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講演のための思考メモ(8)協賛集めの日々
今日2本目のnote更新。前回はこちら↓
学生ブログランキングで1位に
飛び込み営業で成功する確率は低かったが、失敗した経験も包み隠さず書くことで、ブログの読者は増えていった。協賛を集めるために泥臭い行動を続ける。そして行動と発信は常にセットだった。
当時、「学生ブログランキング」というサイトがあり、2010年5月についにぼくのブログが1位(約7万7000人中)になった。
これで無名の大学生にも少しは箔がついた。当時はまだブランディングという言葉を知らなかったが、「学生ブログで1位になれば、企業から信用を得られ、協賛してもらいやすくなるだろう」と考えていたから、これは立派なブランディング的思考だった。
2010年5月から7月の3ヶ月間で、代表的な出来事だけでも以下のようなことが起きた。
・学生ブログランキングで1位になる。
・アテネ五輪の自転車競技で日本代表の竹谷賢二さんに応援していただく。
・オークリーからサングラスを提供していただく。
・ソニーからデジタル一眼レフカメラを提供していただく。
・カシオから電子辞書を提供していただく。
・旅行会社からヨーロッパ往復航空券を提供していただく。
・大阪の自転車会社からロードバイクを提供していただく。
・学内誌『早稲田ウィークリー』で挑戦を取り上げていただく。
・個人協賛が集まり始める。
・学食のおばちゃん、大学の先生や友人、高校の後輩、教習所の教官など、様々な方から資金提供をいただく。
・ラジオ「TOKYO FM」に出演する。
ひとつひとつのエピソードを語り出せばキリがないが、最終的に15社の企業協賛と300名からの個人協賛を得ることができた。今なら「クラウドファンディングみたいだね」と言ってもらえるが、当時はまだクラウドファンディングも一般的ではなかったし、もちろんぼくも知らなかった。だからこの突飛なやり方に批判を受けることも多々あった。「2ちゃんねる」で叩かれたりして何度か落ち込んだ。しかし、この企画を最後までやり切ることで日本が少しでも良い方向にいくなら、自分ひとりが批判されるくらい大したことではないと、気持ちが折れることはなかった。
無知ゆえの行動力もあっただろう。山手線で隣に座った知らない人に企画書を手渡していたこともあった。3ヶ月間で1000枚以上の企画書を配った。ひとりでも多くの方に自分の挑戦を知ってもらい、どんな形でもいいから応援してもらいたかった。それが自分の力になるし、力を発揮できればぼくにしかできない方法で日本のための良い仕事ができる。大きな使命感で動いていた。
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飛び込み営業での奇跡
母校・追浜高校の関連で、ひとつ思い出すエピソードがある。
当時、「企業は物資提供してくれることはあっても、資金提供をなかなかしてくれない」ということに悩んでいた。ヨーロッパを2ヶ月間も旅すれば、当然大きな宿泊費がかかる。そこで、発想の転換。「だったら、ホテル予約サイトを運営する会社に協賛してもらって、タダでホテルに泊まらせてもらえないだろうか」というアイデアを思いついた。そこで、池袋にあった「アップルワールド」というホテル予約の会社に飛び込み営業することにした。
たまたまオフィスの入り口付近にいた方に話しかけると、そのまま少し話を聞いてくださることになった。最初は怪訝そうな表情を浮かべていたのだが、ぼくの企画書を見てしばらくすると、「横須賀の方なんですね! 私も横須賀出身なんです!」とおっしゃった。
「えー!本当ですか!? 横須賀のどちらなんですか?」
「追浜です」
「え! ぼく、追浜高校だったんです」
「なんと! いやあ、追浜高校の方とこんなところで出会えるなんて、嬉しいなあ」
ものすごいご縁だ。同郷ということで親身になって話を聞いてくださり、後日、会社として正式に協賛していただけることになった。当初の思惑どおり、ヨーロッパで5泊分、ブログで宣伝する代わりに、タダで泊まらせていただくことができたのだ。ありがたい限りだった。
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個人協賛と「日の丸」
また5月頃、なかなか順調に資金が集まらず困っていると、「個人としての応援はできないの?」と、尋ねてくださる方が現れた。そこで、試しに「個人協賛」を設けることにした。もしかしたら友人も応援してくれるかもしれないと、一口1000円に設定。すると、この日を境にあれよあれよと協賛が集まり始めた。通帳記入をするたびに誰かからお金が振り込まれていて、なんだか信じられなかった。ときには振り込んだ方の名前が「トクメイキボウ」と書かれていて、お礼を伝えられず困ったこともあった。
協賛してくださった方には、用意した旗にお名前を書いていただくことにした。真っ白な旗を用意し、丸い枠の中に赤ペンで名前を書いていただく。300人から名前が集まれば、日の丸が完成する、というアイデアだった。
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「みんなの名前が書かれた旗を持って、ぼくはヨーロッパを走ります」
これが好評だった。完成した日の丸は、ぼくの力になった。そして現地の人にも旗を見せることで、「これは、ぼくの自転車旅を応援してくれている人たちの名前です」と、すぐに自己紹介ができた。今でも大切な宝物である。
(つづく)
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