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だから子どもたちはマスクをせずに外で遊んだほうがよいと思うのです

 運動あそび塾しらさん家の参加者のみなさんへお配りしている「ササめがね通信」をこちらに掲載しています。
(7月号 No56.2021年6月22日発行より)

私はしばしば呼吸を忘れる

 呼吸は、どのように行われるでしょうか?息を吐いたり吸ったりするのが呼吸なわけですが、ではなぜ呼吸をするのかというと、酸素を身体に取り込む必要があるからです。酸素は肺に送られ、毛細血管を通じて血液中に入り、全身を巡ります。肺そのものは自ら膨らんだり縮んだりはできません。肋骨の間の筋肉や横隔膜と言われる部分を動かすことで、肺が膨らんだり縮んだりします。つまりこの生きるために必要な呼吸という動作は、筋肉を動かす“運動”であるとも言えます。そしてその数、一日に約2万回も行っています。
 にもかかわらず、私は、呼吸をしていることをしばしば忘れます。緊張感に包まれている時、自分が息を吐き出しているということを、私は忘れています。悩んでいる時、自分の横隔膜の動きのことなど、私は忘れています。そしてスマホを見ている時、ふと気が付くと、あれ?今呼吸していたかな?とびっくりするくらい呼吸が浅くなっています。「そんなこと、みんな無意識だろう」という声が聞こえてきそうです。たしかにその通りで、呼吸は無意識でも行うことができる運動です。ですから、寝ていても呼吸ができるわけです。

無意識下での呼吸機能の低下

 ところが人間は、その無意識の呼吸の質を低下させてきてしまいました。人は身体を動かすと、その分沢山の酸素を必要とします。早歩きやジョギングなど、運動量が多い動きをすればよく分かりますが、「スッ、スッ、ハー」など規則的なリズムで呼吸を続ける必要があります。歩くことが減り、デスクワークが多くなった現代は、100年前と比べたら格段に呼吸に使われる横隔膜などの機能が落ちていると思われます。そしてさらにこのコロナ禍で、また一段と呼吸が浅くなっているのではないかと危惧しています。リモートワークが多くなり、外に出てもマスクをし、会話も少なくなり、呼吸がしづらい環境を作り出してしまいました。身体中に血液とともに酸素を送り込むという重要な役割がある呼吸機能が低下するということは、イコール健康状態が悪くなるということです。呼吸の問題は、不安な気持ちに拍車を掛け、不登校の増加や自殺者の増加とも関係があるのではないかとも思います。ですから、呼吸に意識を向けるということの重要性をよく理解している人たちは、ヨガや坐禅、瞑想など、古くからある習慣を積極的に取り入れています。

子どもたちに普通の日常を

 子どもたちは、学校ではかなりの時間マスクの着用を強いられています。ここ新潟県柏崎市においては、さすがに休み時間に外で遊んでいる子たちは外しているようですが、日中ほとんど外さない子もいることでしょう。中には、今自分がマスクをしているということを忘れて無意識で付けている子も見受けられます。繰り返しになりますが、呼吸は、単なる生命維持活動ではなく、その良し悪しが健康状態に直結します。幼い子どもの場合は呼吸数が一日に3万回にもなると言います。子どもたちは、大いに動き回り、声を出し、笑いながら、まだ小さな臓器や全身に酸素を送り込んで成長していきます。私の子どもが通う保育園では有難いことにマスクの着用はほとんどありませんが、新1年生になったとたんに、全くの新しい環境であることに加えて急に自由な呼吸を遮られるとしたら、その不安感は大人の比ではないのではないかと思います。学校においては先生方が最大限工夫して取り組んでくださっているわけですが、文科省からの指針に従わなくてはならないこともあるでしょうから、歯がゆい思いをされているのではないかと思います。

 さてそのような中で、私たちはできるだけ日常のまま子どもたちの活動を続けてきました。全力で駆け、息を切らし、笑ったり、泣いたり、叫んだり、興奮しすぎて大変なこともありますが(笑)、それでも日常のままの呼吸ができることの大切さを噛みしめながら、これからも日々の活動にあたっていきます。
 もう少しで夏休みですね。ご家族で自然の中へ飛び出して、たくさん深呼吸してください!


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