膝痛改善に向けて。KAMの考える〜レバーアームについて〜
膝痛改善に向けて。KAMの考える〜レバーアームについて〜
KAM=床反力×レバーアーム
この式をもう一度思い出して下さい。
KAM(External Knee Adduction Moment)は外部膝内反モーメントです。膝を外転方向に動かせる力です。
つまり、床反力、レバーアームどちらかを減らせばKAMを減らせます。
本日は、レバーアームについて考えていきます。
レバーアームについては、いくつか知識が必要なので説明していきます。
正常でも床反力は膝の内側を通りますがそれに対応するメカニズムにより最小にしています。
実は、膝OA患者でも代償動作によりこれを減らしています。
例えばデュシャンヌ徴候のように、体幹を側屈させて、床反力が過度に内側に行かないような戦略をとったりします。
これも正常と違う!!といって治そうとすると膝痛を強めてしまう可能性があるため注意が必要です。正常が正解という判断はしない方がいいですよ。
レバーアームを減らすためにはまず注意したいのは股関節です。
OA患者の股関節は外転、外旋位になりやすいです。そうなると外転筋は短縮位になり発揮しにくくなります。
外転位になるため、逆に内転筋は伸張位で過活動になりやすいです。
外転筋は上手く使えないし、アライメントも崩れてるし、、となると腸脛靭帯に依存して立位保持する形となります。この姿勢で繰り返し動作を行うため、腸脛靭帯は張ったままになり、外側広筋との滑りも悪くなり発揮しにくくなります。
これらの結果、対側の骨盤が下がりlateral thrustを助長します。つまりレバーアームが長くなることになります。
そう考えると
股関節の内旋、内転可動域はあるのか?
外転、外旋筋の短縮はないか?
過度な筋緊張を発していないか?
骨盤が下がらないように外転筋、屈筋の発揮は十分か?
腸脛靭帯の張力は適切か?
腸脛靭帯と外側広筋の滑りは十分か?
そんなことを考えることが必要かと思います。
次に体幹についてです。
運動連鎖にて膝OA患者では脊柱後弯、骨盤後傾になりやすいです。
これらのアライメントは股関節を外転、外旋位に誘導するため、上記した問題が生じてしまいます。結果としてレバーアームの増加に繋がるため、体幹部からのアプローチも必要になります。
また、体幹がどちらかに偏位していると重心位置が変化してlateral thrustを助長します。
体幹でのバランスをとれるための可動性と筋出力も当然必要になります。
高齢者などでは、すでに変形している方が多く、すべてを治せるわけではないと思いますが、骨盤を起こすような腹横筋、多裂筋、腸腰筋などの賦活を図ることも必要です。
そう考えると
アライメントは適切か?
アライメントは修正可能か?
可動性はあるか?
筋出力は適切か?
体幹、骨盤帯を改善することで股関節、膝関節まで運動連鎖が起こるか?
など考えていかなければならないかもしれません。
まとめます。
KAM=床反力×レバーアーム
↓
どちらかを減らすことでKAMが減る
レバーアームの減少
↓
股関節
↓
①回旋動作は適切に可能か?
②筋出力は十分に可能か?
③腸脛靭帯に依存していないか?
レバーアームの減少
↓
骨盤、体幹
↓
①アライメントは適切か?アライメント是正が可能か?
②腹横筋、多裂筋、腸腰筋などの筋出力は十分か?
③下肢まで運動連鎖が起こるか?
などを考えてみてください。
膝OAについて話をしましたが、これらを知った上で治療をどうしていくのか?その中での装具の役割について考えられると良いかなと思っています。
続く
参考文献
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