【読書メモ】DX戦略立案書(2)
読んだ本
DX戦略立案書
目次:1 デジタル経営変革に関する5つの領域
この記事は、DX戦略立案書の 1 デジタル経営変革に関する5つの領域についてメモします。
まずは、百科事典のブリタニカの説明からはじまる。1768年に設立されたブリタニカは発刊から244年後最後の印刷を終えた。ただし、ブリタニカはオンライン・ベースのサブスクリプションモデルに切り替わり、また、教室のカリキュラムや学習に関して進化し続けるニーズにこたえるための新たなサービスに、見事ピボットした。
デジタルが変化させている5つの戦略領域
デジタル技術は、顧客とのつながり方や顧客との価値の創り方を変えるものである
5つの領域とは、顧客、競争、データ、革新、価値である。英語の頭文字をとって、CC-DIVと筆者は呼ぶ。
顧客(customers)
顧客とは、現代ではただの購入者の集合体(マス・マーケット)ではなく、顧客ネットワークである。凄まじいスピードでお互いにつながっている。
それぞれが影響を与え合っており、企業の評判やブランドをも形作っている
顧客は、もはや販売のターゲットではない、ダイナミックに相互につながっている顧客は、見つけることのできる最高のフォーカス・グループであり、ブランドの擁護者であり、かつ、イノベーションのパートナーである
競争(competition)
現代の競争とは、他社とどのように競争し、協力するかということである
これまでのように、競争と協力は正反対ではない
自社製品の材料のサプライヤーが、商品を直販し、競合になることだってある
業界外からの参入も想定される
最も大事な点は、デジタル技術によって、競合や顧客の概念に覆されたこと。Appleとサムスンが一部の領域では協業しているように、競合とも協業することを想定しなければならない
データ(data)
データの重要な点は企業がデータをどのように生み出し、管理し、そして管理するか、ということ
現在のデータの量は従来とは比べ物にならないほど増大している
ビッグデータは、企業にとって、今後必要不可欠である
革新(innovation)
革新とは、企業が新たなアイデアを開発し、検証し、市場に導入するプロセスである
今までは市場調査や検証に時間もお金もかかった。これからは最小限のコストで、プロトタイプで、いかに早く繰り返し検証できるかが重要である
価値(value)
ここでいう価値とは企業が顧客に提供する価値、すなわち価値提案である
今までは企業が市場へ提供する基本的な価値は不変だった(製品は更新され、マーケティングは維新され、オペレーションは進化しても)
デジタル時代は、変わらない1つの価値提案への依存は、他社からの競争を誘発し、他の企業につけこまれてしまう
変化する事業環境に対する唯一の方法は、顧客に対する価値提案を拡張し、改善する手段としてすべての技術に目を配りながら、絶え間なく進化する方針を取ること
デジタル経営変革のためのプレイブック
5つの領域それぞれには、デジタル推進の戦略的なテーマがある
・顧客:顧客ネットワークを活用する
・競争:製品だけでなくプラットフォームを構築する
・データ:データを資産に変える
・革新:スピーディーな実験でイノベーションを起こす
・価値:価値提案を時代に適応させる
顧客ネットワークを活用する
顧客は隔離された個人ではなく互いに結び付いたネットワーク
初期購入を超えて、顧客とかかわり、力になり、価値を共創する方法、言い換えると、満足度の高い顧客を、他の顧客に影響を与え、新たな事業機会を生み出してくれる、”てこ”として、活用する方法、を学ぶ必要がある。
製品だけでなくプラットフォームを構築する
デジタル時代は製品だけでなくプラットフォームも重要
例えば下記。
・Winkのように、競争関係にある企業を束ねることができるような信頼される仲介者
・iPhoneのように、他の企業がその上に製品を構築できるようなブランド
・UberやAirbnbのように、マッチング、および、顧客の価値がパートナーによって作り出せるような事業体。
データを資産に変える
データが過剰な現代では、データを真に戦略的な資産にする方法を学ぶことが重要。下記。
・正しいデータを集める
・データを効果的に適用する
まずは、データ・パートナーとの協働から始めることが効果的。
データ資産は下記の効果を生む
・新市場に対するインサイト
・最も多くの注意を必要とする顧客の特定
・顧客に対するコミュニケーションの創出
・ある状況下における傾向分析
スピーディーな実験でイノベーションを起こす
デジタル技術がある時代では、企業には、スピーディーに実験を行う技術を習得することも求められる。
賢く失敗するのが今後重要
価値提案を時代に適応させる
価値提案を時代に適応させる方法を学ぶ必要がある
言い換えると、現在のビジネスモデルを超えたところに集中し、新たな技術によって機会やニーズを形作られた際に、顧客に対してどうしたら最高の価値を提供できるかということに焦点を合わせて学習していくことが必要
自分自身のデジタル経営変革をスタートさせる・9種類の戦略計画ツール
伝統的な企業と、スタートアップ企業では、課題が大きく異なる。例えば、伝統的な企業は、矛盾が起こる組織インフラ、販売チャネルなどがある。デジタル経営変革の本の多くは、スタートアップ企業を対象にしている。
本書では9種類の戦略計画ツールによって、伝統的な企業も、スタートアップ企業も、DXに対応できるようにする。大きく分けると4つの分類
<9種類の戦略計画ツール>
・顧客ネットワーク戦略ジェネレーター
・プラットフォーム・ビジネス・モデルマップ
・競争のバリュー・トレイン
・データ・バリュー・ジェネレーター
・収束型実験法
・発散型実験法
・価値提案計画(バリュー・プロポジション・ロードマップ)
・破壊的ビジネス・モデル・マップ
・破壊的レスポンス・プランナー
<分類>
・戦略的アイデア創出ツール
・戦略マップ
・戦略的意思決定ツール
・戦略立案ツール
ただし、既存の企業においては、ツールを採用する以上のことを行う必要がある。それは、組織的変化という重要な課題である
デジタル経営変革とは、正しい戦略を実践するだけでなく、その戦略を機能させる必要がある。
私たちは「デジタル時代」に生きている。デジタル技術から作られるエコシステムは非常に重要である
※企業がエコシステムを提供するとき、プラットフォームと呼ぶか、APIエコノミーと呼ぶか、APIの提供と呼ぶかは、悩ましい。
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