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街コンでカラの封筒もらった私。本気で「コミュ力」付けたくなった。
社会人になりたての頃、本当にコミュニケーション能力が低かった。
「何を話したらいいんだろう」「あ、不機嫌そうな顔してる」
頭の中でぐるぐると考えがループするけど言葉が全く出てこない。
特に女性との雑談が全くできなかった。
まずい、このままじゃ私の人生には潤いがない。
「年齢=彼女いない歴」の自己記録を更新中の私は流石にまずいと思い始めた。
そんな相談を友だちにしたところ「だったら街コンへ行こう。女性と話せる経験にもなるよ」と言われた。
街コンなんて・・・
そんな陽キャの集まる恐ろしい場所(偏見)へ私を連れて行く気か?
「大丈夫大丈夫、俺も一緒に行くからさ」
そして友だちに連れて行かれた人生初の街コン。
参加費8000円を支払って、得られたのはカラの封筒1つと強烈な危機感だった。
友人よ、私を置いて何処へ行く
この数年はご時世的に街コンがあんまり行われていない。
会社の若手もみんなマッチングアプリを使っているようだ。
だけど私が若い頃は街コンが大阪でも頻繁に行われていた。
申し込みは友人にお任せ、男性の参加費は8000円。
2人1組で申し込む形式で、男性が次々とテーブルを移動していく。
各テーブルでは女性と5分程度話して、最後に興味のある人の番号を書く。
テーブルで連絡先交換はできず、各参加者に主催者が「自分に興味を持っている人」の連絡先を封筒に入れて渡すシステムだった。
「おいおい、5分で興味持たれるとか無理だよ・・・」
「大丈夫、2人1組だから俺がカバーするよ」
そう言われていた、そのはずだった。
だけど実際に会場へ行くとなんと各テーブルの席数は男性1人、女性2人。
人数の都合上、男は各テーブルに1人となったらしい。
ん?
ちょっと待って。
私が1人で女性のテーブルを回るの?
何を話したらいいの?
「あー、こんなこともあるよ!じゃ、お互い頑張ろうなー!」
待ってくれ友よ。
私を置いてどこへ行く。
そして私の孤独な負け戦が始まった。
ひとりぼっちの私はカオナシになった
やばい、何を話したらいい。
刻々と迫る本番、外は寒いはずなのに背中を冷や汗が伝う。
私の味方は手に持っているプロフィールカードだけ。
もうここから話を広げるしかない。
そして始まった街コン本番。
1組目。
◝(⑅•ᴗ•⑅)◜こんにちは〜
(´・ω・`) あ、コンニチハ・・・
(´・ω・`) あ、プロフィールカードミセテクダサイ・・・
◝(⑅•ᴗ•⑅)◜ どうぞ〜
(´・ω・`) (え、誰このアーティスト? ドラマわからない やばい・・・)
(´・ω・`) ・・・・・
◝(⑅•ᴗ•⑅)◜ ・・・・
何を話したらいいかわからず、沈黙の時間が流れる。
相手も気を遣ってくれて笑顔で話してくれる。
だけど傍から見ても楽しそうな感じではない。
そして5分経った。
次の人でもやっぱり同じ。
「何を話したらいいの」「え、今の笑ったほうがいいの」
考えすぎて言葉が出ない、5分が50分のように感じる。
「ア、ア、ア・・・」
「エ、エェ・・・」
いつしか私は言葉を失い、「千と千尋の神隠し」のカオナシのようになった。
空っぽの封筒1枚8000円
途中から「早く終わってくれ」と思うようになった。
今思うと相手の方々に非常に申し訳ない。
相手の方々こそカオナシとの会話など早く終わってほしかっただろう。
そんなひどい目にあった街コンも終わりが来た。
参加者が気になる人を書いて、最後に主催者が集計する。
参加者は集計担当の方の前を通り、封筒を受け取って順次退出する。
どうやら連絡先は厚紙に記入されているようで、たくさん連絡先を受け取った人の封筒は分厚かった。
そして私の番。
もう渡される時点で封筒がふにゃっと曲がっているのが見える。
明らかに空っぽだ。
空っぽの封筒を畏まって受け取る、これは何の罰ゲームなんだ。
プロフィールの優位性を台無しにするコミュ障
空の封筒を片手に私は友人を待っていた。
そして出てきた友人はこう言った。
「俺、仲良くなった人と一緒にこれからカフェに行くわ、じゃ!」
男女で歩く友人を見送る私。
片手には空っぽの封筒。
この封筒をもらうために8000円払ったのか。
1人で帰りながらふと思った。
今回のプロフィールカードには一応学歴や勤務先を記入する欄があった。
私は京大卒で、勤務先も財閥系の超大手だ。
つまり私はプロフィールのアドバンテージを打ち消すくらいのコミュ障だったということ・・・?
やばい、あまりにやばすぎる。
でも冷静に考えたらそのとおりだ。
筆記試験の問題が解けても「アァ」「エェ」しか話せない人と一緒に楽しく過ごせるとは思えない。
「コミュ力をつけないと本当にまずい」
私は8000円支払い、封筒1枚の他に危機感も手に入れた。
そこから様々な失敗をしたけども今は一応人とまともに話せている(はず)。
振り返ってみると1回目の街コンはあまりにほろ苦かったけど、行動するきっかけになったから良かったのだろう。
そんな経験をしてから10年弱経った。
だけど今も私は1人ぼっちの部屋でこの文章を書いている。
潤いがほしい。
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