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東北一周自転車旅(14)岩手県花巻市〜遠野市

東北一周自転車旅
第14ステージ
岩手県花巻市〜岩手県遠野市(58km)

ホテルの部屋で原稿を書いたあと、朝風呂へ。泊まっていた「ホテルグランシェール花巻」は今年3月に大浴場がリニューアルしたらしく、とても気持ちよかった。フィンランド式のサウナや水風呂まであった。

朝、花巻の街に雲海が広がっていた

1階には「宮沢賢治探検隊本部」という部屋があり、小さな博物館のようになっていたほか、読書ルームには宮沢賢治関連の本もたくさん。

ホテル内に立派な資料室が

花巻駅前にある「東北労働金庫 花巻市店」の壁には星座が散りばめていたりと、この町には宮沢賢治を思わせる素敵なデザインが溢れている。

東北労働金庫 花巻市店

今日は遠野に住む友人を訪ねるのだけど、その友人から駅前の「Lit work place」というカフェをお勧めしてもらった。

ここではクラフトビールも作っていて、店の奥には醸造タンクも見える。店内もオシャレで、花巻にこんな素敵な場所があるなんて、と感じるほどだ。短い滞在だったけど、近くには素晴らしい温泉もあるし、とても好きな町だった。

素敵なカフェ。クラフトビールの醸造タンクもある

まだ昨日の日記が終わらなかったので、そのカフェでベーグルとコーヒーを注文して、ひたすら書き続けた。

サーモンとクリームチーズのベーグル、おいしかった

ずいぶん遅くなってしまい、ようやく12時半くらいに出発した。遠野の友人からひとつお使いを頼まれた。「いつも利用しているお店で、コーヒー豆を買ってきてほしい」とのことだった。花巻駅から6kmほど北上し、花巻空港の目の前にある「MINARI COFFEE STAND」を訪ねた。

MINARI COFFEE STAND

昨年4月にオープンしたというこのお店もまた素敵だった。ミナさんとトモナリさんのお店だから「MINARI」と名付けられた。お二人の人柄がとても良く、海外の旅の話など、ついいろいろな雑談で盛り上がってしまった。時間があればゆっくりコーヒーをいただきたかったのだけど、急ぎめだったのでまた次の機会に。お使いがきっかけで思わぬ出会いが増えて良かった。

壁の世界地図がいいね

そこから南東方面にまた6kmほど走り、「宮沢賢治記念館」へ。建物が山の上にあったので自転車で登るのは諦め、下に自転車を停めて階段で登っていったのだけど、この階段がなんと366段もあり、これだけで脚がパンパンになってしまった。

366段の階段。

ようやく登ったところにあった売店の名は、「注文の多い料理店 山猫軒」

国語の教科書で読んだなあ

店の前には、

「どなたもどうかお入りください。決して遠慮はありません」
「ことに肥ったお方やお若い方は大歓迎いたします」

と書かれていた。食べられちゃいそうだ。

階段の多い記念館(根に持ってる)

宮沢賢治記念館には様々な資料が展示されていたけど、彼の全体像を理解するにはまだまだ時間が足りなかった。まずぼくは彼の作品をほとんど読んだことがなかったし、彼がどんな人生を歩んだ人なのかも全然知らなかった。そもそも花巻の人であったことも、今回の旅で初めて知った。

宮沢賢治が好きになったらまたゆっくり来たい

よく登場する「イーハトーブ」とは何なのか、せめてそれだけ知りたかった。宮沢賢治によれば、「イーハトーブはひとつの地名であり、ドリームランドとしての日本岩手県」なのだそうだ。岩手の風土と、彼の想像力が溶け合って生み出された不思議な理想郷。そのイーハトーブが彼の童話の主な舞台になっているという。

『銀河鉄道の夜』すらまだ読んだことがないから、今度読んでみようと思う。ひとまず、この記念館の雰囲気だけはわかった。

さて、いよいよ遠野に向けて本当に出発。もう15時になってしまい、気持ちはかなり焦っていた。何せ遠野に行くには、ここから山越えがある。距離は約40km。暗くなると危ないから、18時までには着きたいところ。

必死に峠を越えていく

宮守の道の駅で休憩したほかは、ほぼノンストップで走り続けた。17時過ぎ、ようやく峠から降りてくると、美しい里山の風景が広がった。日本人にとっての心の原風景のような景色ではないかと思う。

遠野は良いところです

17時50分、遠野駅近くにある「遠野醸造TAPROOM」に到着。ここが今日のゴールで、友人が息子を連れて待っていてくれた。

この友人こそが、袴田大輔くん。大ちゃんと呼んでいる。

大ちゃんと再会!

彼と知り合ったのは、大学4年生の春(2010年4月)だった。当時、ぼくは自転車での西ヨーロッパ一周を計画している最中で、筑波大学の学生だった彼はすでに世界一周の旅を達成していた。二人ともブログをやっていて、それでお互いのことを知っていた。一度会いましょうということになって、有楽町でランチして、初対面ながら旅の話で盛り上がった。そのとき、「お互いのいちばん好きな本を交換する」ということもした。

2010年4月、大ちゃんとの初対面。ぼくは就活中。交換した本を持っている

以来、彼とは主に旅先で会うことが多かった。

2016年1月、会社の長期休暇を利用して九州を自転車で一周した際、熊本で彼の家に泊まらせてもらった。あの日は「数十年に一度の大寒波」と言われた猛吹雪で、久留米から熊本まで、気温−4℃のなか、雪積もる道をブルブル震えながら走った。途中でブレーキが凍ってしまったため、コンビニでもらったお湯をかけて溶かしながら走ったという忘れられない思い出がある。

2016年1月、猛吹雪のなか熊本へ駆けた日、大ちゃんの家に泊まった

当時、大ちゃんは熊本のユニクロで店長をしていた。その後、大好きだったクラフトビールの醸造家になるために準備と修行をし、この岩手県遠野で晴れてクラフトビール醸造家となった。今では雑誌などでも取り上げられる「遠野醸造」の代表である。

2017年1月に、会社を辞めたぼくが「東京から京都までクラフトビールを53杯注ぎながら東海道五十三次を徒歩で旅する」という企画「クラフトビール 東海道五十三注ぎ」をやった際も、彼が旅の初日におもしろがって生麦から横浜まで一緒に歩いてくれた。そして横浜のディープなクラフトビール屋さんに連れていってくれた。

今日は残念ながら休業日だったけど、この「遠野醸造TAPROOM」を見られたことも、ぼくにとっては感慨深い。というのも、2018年にこの店舗を立ち上げるためのクラウドファンディングを行なった際、大ちゃんがぼくにページの文章作成を依頼してくれたからだ。それで「ぜひ遠野にも来て」と言ってくれて、2泊3日の取材で初めて遠野を訪れた(もちろん新幹線で)。のどかで、とても良いところだった。遠野はビールの原料となるホップの一大生産地で、ホップの栽培面積では日本一。ビール好きの方なら遠野のホップにお世話になっているといっても過言ではない。

2017年11月、取材で初めて遠野を訪れた

目標金額500万円ということで責任重大だったが、関係者の皆様の協力もあって、無事800万円近くまで集まったときはホッとした。当時はまだ遠野醸造のクラフトビールも存在しなかったから、「いつかまた遠野へ遊びに行って、ここで大ちゃんたちのクラフトビールを飲む」というのがひとつの目標だった。

その機会がようやく訪れることになった。

今日は定休日だったけど、お店の中も見せてもらえた

大ちゃんの家に泊めてもらえることになり、夕食時に「Tono IPA」という新作のクラフトビールで乾杯。最高においしい! 山を超えてきたあとだから、なおさら快感だった。

「Tono IPA」で乾杯!

生姜の炊き込みごはんが信じられないくらいおいしかったからいろいろ尋ねたら、陸前高田の新生姜を使っているそう。気仙沼から海沿いに北上していれば陸前高田や大船渡を通ることになった。その辺りはまたいつか訪ねたい。

おいしいごはんだったなあ

妻のあやのさんは以前にも会っていたけど、今回はさらに2人、家族が増えていた。ゆうとくん、さくらちゃんとも遊び、賑やかで楽しい夜になった。袴田家の皆さん、ありがとうございました!

<今日のお金>
ベーグルとコーヒー 990円
おにぎり 313円
宮沢賢治記念館 350円
補給ドリンク 310円

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