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エレクトリック・ステイト

スウェーデンのアーティスト、シモン・ストーレンハーグが描いたイラスト集だ。絵本というよりは、イラストの付いた小説と言った方が良い、文章量が多いので。
主人公のミシェルは、スキップと呼ばれる小型ロボットと共に、何かを目指してアメリカをひた走る。道中窓の外に見えるのは、ランプを灯す奇妙な構造物、ケーブルで繋がれた家々、薄暗がりに立つポップなペイントを施されたロボット、戦争の残骸、そして頭に機械――ニューロキャスターと呼ばれる――を被った人間たち。

ヘッドマウントディスプレイを大きくしたような形状のニューロキャスター。人々はこの機械で意識を繋げている。何を見ているのかは語られない。ただニューロキャスターを付けた彼らの異様な様子が、イラストと小説で綴られる。戦争で荒廃したこの世界にとって、ニューロキャスターは致命的な何かだったようだ。

具体的に何が起こったのか、はっきりは描写されない。文章と、どこか不気味で美しい絵の中にあるのは、出来事の断片であり、読者はそこからこの世界を空想する。そしてやがて、ミシェルの目指しているものが判然とし、物語と旅路は終わりへと向かう。

私がこの本を手に取ったのは、表紙に惹かれてだった。写真かCGかと見紛う、暗がりの中に建つ不気味な建物のイラスト。画集のコーナーにあったのだが、開いてみるとただの画集ではなかった。
誰にでも勧められるか、と言われるとそういうものではない。SF、荒廃した世界、謎の機械によって精神を繋げた人々、取り残されたロボット。こういったものに心惹かれる方は、一度手に取ってみて欲しい。


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夜灯蛾
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