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【可動&スキマ経済】バス内まで行き届くお菓子屋(メキシコ/メリダ)

メキシコのメリダという町のバスの中で出会った彼女に僕は感動した。最後にバスに乗り込んできた彼女が突然叫びはじめた。ナンダ⁉と驚いたのは僕だけで、他の乗客は驚く素振りも見せず、冷静に彼女が持つ両手のお菓子を見ている。運転手も、特に注意することなくバックミラー越しに彼女を見つめている。一人の男性が手を挙げてお菓子を購入した。それから彼女は何事もなかったかのようにバスを降りていった。

タシカニ!この方法なら小腹を空かせている乗客の欲求を叶えることができる。商品を見せることで食欲もそそらせる。《可動経済(手持ち編)》の特徴は、身体が許す限り、どんな空間もすり抜けて入っていけること。

彼女はバスの中までも経済活動の場に変えてしまった。また、彼女はバスの中という「スキマ」に入り込んでいるので、《可動経済》であり《スキマ経済》というダブル手法で売り上げを効率化させている。

彼女の水のようにすり抜ける柔軟な思考力とたくましさ、そしてそれを許す乗客やバスの運転手の様子に僕は感動した。

メリダ住民にとっては当たり前の日常なのかもしれない。でもその様子はみんなで協力しあって住みやすい場所を維持している姿に見えた。法律やルールが先行しているのではなく、人の動きが先行している。「国とは人」などと語るのは飛躍しすぎかもしれない。でも、人が住む環境づくり、国づくりの原点を見たような気がして、嬉しくなった。

1.大写真「バス内がアッという間に経済空間に変わった メキシコ : メリダ」

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