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東北一周自転車旅(17)岩手県久慈市〜青森県八戸市

東北一周自転車旅
第17ステージ
岩手県久慈市〜青森県八戸市(55km)

朝8時くらいに起きると、雨がザーザー降っていた。かなり強い雨で、自転車で走れるレベルの雨ではない。仮に輪行するにしても、徒歩4分の久慈駅まで行くのすら億劫になるほどだった。1時間ごとの天気をチェックすると、午前中は強い雨が続くものの、昼過ぎには小雨になり、午後は止む予報だった。それを信じて、ひとまず自転車を宿に置かせてもらい、午前中は久慈で過ごすことにした。

昨夜食べたあのスコーンの味が忘れられず、もう一度「NANAMARUNI COFFEE」へ行った。まずは昨日店長の嵯峨さんが教えてくれた「クロッフル」を注文。2種類あったけど、迷った末に「オレンジコンポートとクリームチーズのクロッフル」を選択。クロワッサン生地のワッフルに、アイスが載っていた。クリームチーズとオレンジの相性も良い。そしてケニアのコーヒーを味わいながら、また昨日と同じ席で日記を書いた。

オレンジコンポートとクリームチーズのクロッフル

ひと仕事終えたあと、最後にスコーンを頼んだ。チョコとアールグレイの2つ。やっぱりおいしい。また久慈に来たら訪ねたいお店。店長の嵯峨さん、ありがとうございました!

「NANAMARUNI COFFEE」店長の嵯峨さん

12時頃、外に出ると小雨になっていた。駅近くには、「あまちゃん」に出てくる喫茶リアスのモデルとなった「モカ」という喫茶店があって、そこで名物のタマゴサンドを食べたいなあとも思っていたんだけど、タイミングを逃してまた雨が降ってきたら嫌なので、諦めて出発することにした。

リュックにはレインカバーを装着

今日は国道45号線を55kmまっすぐ進めば八戸に着く。しばらく走るとまた雨が降ってきた。天候が変わりやすいから仕方ない。濡れても諦める。そのうち晴れて乾くだろう。

国道45号線をまっすぐ

海が近いにもかかわらず、序盤からかなりの登り坂。標高300メートルくらいまで上がっただろうか。逆に大きな登りは、この前半部分だけだった。雨に濡れながらひたすら登っていき、やがて峠を越えてからは降りで一気に進んだ。

お腹が空いてきたのでGoogleマップでレストランを探すも、この辺にはほとんどレストランがなかった。だけど一軒だけ、2km先に「きのこの駅」という気になるお店があり、行ってみることにした。ここはきのこの加工食品工場に併設された、きのこ料理の専門店。おもしろいところだった。

そば、ラーメン、パスタなどメニューはいろいろあるんだけど、それぞれに独特のきのこが使われている。トリュフカルボラーナにもそそられたのだけど、せっかくだから、もっと馴染みのないきのこを食べてみたい。冷やしラーメンと寿司セットを注文。これが大正解だった。

珍しいきのこがふんだんに使われている

まずビックリするのが、「森のお寿司」。これは「三陸あわびたけ」のお寿司で、メチャクチャおいしい。さらに「森のレバ刺」は見た目レバーだけど、実際は「あみたけ」というきのこ。これをにんにくやごま油につけて食べる。うまい。

森のレバ刺

そしてラーメンには、三陸あわびたけとあみたけのほか、「キヌガサタケ」が入っていた。店の上の方にそれぞれのきのこの写真が貼ってあり、もう気分は牧野富太郎。キヌガサタケ、すごい形をしていた。でもおいしい。なんとヨーグルトにもあみたけが入っていたのだけど、これは梅紫蘇に浸けているためジャムのような役割をしてくれて、ヨーグルトにも合う。きのこの奥深い世界を感じられる素晴らしいランチだった。

キヌガサタケ

食べている間は外は土砂降りだったけど、店を出る頃にちょうど止み、逆に青空が広がった。そして右手には太平洋も見えて、気持ちがいい。

見事に晴れた

そのとき、この旅で初めて「音楽が聴きたい」と思った。ようやく骨伝導イヤホンの出番である。久慈で「あまちゃん」の世界に浸ったので、作中で使われた「潮騒のメモリー」を流すと、グッとくるものがあった。久慈近くの海を眺めながら聴くと格別。あまちゃんが放送されたのは2013年の上半期。ぼくはまだ仕事でうまくいかないことが多く、辛い日々を送っていた。精神的に辛い時期だったけど、そんななかで明るくなれたのが、あまちゃんを観ているときだった。元気をもらえるドラマだった。

だから物語の舞台である久慈に来られたことも、三陸鉄道に乗れたことも、この海を見ながらあまちゃんの音楽を聴けたことも嬉しかった。自然とペダルを漕ぐ足にも力が入った。

やがて青森県に突入。ついにいちばん北の県までやってきた。だけど、今日は最後がキツかった。

青森県に突入!

八戸市街地まで、ラスト5km。あとちょっとでホテルに着くというタイミングで線状降水帯に捕まり、ものすごい土砂降りに遭ってしまった。服はもちろん、一瞬で靴の中までぐちょぐちょに。2010年の夏にミラノで経験した大雨を思い出した。あのときも、市街に軽い洪水が起きたほどの大雨だった。異国の地での自転車旅で、しかも夜の暗いなかで経験する雨は本当に辛い。今回も辛いけど、日本にいるだけまだマシかな。もうこれ以上は濡れても変わらないから、逆に吹っ切れてハイになってきた。どうにでもなってしまえ。ただし道は滑りやすいので、転倒しないようホテルに辿り着くことだけに集中した。

ようやくホテルに到着して、なんだかすごく達成感があった。今日も生きたね、って思った。今日も生きたよ。そういう感覚って、自分で掴み取りにいかないといけない。この日の達成感と表情を残しておきたいと思い、記念に自撮りした。

豪雨に遭ってしまったけど無事ゴール!

濡れたものをすべて洗濯して、ホテルのサウナへ。それからシャワーを浴びてサッパリした。近くの「さんりく」というお店で、イカづくし定食を食べた。八戸はイカの水揚げ量で日本一らしい。イカの刺身にイカの天ぷら、そして魚の煮付けもおいしかった。

「さんりく」のイカづくし定食

明日はいよいよ青森市に入る予定だ。

<今日のお金>
朝のカフェ 1450円
補給ドリンク 139円
ランチ 1500円
補給ドリンク 141円
夕食 2550円
コインランドリー 400円
ホテル 5979円
水 149円

ウェルカムドリンクのリンゴジュースがおいしかった。さすが青森

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