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働くひとの健康づくりは、平等ではない


この10年で社会構造が大きく変わりました。
それに伴い私たち企業も逆らうことのできない変化が求められています。

資本主義社会における物的豊かさの競争や対立構造、最大多数の最大幸福的価値観は情報革命によって変わりつつあります。ひとりひとりが情報を手に入れられるようになった今、国境や宗教を超えて自分らしく、身体も心も満たせるような社会を人々は強く望むようになっています。

不平等への強い反感や持続可能な社会への取り組みは、社会の責任であるといった方向へ価値観のシフトが始まっています。世界中を巻き込んで起きた黒人に対する人種差別撤廃運動のBLM(ブラック・ライブズ・マター、Black Lives Matter)や性暴力被害支援の草の根運動であるMeToo(ミートゥー)、気候変動環境問題の警鐘をし続けているグレータ・トゥーンベリ効果といったこれまでは「小さな声」でしかなかったものが多くの味方や賛同者を得て、一気に拡散しました。

このような動きは、性別、人種、世代、環境という分野だけで広がっていくのでしょうか。みなさんが思っている通り、そんな訳ありません。これまで弱者や少数ということで賛同者が得られなかったものすべてにおいてこのような動きが始まったと考えて良いでしょう。

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働くひとの世界では何が起きているのでしょうか。日本だけでなく世界中で優秀な人材の獲得が困難となり、企業で社員化し続けることが難しい状況が発生しており、これからはもっと厳しくなることが予想されています。これらをCOVID-19が後押しし、なぜこの企業で働くのか、なぜオフィスで働くのかといった「なぜ」を従業員やそのご家族へ明確に答える必要があります。企業が利益を追求していれば良いという時代は終わり、従業員ひとりひとりが尊重され、高いEXであることが求められる時代に突入しました。そうしなければ、持続的な事業成長は困難だからです。

産業革命後に発生した労使間の関係、労働者と使用者との関係は、対立構造から共存構造へと進んでいます。この共存構造を構築するためには、従業員の価値観やニーズを細かい粒度で把握し、対処する必要があります。これらの価値観を反映するキーワードとして「従業員の健康」があり、健康を広く捉えて従業員へアプローチすることが、この共存構造を確固たるものにすると言えます。これからは企業だけの都合で従業員を管理するのではなく、従業員の価値観を尊重し一緒に方向性を同じにしていくことがどのようにできるのか問われています。

ここで広く理解されている「平等(Equality)・公正(Equity)・解放(Liberation)」についての考え方も共有しておきましょう。

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・Reality:現実
・Equality:平等
・Equity:公正
・Liberation:解放 ※Justice 正義と表されることもあり

Equity means providing everyone with an opportunity to be successful. Equality means fairness or treating everyone the same. If we provide everyone with the same, we cannot be equitable. Liberation means including everyone and removing all barriers, which combines equality and equity. 

現実社会の競争社会においては、強者が自分の権利だと考え行動して、その恩恵を享受することが出来ます(Reality)。しかしそれだとあまりにも格差が激しくなりすぎるため、平等に扱って再配分するということをこれまでの社会は是としてきました(Equality)。平等こそ道徳上最も良いものだ。均等に分けて、誰でもその機会を渡せれば良いと。しかし、これだけでは誰もが、特に弱者やマイノリティの方々が恩恵を享受することは出来ません。そこで、ひとりひとりの状況に応じて支援をすることで誰もが恩恵を享受できるようにしようというのが公正になります(Equity)。さらに仕組みとして障害をすべて取り除いたものが解放の状態となります(Liberation)。

まさにひとりひとりの状況に応じてどう働くことを企業は、支援できるのかということが求められていると言って良いでしょう。この考え方が社会全体に広まっている中で、従業員と会社との関係も同様に反映させていくべきであり、従業員の価値観を尊重する場合において従業員の健康は、この価値観の最たるものになります。だからこそ企業は、持続的な事業成長のために働くひとの健康をつくらなければならないですし、結果的に働くひとがひとりひとり尊重される、されやすい社会が到来するのです。



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