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目で楽しむ「香り」のギャラリーへ

今朝は、「香りを見る」ことに焦点を当てたユニークなミニギャラリーへ行ってきました。

大田区の蒲田に、「ニッセイアロマスクエア」というオフィスビルがあります。

どうして「アロマ」と付いているんだろう?と思っていたら、ここはもともと「高砂香料工業株式会社」の工場があった場所ということでした。その工場跡地を大田区と日本生命が共同で開発したため、こんなビルの名前をしているのです。現在も高砂香料工業の本社が入っています。

この企業は、「香り」を扱う会社。食品・飲料に使われる香りから、香水やシャンプー、洗剤などに使われる香りまで、製品やサービスは多岐に及びます。

ニッセイアロマスクエアの17階に、高砂香料工業が一般向けに開放している「高砂コレクションギャラリー」(入場無料)があります。

ぼくは「いろんな香りを楽しめる場所なのかな?」と思っていましたが、そうではなかった。ここは「香りを見る」場所でした。

香りの歴史は非常に古く、なんと紀元前3000年頃から世界各地で様々な香り文化が形成されてきたそうです。古代メソポタミアや古代エジプトでは、すでに宗教的儀式の中で乳香などが使われていたと言います。また、身体を清めるための香油や香膏(クリーム状のもの)も使われたそう。

紀元前7世紀のギリシアの香油壺

その後のギリシアやローマでも、香りの文化は発展しました。今の時代にも残っているのは、「容器」です。このギャラリーには、キプロスやギリシアで出土したものなど、香油を入れていた紀元前の瓶がたくさん展示されているので驚きました。形は様々で、装飾も美しい。時代が進むにつれて、技術の発展もあり、装飾はより細かくなっていきました。

日本には6世紀に、仏教の伝来とともに大陸から香料がもたらされ、仏前や神前での焚香用として使われたそうです。平安時代には貴族の間で「薫物合わせ」(家伝の秘法に従って練香を作り、これを披露し合い、優劣を競う宮廷遊戯)が盛んになりました。源氏物語にもそのシーンが登場します。

さらに鎌倉時代から室町時代にかけては、中国の宋や明との交易によって香木がもたらされ、香木そのものの香りを鑑賞する「聞香」が広まり、日本独特の香道の文化が花開きました。

今ここに書いてきたようなことを、ギャラリーを訪れるまで何ひとつ知らなかったので、とても勉強になりました。

ほかにも、エルメスとクリスタルメーカーのサンルイが1990年の天皇陛下即位記念のために贈ったという香水瓶など、貴重な品々が展示されていました。

15分前後あれば十分楽しめる小さなギャラリーなので、蒲田へ行く機会があれば立ち寄ってみてください。


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