の「Horizon Worlds(ホライズン・ワールド)」を例に出し、アバターの自由度についてねむさんはこのように語っています。

Horizon Worldsではディズニーキャラのような画一的なアバターが使われ、そこに個性はありません。

確かにHorizon Worldsに行ってねむさんが講演することになったとして、ねむさんがディズニー風キャラを選ばねばならないとしたらつらいですよね。

私なんか一般人なのでアバターなんてなんでもええわ、と思いますが、そこが重要な場合もあるんですよね。

(逆に女体で散々めんどうな目に遭ってるから、メタバースくらい人外になりたいです)

(ちなみに人間以外のアバターを使ってる割合は10%以下とのことです)

実名を使わなければいけないメタバースが出てくるか?

公共の手続きをメタバース上でする、という未来もありそうな気がします。会社で使う実名のアバターというのもありそうです。
必要性はともかく、うちの自治体なんてわりとITに力を入れてるところを見せつけるように、サクッと使えないシステムを作りそうで怖いです。

細田守監督の「サマーウォーズ」では何に使うかわからないけど、老若男女問わずアバターを使っていました。

その場合、リアルの自分に寄せたアバターとと、プライベートのアバターを使い分けることになるのかな、と想像しました。

メタバースのセクハラ問題

メタバースでも接触できるとわかったら、強引にふれあいを求める輩も出てくるでしょう。

今は緩やかな秩序に守られているように見えますが、セックスへの興味と共に、バーチャルだからこそデリカシーのない接触が心配になります。

実際に痴漢といった犯罪もそうですが、触れられるのが苦手な人も世の中にはいますよね。
それは技術で回避すべきなのかなと思います。(触れない設定にできるとか)

私が女性なので、本当もう現実世界で嫌な気持ちにばかりなってるので、女体をさわって楽しみたい人同士で楽しんでいただければと心底思っています。

美少女は何歳に見えるか?

美少女の中身が何歳だろうと、美少女アバターの見た目が幼いと、飲酒や性行為をする上でどこからか指摘がありそうな気がします。

メタバースだからいいじゃないか、という意見もあると思います。
ただ特に若い女性と性をからませたコンテンツはTwitterでもよく炎上する(その理由もわからなくはない)ので、見た目と行動に関しては今後考えるべき問題の1つかなと感じました。

ユーザー視点で現在のメタバース・VRを語った説得力のある熱い本

この読書メモには書いてないけど、もっとたくさんチェックした部分はあって。気持ちの面だったり、技術の面だったり。

でもこの本の1番の魅力はソーシャルVRから伝わるワイワイ感が伝わってくるところですね。
私の中では90年代のコミケを彷彿とさせました。

あの頃のコミケは、オタクと呼ばれる人が全国からはるばる東京に集結。
みんなで助け合いながら、オタクのオタクによるオタクのための祭典に参加する印象でした。

アバターのように着たコスプレも好きなキャラの服を着ることで仲間を見つける、コミュニケーション手段として使われていたように思います。(今はクオリティが高くないといけないような、ハードルがあるように見えます)

今よりももう少し内輪でありつつも、開かれた空間だったように思えます。

その楽しそうな雰囲気をソーシャルVRの中に感じ取りました

メタバースという世界に踏み込んだ人にとって、現実とは違う輝きを放てる場であって欲しいと思います。

同時に、輝くというほどのパワーはなくても憩いの場として過ごせるといいなとも思います。

メタバースで誰もが心地よい場所を見つけられるように、祈りながらこの読書メモを終わりにします。

長い文章を読んでいただきありがとうございました!

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