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「旅と発信のチャレンジ」と、支援金を募った背景について

2023年8月から2024年2月まで続いた一連の旅(オーストラリア、東北一周自転車旅、ドバイ、フランス、大阪〜博多 山陽道徒歩の旅、フィンランド)がひと段落したので、振り返りの文章を書いてみます。

「旅と発信のチャレンジ」を決意をした背景

今だから言えますが、30代の前半(とくに2019〜2022年)は、ぼくの人生の中で最も暗く沈んだ時期でした。かつては順風満帆だと思っていた人生が、いつの間にか停滞し、衰退していることに気づいたのです。将来への漠然とした不安やストレスから、眠れない日々もありました。

2019年には、仕事の忙しさやプレッシャーから体調を崩し、さらには難病を患ったこともあって、旅どころではない状況が続きました。半年以上かけてようやく回復し、「さあこれからだ」と思ったのも束の間、今度は3年近く続くコロナ禍が始まり、旅への意欲は薄れていきました。

しかし、いちばん重要な問題は、そのことではありませんでした。

ぼくは、いつの間にか、「何かにチャレンジすること」を恐れるようになっていたのです。若い頃は、新しいことに挑戦し、失敗を恐れずに行動していました。でも、30代になり、無難に生活することに慣れてしまうと、わざわざリスクを負ってまで挑戦することが怖くなっていました。その結果、ライターとしてのぼくは、過去の成功体験の焼き直しのような文章しか書けなくなっていたのです。そして徐々に自信を失っていきました。

そんななか、2022年11月に行った母校での講演が転機となりました。

神奈川県立追浜高等学校の「創立60周年記念式典」にて

全校生徒に向けて「人生における回り道の意味」をテーマに話をしたのですが、その内容は、ブーメランとなって今の自分に返ってきました。高校生たちには「失敗を恐れずやりたいことにチャレンジすること」の大切さを説いたものの、その時点でのぼくはチャレンジを避けていたのです。この矛盾と正面から向き合い、自分を変えていかなければならないと強く感じました。

迎えた2023年の年明け。変革のために、ぼくは小さな一歩から始めることにしました。毎日、新しい体験をひとつずつ積み重ねていったのです。それは、気になったお店を初めて訪れてみるとか、大森から大崎まで、あえて自転車で行ってみるとか、些細なことの連続でした。それでも、いずれも初めての経験なので、日々が新鮮さに包まれました。

「今日の初めての体験」を毎日ノートに記録しました

この習慣を丸3ヶ月間続けたとき、失われていた行動力が少しずつ戻ってきていることに気づきました。自分の人生は、流されっぱなしのものではなく、再び自分の手で切り拓いていけるものだと実感したのです。

さらに6月、2つの偶然の出会いがぼくに大きな影響を与えました。

ぼくは書籍化の道を切り開くため、「note創作大賞2023」のエッセイ部門に応募することにしました。渾身の力で1万字の長文を書き上げた日の夜、ランニング中に女優・作家の片桐はいりさんと道でばったり出会いました。『わたしのマトカ』に代表される片桐さんの旅エッセイは、ぼくにとってお手本とも呼べる作品でした。そのことを手短かに伝えて、記念撮影を撮らせていただきました。

憧れの片桐はいりさんと遭遇

この遭遇には、何か運命的なものを感じました。「努力の方向は間違ってないよ」というメッセージのように思えたのです。

その翌週、さらに大きな出来事が起きました。

いつも通っている近所のスタバで、旅行会社時代(11年前)にオーストリアのツアーでご一緒したお客様と偶然再会したのです。それも、ぼくにとって特別な思い出のある方でした。

そのことについて、かつてのエピソードを交えて綴った長文ツイートが、思わぬ大反響を生み、10万いいね、そして2100万人に届く結果となりました。

そのとき、ぼくは自分にしか書けない文章で、世の中に良い影響を与えていきたいという思いを強くしました。

未知の場所で新鮮な経験を積み、感動した出来事を伝えること。それがぼくの使命なのだと感じました。自分なりの世界の見方や感性を大切にし、自身のフィルターを通して発信していくことで、誰かの心を動かせるかもしれない。そのためには、新しい経験を求めて行動し続けることが必要でした。

だからこそ、ぼくは勇気を出して一歩を踏み出す決意をしました。

2023年7月のはじめ、ANAの海外航空券セールを見つけたとき、迷いはありました。でも、ぼくに大きな影響を与えてくれた植村直己さんや岡本太郎さんの言葉を思い出し、「とにかく行動しなければ」と自分を奮い立たせました。そしてオーストラリアとフランスへの旅を計画し、思い切って航空券を購入したのです。

これは、とても覚悟のいる決断でした。数ヶ月後には貯金が消えてしまうことになるのですから。それでも、自分を追い込んだことで、ここ数年味わうことのなかったドキドキとワクワクを感じました。目標があれば前向きに頑張れるはず。自分らしく行動し、幸運を引き寄せたいと思いました。

クラウドファンディングで旅の資金を募った理由と想い

航空券は購入したものの、近年の円安の影響もあり、現地での滞在費が全然足りないことに気づきました。恥ずかしながら、ぼくには資金的な余裕が思った以上になかったのです。しかし、周囲の方々からの反響を通じて、ぼくの行動や文章に共感し、応援してくださる方々がいることを知りました。

ある女性からは、「あといくらくらい必要ですか? 私はいろいろあって今は海外に行けないので、何とかお力になれたらと思うのですが」というメッセージをいただきました。また、以前お世話になった南山建設の南山会長からは、「皆さんが君に何を期待しているかわかりますか。勇気、元気をもらいたい方がいっぱいいるんですよ」と言われました。

驚きの、しかし嬉しいコメントでした

こうした言葉にふれ、ぼくは深く考えさせられました。自分の文章を信頼し、応援してくださる方々がいるのなら、その思いに応えなければいけない。旅と発信の活動に全力で取り組むことが、自分にとっても社会にとっても最善の結果をもたらすのではないか。

当初は批判を恐れ、クラウドファンディングには慎重になっていました。しかし、遠慮してこぢんまりと活動するよりも、善意を受け取り、全力で挑戦する方が良いと考えるようになったのです。自分の想いや野心を率直に伝え、行動で示していく。批判があっても真摯に向き合い、成長につなげる。そのくらいの気概を持つべきだと思いました。

そして、覚悟を決めました。8月のオーストラリア、追加で企画した9〜10月の東北一周自転車旅、11月のフランス旅行。それぞれの予算を計算し、目標金額120万円のクラウドファンディングに挑戦することにしたのです。

たとえ失敗したとしても、この経験から学んだことを素直に伝えることで、自分にとっても他者にとっても、次のアクションにつながるはず。ぼくの挑戦が、誰かの励みになり、新しい一歩を踏み出すきっかけになればと願いました。

ぼくはやりたいことをやって、経験したことや学びを発信する人間になりたい。不恰好でもいいから、夢や目標を描き、ひとつずつ現実にしていく姿を見せたい。本気で行動したときに何が起こるのか、自分自身も見てみたいと思いました。

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