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鹿児島の旅 【Day1】

朝5時半に起き、羽田空港へ。7時25発のソラシドエアで鹿児島へ飛ぶ。飛行機は富士山のすぐ横を通り過ぎた。

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また、本州上空を飛ぶ時間が長かったため、これまでの旅の経験を総動員しながら景色を眺めるのが楽しかった。どういうことか。

まず、海岸線やわかりやすい半島が見つかると、「今どこを飛んでいるのか」がわかる。たとえば、下の写真のように形状から知多半島を確認できた瞬間、「ってことは、名古屋はあのあたりだな。ビル群がうっすら見える」とか、「だとすれば、岡崎はあのあたりで、四日市はあそこだろう。工場地帯があるからやっぱりそうだ」といった具合に頭の中だけでわかる。

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さらに、まだ見えていない景色についても、「まもなく、あの方角に琵琶湖が見えるはずだ」と予想できる。この地理的感覚を持っていても何の役にも立たないのだが、「情報をもとに予想を立てられて、かつそれが当たる」という一連の流れはゲームのようで純粋に楽しい。

本を読みながらうとうとと眠る。目が覚めると飛行機は海上にあり、やがて九州と思われる広大な土地が見えてきた。

「海岸に面したあの大きめの街は、別府だろうか、宮崎だろうか。もし別府だとすれば、すぐ横に国東半島があるはずだ。しかし、それらしい半島はない。この直線的な海岸線から考えても、あそこはおそらく宮崎市。だとすれば、右側に見えている小さな街は、延岡だろう」

そうわかるのは、2009年の夏のある日、宮崎から延岡まで自転車で走ったからだ。距離は約90kmだったと記憶している。経験と知識と目の前の景色が、頭の中でひとつにつながった。

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羽田からちょうど2時間で鹿児島空港に到着した。空港近くでレンタカーを利用。ダイハツのムーブ。6日間で12000円と安かった。この時点で10時過ぎ。霧島温泉に入るべく、山道を走った。温泉郷に近づくに連れて、硫黄の匂いが漂ってくる。箱根のようだ。

ラジオで天気予報が流れているとき、「こうはい予想」という聴き慣れない言葉が出てきた。こうはい?

「・・・桜島で噴火が発生した場合には、10日21時から24時までは火口から東方向に降灰が予想されます」

つまり、「降灰予想」だったのだ。桜島が噴火したら、どちらの方向に火山灰が降ってくるか。頻繁に火山灰が降ってくる土地においては、洗濯物を干すうえで重要な情報なのだろう。かつて自転車で桜島を走っていたとき、突然火山灰が降ってきたことを思い出した。シャツには黒いシミがつきまくった。

なるほど「降灰予想」か。ラジオの何気ない言葉から非日常を感じた。

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日帰り入浴は12時からだったので、先に腹ごしらえ。「森のパン屋さん」という、道路に面したお店に立ち寄る。目の錯覚でなければ、どこにも森はない。添削脳から離れられず、「『森の』は誇張表現だ」とブツブツ思いながら店に入ると、試食したデニッシュパンが驚くほどおいしい。4つのパンを買い、店の横に腰掛けて全部食べた。

次に、「霧島温泉市場」に立ち寄り、お土産屋さんを物色。道の駅みたいなところは土地の名産がわかるから大好きだ。鹿児島と言えば「知覧茶」が有名だが、ここには「霧島茶」があった。知らなかった。最近煎茶にハマっているので、試しに100g買ってみた。そのほか、黒糖を使った「黒棒」と、「塩バナナチップス」を買った。外の屋台では「温泉たまご」を食べた。熱すぎて火傷するかと思った。

いよいよ、日帰り入浴を楽しめる「旅行人山荘」へ。駐車すると、建物とは反対方向に「森の散歩道 滝まで1km 15分」という看板が見えたので、温泉前にハイキングを楽しむことに。広大な森の中を歩いていくと、やがて轟音が聞こえてきた。想像していたよりも迫力のある滝を眺められた。水量がすごい。滝の音に癒される。

ようやく「旅行人山荘」へ入ると、何やらやけに本棚が多く、それも旅関係の本が充実している。ある一角には、よく知る本や雑誌が並んでいて、驚いた。それらの本の出版社名は、「旅行人」

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「あー、そういうことか!」

さらに、別の部屋には「バックパッカーの元祖」と謳われる蔵前仁一さんのサインや記事などがあり、これで完璧に理解できた。蔵前さんは「旅行人」という出版社を立ち上げた人物。そしてこの温泉旅館「旅行人山荘」は、蔵前さんのご実家だったのだ。ぼくは2年前に蔵前さんの著書『あの日、僕は旅に出た』を読んでいたから、その驚くべき偶然がなおさら嬉しかった。

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550円で入れる露天風呂からは、桜島が見えた。

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あいにく霞んではいたが、手前の山々との濃淡が水墨画のようだった。この「旅行人山荘」は、日経新聞の絶景温泉ランキングで2位に選ばれていた。(1位は青森県の黄金崎不老ふ死温泉。ここもいつか行きたい)

温泉に満足し、高速道路を使って急いで宿へ。鹿児島中央駅すぐ近くのビジネスホテルにチェックインし、高校サッカー選手権の決勝戦を観戦。青森山田の優勝を見届けたあと、近くのお茶屋さん「すすむ屋 茶店」へ。鹿児島茶とアイスクリームぜんざいがおいしかった。

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実は先日、鹿児島在住ライターの鶴田有紀さんからご依頼をいただいたので、このお店で待ち合わせをし、初の「出張ライターコンサル」を行った。

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お役に立てて良かった!鹿児島名物の「かるかん」や鹿児島茶のお土産もいただいた。感謝!

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夜はなぜか博多ラーメンを食べ、長かった一日も無事終了。ホテルのサウナに入ってゆっくり眠りたい。 

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