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スタンフォード式疲れない体。Ⅱ

今回はⅠの続きの呼吸法の話です。

これからお伝えする「IAP呼吸法」は

スタンフォード大学で活躍するスポーツ選手の

ケアに取り入れられている方法です。

この方法は「疲労予防」と「怪我予防」に用いられ

実際に効果を生んでいます。

ただし、

怪我の治療法として「IAP呼吸法」が万能という

わけではありません。

こりをほぐして疲れを取る場合も、

怪我で縮んだ筋肉をゆっくり伸ばすときにも、

メンテナスと「IAP呼吸法」を併用すると

効果が増大するということです。

IAP呼吸法

IAPとは

Intra

abdominal

pressure

の略で日本語に訳すと

「腹腔内圧(腹圧)」です。

人間のお腹の中には「腹圧」と言われる、

胃や肝臓などの内臓を収める空間があり、

この腹腔内の圧力を「IAP」といいます。

「IAPが高い(上昇する)」と言う場合は

肺に空気がたくさん入って腹腔の上にある横隔膜が下がり

それに押される形で腹腔が圧縮され、

腹腔内の圧力が高まって外向きに力が

かかっている状態を指します。

IAP呼吸法とは、

気を吸う時も吐く時も、

お腹の中の圧力を高めて

お腹周りを固くする呼吸法で、

お腹周りを固くしたまま息を吐き切る

のが特徴です。

名前が似ている呼吸法に「腹式呼吸」がありますが

これとは違います。

腹式呼吸の場合、

「息を吐くと同時にお腹を凹ませる」のですが

腹圧呼吸では反対にお腹を凹ませずに、

息を吐くときも圧をお腹の外にかけるように意識して

お腹周りを「固く」します。

「IAP呼吸法」を実践する効果としては

・腹圧が高まることで体の中心( 体感と脊柱)が

  しっかり安定する。

・体幹と脊柱が安定すると正しい姿勢になる。

・正しい姿勢になると中枢神経と体の連携が

  スムーズになる。

・中枢神経と体の連携がスムーズになると体が

  「ベストポジション」(本来あるべき場所)になる。

・無理な動きがなくなると体のパフォーマンスレベルが

  上がり疲れや怪我も防げる。

このような好循環を生むことができます。

では実際やっていきましょう。

やってみよう!

1、耳と肩のラインを真っ直ぐにしてリラックスして

  座ります。

  お腹と太もも、膝裏は90度に。

  手の平を上向きにして指先をお腹に向けて

  両手を膝の上におきます。

2、両手をスライドさせて足の付け根に

  指先を軽く差し込みます。

3、5秒かけて鼻から限界まで息を吸い、

  足の付け根に差し込んだ指を少しづつ

  押し返すようにお腹を膨らませます。

  これが腹圧が上昇した状態です。

  この時方が上がらないように注意します。

4、5秒かけて吸った空気を

  5〜7秒かけてゆっくり口から吐きます。

  息を吐くときに腹圧を弱めないようにして

  ふくらんだお腹が指を押し返す感覚をできるだけ

  保ったまま息を吐きます。

  息を全て吐き切ったらお腹を一度緩めて3に戻ります。

これを5回繰り返します。

※文字で動作を説明するとどうしても

分かりにくくなるのでこちらの動画で

本書のままの説明がありましたので

リンクを貼っておきます。

IAPはチェコの理学療法士である

パベル・コラー博士が提唱する「DNS」

(動的神経筋安定化)という

”筋肉より神経に着目した身体機能理論”の中で

最も重要視されているものです。

一流のスポーツ選手はこの呼吸法を

自然と行っていることがあるのですが

私たちもこの呼吸法を知った今、

やらない手はありません。

IAP呼吸法で腹圧を意図的に高めて

体の中心を安定させ中枢神経からの指令の

伝達経路をしっかりと整えられれば

私たちも一流の選手のような「疲れない体」を

構築することができます。

スタンフォードの選手には試合中に、

疲れたり緊張したりして脈が早くなっているときに

タイムアウトを取ってこの呼吸法をワンセット行い

集中力や落ち着きを取り戻すように教えられている

呼吸法です。

またあなたが眠る前の二分間にこの呼吸法を

行うことでスムーズに眠れるようになります。

なぜかというと、

IAP呼吸法の鍵を握る横隔膜には

自律神経が集中していてゆっくりとした呼吸による

横隔膜の動きが副交感神経を優位にするからです。

これによる「睡眠回復率」も上がることが

証明されています。

「細胞レベル」で疲労に強い体になる。

あなたの呼吸が「疲れる体」を作っていないか

確認してみましょう。

肋骨の位置を見るとその人がどんな呼吸をしているか

わかります。

・肋骨の一番したと左右の肋骨の一番出ているところを

 結んだ角度が九十度を超える人。

・肋骨の下部が飛び出ている人。

こういう人は常に胸呼吸をしている人です。

胸呼吸は疲れやすかったりストレスを溜めやすかったり

横隔膜をきちんと下げられていない「浅い呼吸」が

癖になってしまう呼吸です。

胸呼吸は「胸が上がってお腹が下がる」ので

「パラドックス呼吸」と言われています。

パラドックス呼吸は姿勢が崩れるなどデメリットが大きい

というのが特徴です。


今回はIAP呼吸法を紹介しました。

次は疲れを即座に回復する

「究極のリカバリー」についてです。

では。

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