見出し画像

逆らわない事も悪いもんじゃない

67歳になる私の母に物忘れの症状が出てきた。
実家に顔を出した時、6年くらい前に買った僕の車を見て
「あれ?新車買ったの?凄いねー」と。
この前は自分の得意料理を「作り方忘れちゃった」と言っていたそうで、
実家に住んでいる父と妹はショックと心配が入り混じった様子で僕にLINEを入れてきた。
母方の祖母も晩年は戦争の話を何度も僕にしていたので、この遺伝的な流れは僕も含めて避けられないのかなと。
病院で少しでも進行を遅らせる処置をした方がいい。
そんな提案をするつもりだった。その方が母も家族も幸せだろう。
でも何かが引っかかった。

母の気持ちになって考えてみたらどうだろう。
病院に行くことによってどんな心象を抱くだろう。
「私は家族のお荷物になってしまった」と思ったりしないだろうか。万が一思ってしまったら物忘れがどれだけ進行しようとその思いはずっと心に残ってしまうだろう。
考えに考えを重ねて「このまま自然に任せていいのかな」という結論に至った。

母は一生懸命生きているなという感じが凄くするんです。
「お母さん、すぐ忘れちゃうけどこれからもよろしく」
とか全く悲観なく言って笑顔を見せる、そんな母がとてもかわいい。
「老いて二度児になる」ではないが、赤ちゃんから大人になってさらに歳を取ってまた子供に戻るという流れってとても自然であるって事が納得できた気がした。


物忘れの症状が緩和してほしい思いも当然ある。
ただ、だからといって僕らがあれこれ手を回して、ある意味不自然にしてしまうのは僕らのエゴじゃないか?
何度も同じ話されても嫌な顔せず聞きたいと思うし、僕の事を忘れても「あなたは私の恩人です」と言って最期まで面倒みていきたいと思います。 

#思い込みが変わったこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?