「シェルブールの雨傘」と私
この文章で書こうとしていること
この文章では、フランスの古いミュージカル映画、「シェルブールの雨傘」について書こうとしている。
まだ「シェルブールの雨傘」を私は観ていない。
映画好きの友人について
学生の頃、映画がとても好きな友人がいた。
その人は市川雷蔵のファンクラブに入っていた。
話がそれた。
当時、その人に
「シェルブールの雨傘ってどんな映画?」
と聞いた。
「基本的に『愛してるわ…』『愛してるわ…』の繰り返し」
という答えが返ってきた。
そこで私は「シェルブールの雨傘」に対する興味をだいぶ失った。
考えてみるとその友人はそこまで音楽が好きな人ではなかった。
どうしてそう思うかというと、その友人と一緒に名画座で「さらば青春の光」を観たとき、私はとても楽しめたのにその人はそれほどおもしろそうにもしていなかったからだ。
その友人の名誉のために書くと、バッハのゴルトベルク変奏曲や、ギャヴィン・ブライアーズの「タイタニック号の沈没」はその友人から教わった。
きっとその友人はポピュラー音楽についてさほど興味が強くないのだと思う。
ダニエル・リカーリの存在を知った
そして月日は流れた。
先日、ネット上である人とやり取りをしていて、
「よしゅくさん(私)はミシェル・ルグランとか好きなんじゃないかなあ」
と指摘された。
ミシェル・ルグランの音楽には親しんでいませんが、ポール・モーリアが子供の頃から大好きでしたと答えた。
とりわけ私が大好きなポール・モーリアの曲は、「エーゲ海の真珠」の初回録音だ。
そうしたら、「シェルブールの雨傘を観るといい」と言われた。
「シェルブールの雨傘」でカトリーヌ・ドヌーヴの歌声を吹き替えているダニエル・リカーリという女性歌手が、「エーゲ海の真珠」の初回録音のスキャットの主であると教えてもらった。
Apple Musicでダニエル・リカーリのベスト盤を聴いてみた。
「エーゲ海の真珠」のあの声がずっと聴けるのはなんだか不思議な感じがした。
こんな美しい声で音程も正確な人が世の中にはいるものだ。
べつに映画がまるごと1本「愛してるわ…」の応酬でもよいではないか。
満を持して「シェルブールの雨傘」を観る日も近い。
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