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【book】JR上野駅公園口 - 柳美里/河出書房

全米図書賞を受賞した小説。2014年の作品。

柳美里の”生きて在ること”に対する眼差し、真摯な姿勢が伝わってくる。

懸命に生きようとして、それでも運がなかった男。絶望しても生きるべきか?という問い。長年、家を養うために出稼ぎを続け、家族とともに過ごす時間もなく、家族を失った男。

そして震災。柳美里の大きな一つのテーマになっており、他の作品にも影響を与えている。

家のために、一人で出稼ぎをし、家族と一緒に過ごさない人生など、なんのためなのか。と思う。時代なのか。境遇なのか。考えれば海外からの労働者も同じ状況なのだろうか。

この本を読んで、問いだけが残った。カタルシスのない、Hopelessな物語。ニュースでは語ることができないことを、物語で伝える。小説にしかできないことを、真摯にやり続けている作家の胆力を見た。


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