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it's what's inside that`s counts

「文化といふ言葉にはこのころよく耳をするけども、それはどういふものを説明し得る人は存外に少ない」。これは日本の民俗学や伝統文化を研究する草分け的存在の柳田國男が昭和18年に出版した自著の中で記しています。
それから、1世紀近くが経過した現代において日本のラッパーである鎮座DOPENESSなどが参加している曲"BUNKA"では「あれも文化、これも文化」と1980年代から90年代にかけて今日までも色褪(いろあ)せることなく世界中の音楽シーンの基盤となった歴史を鎮座流のラップで紐解いています。
音楽に限らず、食、芸術、美術、文学、ファッションなど暮らしていく上で常に隣り合わせの存在が文化であり、あなたの身近にも文化はありふれています。
というと、お堅い話しになってしまうので旅の話をしようと思います。

今からちょうど10年前の2013年にシアトルへ旅行しました。シアトルとはアメリカの西部に位置し、野球選手のイチローがいたシアトルマリナーズというメジャーリーグの球団がある都市です。2013年当時のカーサ・ブルータスという雑誌のホテル特集でその号の表紙に惹かれ、調べてみるとポートランドにあるエースホテルいうホテルでした。アメリカ人が創業し、今では日本の京都にもあります。地元と旅行者をつなぐハブ的な役割としてその街に溶け込んだ存在感のあるホテルです。
ポートランドが有名なエースホテルですが、シアトルで創業されたことはあまり知られていないかもしれません。当時、エースホテルをネットで調べてシアトルに行ってみようと思い立ち、シアトルのエースホテルを予約しました。
現地に到着後は想像以上にこじんまりとした小さな1軒のホテルでした。もともと何かの用途として使われていた場所を宿としてリノベしスタートしたのが1999年。
港町のシアトルはコンパクトなサイズ感でエースホテルを中心とすると、ホテルの1階にはビール屋さんがありその向かいにはグロッサリーストア。隣にはピザ屋さんがあり日中路上には讃美歌なのか何かの歌を唄っている人がおり、石を投げるとスタバに当たると言えるほど、どこもかしこもコーヒー天国でした。(さすがスタバ創業の地)
ホテルから美術館も徒歩で行くことができたので毎日のように通っていました。
こうやってひとつのホテルを軸とした街や文化が生まれていくのだなと、わずか1週間以内の旅行でしたがしみじみ異文化を味わいました。
ホテルの狭いロビーには当時のiPhone3か4のケースがガラスのショーケースにディスプレイされており、エースホテルの刻印がされていたので記念に買いました。
なんてことのないプラスティックケースの内側には「it's what's inside that`s counts」と書かれていました。
英文字に気は留めずに購入に至りましたが、意味をよく調べてみると「大切なのは中身です」とありました。姿や側だけで判断しがちな昨今ですが、中身を注視することや外と内側が伴うこと。継続することの容易ではないことを身に持って痛感しているこの頃です。記念に購入したケースはすぐにガシガシ使いました。時代が移り変わり機種変を経て、ボロボロになったケースは今でも大事に取ってあります。

文化という話に戻します。

エースホテルがそうであるかのように、それぞれの街の雰囲気に沿ったホテルや象徴的なコミュニティが形成され様々な人々が集う場所として育まれています。先人たちの歴史を辿ると当初は空洞のような中身のない遊びが人々が共存していく中で段々と意味と成し、それが現代にも受け継がれる暮らしと直結した豊かさの象徴として文化が今日にも隣にいます。
とっ散らかった文章になってしまいましたが、2023年12月16日(土)に沖縄県文化振興会の主催のもと「第1回先島ミーティング」と題して"宮古文化を育む場所をどうつくる?"というテーマでトークの登壇にお声がけいただきました。
忘年会シーズンのピークであると思いますが、予定ずらせますよって方いましたらぜひご参加お待ちいたしております。

最後にアメリカのミニマル・アートの先駆者ドナルド・ジャッドが生前のインタビューで話していたことを紹介いたします。
-「社会は基本的に芸術文化に興味がありません」
-「私が思いつくのはアーティストが存在するだけで社会を少し揺るがす傾向があるということです」
-「アーティストが自由でなければ、アートは存在しません」
-「内側が明らかでなければ本当に良い建築はできないということだと思います」

僕自身もアーティストに日々揺るがされているのかもしれません。




U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS / BUNKA

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