見出し画像

自動運転になったら事故はなくなるの?

自動運転技術が進化している。20XX年にはすべての車はEVになっていて、車のドアは指紋認証で開き、座ったら会話で目的地を車のシステムに伝える。その後は目的地に着くまでテレビを見たり本を読んだり仕事をしたり好きに過ごすことができる。すべて自動なので寝ていてもいいし、お酒を飲んでもいい。そんな理想的な未来は来るのか。

1つ目の障壁:そもそも高くて買えない

自動運転車にはいくつもの高価なセンサーが搭載されていて、少なくとも今の車よりはコストが高い。自動車メーカーによって考え方は違っていて、米テスラ社は高価なセンサーの1つであるLiDARを使わずにカメラでなんとか自動運転を実現しようとしているが、自動運転で最も進んでいる米ウェイモ社はLiDARを必須としている。日本のメーカーもおそらくLiDARを採用しようとすると、1,000万円は超えるのではないか。

今後日本がさらなる経済成長に成功し、多くの人の給料が倍になれば、1,000万円の車でも買うかもしれない。また、イノベーションにより低コスト化に成功すれば、今の車と同じ価格帯で売られるかもしれない。また、自動運転車による無人タクシー(ロボタクシー)が今のタクシーよりも低価格で出回るようになれば、多くの人が利用するかもしれない。

逆に高価なままであれば、単なる一部のお金持ちが利用するだけの車になってしまい、交通事故が減ることはほとんどない。

2つ目の障壁:自分で運転したい人達

車を自分で運転することが好きな人達が一定層存在する。高速で走る爽快感や、加速による体感を楽しむ人達である。そういう人達は自動運転車に切り替えないだろうし、国が義務化などで強制すると言っても反対し、結局は義務化にはならないだろう。

そうすると、結局は人が運転するわけでミスも起きる。そのため、事故が無くなることはない。ただ、期待できるのは、自分が運転したい人達というのは、ある程度運転に自信がある人達で、事故を起こしにくい可能性があること。逆に運転に自信がなくなっている高齢者が自動運転に切り替われば、事故は減るかもしれない。

3つ目の障壁:相手側過失の事故

いくら完璧な自動運転だとしても、相手の動作によっては絶対に防げないものもある。例えば歩行者や自転車の(予想できない)飛び出しは、急ブレーキが間に合わない場合もあるし、逆走してきた車、後ろからの追突等、自動運転じゃない車が原因の事故も防ぐのが難しいものがある。

場合によっては自分が悪くなくても幾分過失が認められる場合も多いため、自動運転のシステムを作った自動車メーカーが責任を負うか、運転者が責任を負うかになる。

4つ目の障壁:技術は完璧ではない

車を運転していると、システムでは絶対に対応できないと思うことはないだろうか。例えば信号で右折待ちをしているとき、右折マークがでないような場所では、信号が赤になってからでないと右折できない場合がある。厳密には違反である。渋滞中に割り込みをしなければいけないシーンでも、相手が譲ってくれる前提で無理に入っていかないといつまでも進めないケースもある。ただでさえリスキーなのに、これをシステムができるだろうか。

システム的にみるとこうしたジレンマがいくつも存在していて、どういう場合にどういう動作を取るのか、事故したらどうするのか、コンセンサスを取りながら作りこむ必要がある。自動車メーカーごとにこのあたりの考え方が違うと、その違いによって事故が起きてしまうかもしれな。

それでも期待できること

上記の通り、いろいろな難しさがあって自動運転社会はすぐには来ないと思う。(一部の車両が自動運転化というのはあるが。)仮にすべての車が自動運転化されたとしても、防げない事故は存在する。ただ、それでも人が運転するよりは安全だし、自動運転に向けては国交省、警察庁、自動車メーカー、サプライヤ含む多くの関係団体が前向きに取り組んでおり、その中で様々な課題が解決されていくことを期待したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?