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映画「レミングたち」の覚書| #4 大門嵩

「レミングたち」で病院の看護師を演じてくれた大門嵩さんは、俳優であり監督でありイラストレーターであり、とても多才な方です。

ヒーロー

2019年3月、とある自主映画に撮影監督として参加しました。その映画は、育児と仕事の狭間で苦悩するお父さんを主人公とした、暖かい家族の話です。イクメンという言葉が流行って久しくも、その実情は男性が育児に参加しようとするとまだまだ多くの障害があります。そこに問題意識を持った佐藤陽子監督が作ったのが、映画「わたしのヒーロー」です。

大門さんわたしのヒーロー1

主演の男性とはこの現場で初めてお会いしました。誰に対しても常に明るく振る舞い場を和ませていた彼は、芝居が始まった途端にスイッチが切り替わったかのように没入していました。一方で彼は自分でも映画を作っているからなのか、スタッフ側の目線も持ち合わせていて、その気配りにとても助けられました。スケジュール的にかなり切羽詰まった撮影でしたが、こんなに楽しい現場はこれまでなかなか無かったように思います。

「あいち国際女性映画祭2019」でグランプリ&観客賞を受賞するなど、この作品は高い評価を得ていて、それは扱っているテーマ性ももちろん大きい要素だと思いますが、メインの俳優陣の実力の高さもその一端を支えていると感じます。特に、話の主軸となるパパ・大門さんととママ・大山さんが本当に素晴らしかったです。

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つくる人

大門さんは俳優でありながらご自身で映画を作られています。短編映画「多日想果」は、国境を越えた少し切ない恋のお話です。共感性の高い、素敵な映画でした。大門さんは「わたしのヒーロー」のパパ感から一転して、初々しい若者に変貌していてびっくりしました。

監督と主演を兼ね、台湾ロケを敢行し、映画祭も続々受賞し、上映会を開催し、Tシャツを作り、タピオカ屋とコラボし、本当にもう行動力がすさまじい人です。

作品をひとつちゃんと完成させるというだけでもものすごい労力が必要で、だからそれをやりきった人を僕はとても尊敬しています。

「レミングたち」では看護師として、彼の出番はあまり多くありません。けれど、比較的シリアスなメインの3人で話が進む中で、大門さんにはなるべく普段の朗らかさを出してもらい、彼の存在は一種の清涼剤として機能しています。未熟な監督で、翔と渚への演出でも手一杯だったので、さらりと求めているものを提示してくれる大門さんにはとても助けられました。彼は撮影初日のみの参加でしたが、初日の雰囲気も大門さんのおかげで和やかになり、以降の撮影もその良い影響を保つことができたと思います。またがっつりと大門さんと一緒の現場に入りたいなと思っています。

4月16日に"大門嵩 特集上映"があって、大門さんの出演作が銀座でたくさん観れるそうです。「わたしのヒーロー」も「多日想果」も上映されるそうで、足を運ぼうと思っていた矢先のこのコロナ騒ぎなのであまりおおっぴらにオススメもしづらいですが、この2週間で劇的に落ち着くかもしれないので、心の隅に留めておいてくださると幸いです。

大門さんはCMにもバリバリ出演していて、すでに見たことあるという方もたくさんいると思います。僕がここで紹介するまでもなくすごい方ですが、もっともっと多くの人にこのLINEスタンプまで作って売ってるすんごい人のことを知って欲しいなと思っています。

「レミングたち」撮影後に、こんなやりとりを交わしました。

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いつかシャンパン飲みながら語らうために、頑張ります。



次回は、大山真絵子さんについてです。


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