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「オリンピック」の冠の価値ー「オリンピック憲章」をガチで読む。②

前回では、「オリンピック憲章」を基に、「オリンピック・ムーブメント」という「恒久的運動体」について、説明した。そこには、人間が行う、あらゆる身体的活動を飲み込む「融通無碍」な思想が胚胎していることを指摘した。そこで、今回は、その組織と構成をみていこう。

まず、オリンピック・ムーブメントの主要3構成要素は、IOC(国際オリンピック委員会)、IF(国際競技連盟)、NOC(国内オリンピック委員会)
である。
IF(国際競技連盟)については、説明が必要であろう。

IF(国際競技連盟)とは、競技を世界レベルで統括する組織である。例えば、FIFA(国際サッカー連盟)、FIBA(国際バスケット連盟)など聞き覚えがあるであろう。ほとんどの競技がIF(国際競技連盟)の管理と指導の下、オリンピックで行われている。

では、IFが何をするか、というと。ほぼ、競技の全てのことに責任を持たされている(一部は、組織委員会と責任を共有している)。競技会場の選定、競技会場がなければその建設の交渉、宿泊施設の手配、もちろん、「ルール」の制定、審判団の派遣、「成績と順位」を決めること、などなど。

これを、逆から見るとIOCは、ほぼ全てのことをIF(国際競技連盟)に丸投げしていることになる。すなわち、IOCは、IF(国際競技連盟)がいなければ、オリンピックを開けないのだ。IF(国際競技連盟)が、オリンピックの実働部隊である。

これについては、前回、「鬼ごっこ」の例を出したが、もし、「国際鬼ごっこ競技連盟」が設立されたら、IFの名の下に参加できるだろうか。その実働部隊さえしっかりしていれば、多分、できる。

ここにも、オリンピックの「融通無碍」な思想が表れている。実働部隊は、IFがやるので、世界的に人気があって、オリンピズムの精神を謳ってくれるなら、考えてもいいよ、という感じである。

興味深いのは、オリンピックの「冠」がいる競技といらない競技があるということだ。

例えば、サッカーなら、なぜ男子は23歳以下代表なのか。なぜ、ラグビーは7人制だけなのか。さらに、2020年までは、国際陸上競技連盟(旧)はIFには入っていなかった。

これらは、いずれも「ワールドカップ」「世界選手権」等、既にビッグイベントを開催しており、その伝統もある、からだと私には思われる。また、新興の「クライミング」「スケートボード」などの競技は、憶測であるが、オリンピックの「冠」が欲しいのであろう。

この視点から見ると、「オリンピック」という「冠」の価値をそれぞれのIFがどのように考えているか、が見え透けてきて興味深い。

以上、IFというオリンピックの実働部隊について、解釈をしてきた。次回は、「オリンピック」という「冠」を所持するIOCそのものについて、「憲章」を解釈していきたいが、できるだけネガティブなサイドには行きたくない。しかし、「憲章」を読むと、「これは、腐敗するわ」と確信するので、そのことについては、書かなければならないと思っている。

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