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交通事故ってどれくらい起きているの?

死亡事故が発生するとニュースで報道されるが、年間3000件近く発生しているので(2020年)、通常目にするのは一部ということになる。負傷者で言えば年間約37万人(2020年)もいる。この中には重傷者も含まれる。そういえばパラリンピック選手も交通事故で障害を患ったという人も多かった。

数値だけ見てもいまいちピンと来ないが、地図で見るとどれだけ多く、しかも身近で発生しているかが分かる。交通事故の発生場所は自治体によって公表しているところも多く、ウェブで閲覧できる。その中でも埼玉県警が公開している事件・事故マップは充実している。

本投稿で使っている図は、とある東京近郊の住宅街の地図で、表示してあるエリアはだいたい2平方kmくらいであるが、このエリアだけでだいたい年間100件も負傷事故が発生している。事故マップで見るとこんなに事故が起きているのかと驚く。

このエリアは住宅地から適当に選んだだけで、特段事故が多いというわけではない。つまり、東京近郊に近いエリアではどこもこのくらいの事故が起きている。

事故マップによると、負傷事故が多く発生しているのは幹線道路の交差点が最も多い。ただ、歩行者事故は入り組んだ細い道路が多い。千葉県の八街市の事故も細い道だった。

道路インフラによる対策は?

もし自分が自治体の交通安全担当になったら、こういった状況に対してどのような対策を打つだろうか?

まずは事故件数の多い、交通量の多い大きな道路を優先せざるを得ないだろう。なぜなら、事故件数を減らすという意味ではそれが最も効果的かつ効率的だからだ。

一方で、それ以外の道路も無視できない。地域住民の声を聞いたり現地調査したりして、危険な箇所を洗い出し、一つ一つ対策していくということも必要だ。

でも、もう一度地図を見てほしい。この2平方kmだけでいったいどれだけの対策をしなければならないのだろう。そして1つ1つの対策も簡単ではなく時間がかかったり、土地が確保できないために歩道が作れない場合も多い。結果、いつまでも手が付けられないところで、いつか大事故が発生することになる。道路インフラは大事だが、限界があることを理解しておきたい。

車による対策は?

最近、自動ブレーキが義務化になった。これにより、今後発売されるすべての車が緊急時に自動でブレーキがかかるようになる。すべてのケースを完全に防いでくれるわけではないが、今後性能が向上するとより多くの事故が防げることが期待される。

車側での対応のメリットは、インフラと違って全国どこでも同じ機能を享受できることである。歩行者を検知できる自動ブレーキシステムは、大きな道路でも小さな道路でも関係なく機能する。一方でデメリットは、普及するのに非常に時間がかかるということだ。車のライフサイクルは10年以上と言われているので、新しい機能を出しても、それが皆に行きわたるのに10年かかってしまう。

実は2003年から日本では自動ブレーキの搭載が進んでおり、義務化の前からすでに多くの車に搭載されていたようである。ここ10数年での事故死者数の大幅な減少は、この自動ブレーキのおかげではないかと思う。当然、こういった機能を持つことで車の価格は高くなっているが、それでも社会全体として安全へのメリットは大きい。この分野の発展は大いに期待したい。

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