【プロダクトリリースから2年】MAU300万人突破&エンプラ導入多数。COOから見たPMFの軌跡と今後の展望。
こんにちは。SalesNow COOの粂です。
セールスチームの武器となるデータベース「SalesNow」は、2022年8月のプロダクト本リリースから、この8月を持ってちょうど丸2年となりました。
この2年間でプロダクトを磨き込み、まずは、狭く深く「人材業界」に焦点を絞った上でPMFが完了し、フリーランスエージェント市場ではシェアNo.1を獲得しました。
そして、そこから対象業界や対象企業規模を拡大し、現在ではエンプラ企業の導入が相次いでいます。
ユーザ満足度も非常に高く、導入時の期待値を上回る価値を提供できている確かな手応えを感じています。ありがたいことに事例インタビュー記事も多数ご協力いただけております。
パーソルキャリア株式会社様:新規案件獲得率1.5倍、営業全員の時間あたり生産性が2倍に。データによってセールス体験をアップデート。
ディップ株式会社様:ターゲットセグメントの企業開拓において、SalesNow経由の受注が全体の3割に。月間約160時間の工数削減を実現。
株式会社クラウドワークス様:導入2週間でアポイント獲得率2.75倍を実現。SalesNowを活用して顕在化した採用ニーズを持つ日本の全ての企業に対して接点づくりをしていきます。
また、無料版の企業データベースメディア「SalesNow DB」は、月間ユーザ数(MAU)300万人を突破し、右肩上がりの成長を遂げています。知り合いからも「最近企業を検索するときにSalesNow DBをよく見る」と声をもらうことが増えており、世の中に着実にプロダクトが広まっている確かな手応えを感じています。
振り返ると、スタートアップらしく無数の仮説検証・成功と失敗を繰り返し、高低差の振幅も激しい濃密な2年でした。
1日単位・1週間単位で目まぐるしく状況が変わる激動の立ち上げ期にて、不確実性の高い中、同じ船に乗り人生を賭けてくれたメンバーの皆には大変感謝です。代表の村岡も含めて、本当に支えてもらいました。
「スタートアップの立ち上げ0→1フェーズの成功体験」という何事にも変えがたい財産を提供できたことは、個人的な誇りで、一番の恩返しになっているのではと勝手ながら思っています!
とはいえ、まだまだこれらはほんの"序章の序章"に過ぎません。
SaaS事業としてARR100億円は当然目指しており、その先のARR1,000億円も狙っていくにあたり、スタートラインにやっと立てたという感覚です。(ちなみに、セールスフォース・ジャパンは日本だけで売上2,300億円を超えています。)
この2年という節目に一度立ち止まり、2年間の成功と失敗を含めた振り返りと、PMFまでの軌跡、また、今後の展望について、COOの視点からまとめたいと思います。
スタートアップに興味のある方々に少しでも参考になれば幸いです。
プロダクトリリースまで(~2022/7)
2019/8~2022/4:創業からの試行錯誤とピボット
弊社の創業は2019年8月で、2022年8月のSalesNow本リリースまでのちょうど3年間は、さまざまな紆余曲折を経ました。プロダクト開発、採用、ファイナンス、マーケティング、セールスなど経営に関わるあらゆる領域の試行錯誤がありました。
個人事業主・SMB向けの企業リスト作成ツール・問い合わせフォーム自動送信などのBPOをメインプロダクトとして全力を注いだり、はたまた、従業員サーベイツールの立ち上げなどもトライしました。(事業売却済)
複業人材を中心に組織を作ったり、月次数千万円の広告を投下したり、アップセルプロダクトを立て続けに5つリリースしたりと、さまざまな試行錯誤、成功と失敗がありました。
しかし、当時の事業の延長では、どう頑張っても最大でARR20~30億円程度が限界だと感じていました。解決する「課題」それ自体の負は根深かったものの、「市場」の大きさそのものに限界があったためです。
僕自身も代表の村岡も、中小企業レベルで留まるつもりは毛頭ありませんでした。
ARR100億円、さらにその先のARR1,000億円を狙い、歴史に残る事業を創るという志のために、2022/4には完全撤退・ピボットの意思決定を取りました。
この約2年9ヶ月での無数の成功と失敗があったことで、いわば「起業2週目」のような感覚で今のSalesNowに取り組むことができているのは、大きな財産となっています。
2022/5~2022/7:課題検証と市場選定
創業から主力事業として取り組んできたのは、セールステック事業でした。
ピボットにあたり、この「セールス領域におけるアナログで非効率な負」という大テーマに関しては、「2,700兆円を超えるBtoB商取引という広大な市場」であり、かつ「痛みを伴う課題」も深かったため、引き続きこの大テーマに焦点を定めることとしました。
その中で、長期的にARR1,000億円を狙える市場はどこか、それに伴うユーザの痛みを伴う課題は何かを見極めるために、代表の村岡とともに、まずはとにかくユーザヒアリングを徹底しました。
この3ヶ月間で100社以上のセールス・事業企画・マーケティングなどの方々と話しました。「具体的な業務内容の詳細と痛みを伴う課題」を聞くことを徹底し、解像度を上げました。
プロダクトの方向性を決めるために、顧客の現場の解像度を上げることと、TAMの大きさの確認という「ミクロ」と「マクロ」を行き来することの繰り返しです。
国内のセールステック含めた市場調査はもちろん、海外事例の調査も徹底して行いました。実際に海外ツールは複数契約をしたうえでプロダクトを詳細確認できる状態を作りました。(今現在も社内メンバー全員がいつでも触れる状態を作っています。)
また、目標の解像度を上げることも重要です。
例えば、ARR100億円についても、単価はいくらで何社開拓する必要があるのか。ARR50万円×20,000社なのか、ARR5,000万円×200社なのかでどのような事業を作るのかがまるで変わります。
ピボットにあたり、課題・市場・目標設計の大きく3つの観点で、代表の村岡とも何度も議論を重ねました。
そして「ミドル・エンプラ企業向け高単価・高付加価値の企業データベース」領域にピボットすることとしました。
また、当時の大きな意思決定として、このタイミングで初めてVCからのシリーズAで約2億円の資金調達を実施しました。
世の中を変革する事業を創っていくにあたり、視座を引き上げていただける投資家の存在は大変貴重です。振り返るとこの意思決定は大正解で、リードVCのKUSABIの渡邉さんを筆頭に、SMBCの飯塚さん、CSPの南さん・梅田さんなど、顧客紹介や勉強会などさまざまな側面から伴走いただいています。
KUSABIの渡邉さんと村岡の対談記事はこちら。
プロダクト磨き込み期(2022/8~2023/12)
2022/8:SalesNowを本リリース
2022年8月「ミドル・エンプラ企業向け高単価・高付加価値の企業データベース」としてSalesNowを本リリースしました。
プロダクトの本リリースに伴い、社名もプロダクトと統一するために、株式会社QuickWork→株式会社SalesNowへと変更しました。
社名変更の背景は、代表の村岡がnoteにまとめています。社名とプロダクト名を同一にすべきかなど迷っている方がいればぜひ参考にしてください。
プロダクトの磨き込み期に最重要視したことは「解約率10%以下」
SaaSとしては当たり前なのですが「解約率」が長期的な成長の上限を決めます。
下記のグラフのように、解約率25%以上では10年以降ほぼ成長せず、「解約率10%以下」がSaaSとしての長期的な成長の絶対条件となります。
スタートアップ初期は「狭く深く」が鉄則。その繰り返しである『マルチバーティル戦略』
SalesNowでは「解約率10%以下」を必達するために、市場をむやみやたらに広げず「狭く深く」を繰り返し続ける『マルチバーティカル戦略』を徹底しました。
PMFは一度で終わることはなく、繰り返し続ける必要があります。スタートアップ初期においては「狭く深く」が鉄則であり、目の前の売上が伸びるとしても、市場を広げたい気持ちを抑えて、狭く深くを徹底します。
プロダクトが未完成の状態で市場を広げてしまうと後でチャーンレートにもがき苦しむことになります。バケツの穴が空いている状態で組織拡大やマーケを踏むと、目の前の売上は伸びるとしても、その負債の取り返しに、結果として倍以上の時間がかかってしまい、悲惨な状況を生みます。
ナレッジワークの麻野さんもXで同様の投稿をされており、個人的な印象に深く残っています。
SalesNowでは、マルチバーティカル戦略として、まず「人材業界」に焦点を絞りました。人材業界といっても日本には現在23,373社あります。さらにそこから、セグメントをさらに数十件に細分化し優先度を決めました。
2022/9:「多数精鋭」となるための組織作り開始。1人目正社員、PdM兼デザイナーの渡邉さん入社。
プロダクト本リリースに伴い、組織作りも本格始動しました。2022年9月には、1人目正社員としてPdM兼デザイナーの渡邉さんに入社いただきました。
SalesNowの「営業現場・新卒1年目でも使える圧倒的な使いやすさ」は渡邉さんが生み出してくれており、明確な競合優位性へと昇華されています。
インタビュー記事はこちら:
ここから約2年で他にも優秀な創業メンバーが続々とジョインしており、強いチームができています。
他メンバーのインタビュー記事や社内対談記事はこちら:
「自分よりも優秀な人を採用する」というのが弊社の採用鉄則であり、優秀な創業チームが出来上がってきています。
2023/10:プロダクトコンセプト「セールスチームの武器となるデータベース」を策定
2023年10月にSalesNowのコンセプト「セールスチームの武器となるデータベース」を策定しました。プロダクトのコンセプトは全ての意思決定の根幹となります。熟考を重ねて長期でもブレることのないコンセプトを生み出すことができました。
コンセプト作成にあたり、任天堂Wiiを生み出した玉樹 真一郎さんの「コンセプトのつくりかた」を参考にしました。コンセプトに悩んでいる方はこちらの本の通りに進めていけば解に辿り着くと思います。
2023/12:プロダクトの初期磨き込み完了は、解約率・商談受注率・顧客の反応で判断。
プロダクト磨き込み期間の完了目安として、定量面では遅行指標として「解約率」を、先行指標として「商談受注率」を基準としました。
また、定性面では「顧客の反応」を見ていました。商談時に明らかな課題を感じていてプロダクトが刺さっているか、活用開始してから費用対効果が出ているかの確認です。
これらを総合的に鑑みて、2023/12時点で拡販を開始できるレベルでプロダクトの磨き込みが完了できたと判断しました。
プロダクト拡販期(2024/1~)
2024/1:約1年5ヶ月のプロダクト磨き込み期間終了。本格的な拡販・認知拡大の開始。
ユーザに満足度高く価値提供でき、契約更新されるプロダクトが一定でき上がったことを確認し、ほぼ停止していた広告活動を再開しました。
とくにこの期間はPMFにおいて重要な「見せ方」の検証です。PMFには「プロダクト」と「ビジネス」の両側面あります。「ビジネス」としてどのような訴求でどう見せるかを重点的に仮説検証を進めていきました。
2024/4:フリーランスエージェント市場でシェアNo.1獲得
プロダクトの磨き込みとマーケティング・セールスにおける価値訴求を磨き上げることで、結果としてフリーランスエージェント市場でシェアNo.1を取ることができました。
独占的市場シェアである73.9%を目指して、引き続き徹底的にシェア獲得に取り組んでいます。
2024/5:更なる組織拡大を見据えてSalesNow Culture Deckをリリース。
プロダクト拡販において「組織拡大」は必要不可欠です。強固な組織づくりのために、2024/5にカルチャーデックをリリースしました。半年以上かけて代表の村岡と何度も推敲を重ねて、120%納得のいく形でのリリースができました。あえて「リリース期限」を切らずに、1言1句妥協せずに100点のものを作り上げることに徹底してこだわりました。
改めて定めたSalesNowのミッションは「誰もが活躍できる仕組みをつくる。」です。
また、バリューは「コト志向」「仕組み化」「多数精鋭」の3つに絞り切りました。
以前は5つのバリューを掲げていたのですが、浸透しきらないことや、パッと全てのバリューを言うことが難しいなどの問題がありました。
各4文字で3つにまで絞るということができ、かつ漏れも無い感覚を持つことができています。
さらに、今のフェーズに合わせた26の「行動指針」も策定しました。これにより強力なカルチャー醸成する基盤を整えることができました。
2024/5:「データによって、売れる仕組みをつくる」というキャッチコピーの確定
プロダクトの価値提供範囲を「営業全体でのデータ活用」へと広げるためのキャッチコピーが確定しました。プロダクトのキャッチコピーに関しても半年以上議論を重ね続け、コンセプトプランニングのコンサルティングにも入っていただきつつ、PDCAを回し続けました。
2024/6~:人材業界からのターゲットセグメント拡張。エンプラ企業の導入実績が積み上がる。
人材業界でのPMFが完了した後、マルチバーティカル戦略を推し進めました。社内では30〜40のセグメントを言語化し、notionにて一覧化の上、優先度を並び替えています。セグメントごとの解像度を上げることで、結果としてエンプラ企業への拡大が進んでいます。
今後の展望
SalesNowの今後の展望についても触れたいと思います。
「人口減少」という世界最先端の課題。「労働生産性改善」という人類の最重要課題に挑む。
世界で最先端の課題である「人口減少」に直面している日本。「労働生産性改善」は人類の最重要課題となっています。SalesNowでは、すべての「働き手」に関わる課題をデータとテクノロジーを持ち込み、仕組みを根本から変え、プロダクトを届けることで解決していくことを目指しています。
志高く。ARR100億円、その先のARR1,000億円へ。
まずはSaaSとしてARR100億円、その先にARR1,000億円を本気で狙います。再掲となりますが、セールスフォース・ジャパンは日本のみで売上2,300億円です。目の前の数年ではなく、より長期を見据えて、本気で世の中を変革するプロダクトを創っていきます。
AI・LLM時代のガソリンであり根幹の「データ」を抑える。
30年前にITの登場で世界が変わったように、AI・LLMは間違いなく世界を変えます。そしてAI・LLMの根幹を支えるのは「データ」です。AI・LLMの精度はデータの量や品質に依存して大きく変わります。ここをSalesNowでは創業から一貫して抑えにかかっていて、これからも最注力していきます。
企業データベースなら、SalesNow。「企業データベースの1丁目1番地」を獲りにいく。
そのためにSalesNowでは「企業データベース」という広大な市場を狙っていきます。「企業データベースなら、SalesNow」という「企業データベース」で1丁目1番地を獲りにいきます。
日本最大の「企業データベース」は帝国データバンクで、売上548億円です。また、2番手の東京商工リサーチは売上231億円です。2社のみで769億円という広大な市場。周辺領域も含めると、数千億円はゆうに超えてきます。ここをSalesNowでは獲りに行きます。
とはいえ、SalesNowはまだリリース2年で、正社員はわずか10人。PMF後のいま、組織拡大が最重要フェーズ。
SalesNowは現在、正社員10名のみです。プロダクトの本リリースから2年でPMFが一定完了し、「組織拡大」が最も重要なフェーズとなっています。「少数精鋭」から「多数精鋭」への変革期です。コアメンバーとして参画いただける方を絶賛募集中です。
スタートアップでの急拡大を同じ船に乗って「創業メンバー」として経験したい方、お待ちしております!
少しでも興味ありましたら、カジュアルにぜひお話ししましょう!
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