あの時私は確かに特殊な性癖を持つ人間だった

それは、仲の良い友達3人で構成されたグループLINEに送られてきた1枚のスクリーンショットから始まった。
画像と共に一言、「ぱきちの真似した」とだけ。

ぱきちとは我々3人が好んでX(旧Twitter)を見ている夜職メインで働いている女性だ。
我々はよく彼女の口調を真似てみたり、面白かった投稿を共有しては笑っていた。

以下の投稿が今回のきっかけとなった。


この投稿を見た時、私は電車の中におり笑いを堪えるのに必死だった事を覚えている。
そしてその直後スマホを落とし、思い切りこの画面が映ったままであったので「あああぁ!」と軽く叫んでしまったため非常に恥ずかしかった。

話を戻そう。
ともかく、友人は上記の投稿を真似て、怪しいグループLINEに招待されたためグループ名を変えたのだ。
そう、「スカトロ愛好会」へと。
そのスクリーンショットを見て私はゲラゲラ笑った。

友人はこの後何をして遊ぼうかと聞いてきたため、適当なスタンプ連打や変なメッセージを送ることなどを提案し話し合った。
その最中、友人がグループのアイコンをR18マークにするなどし、完全に投資系のグループからただのドスケベなグループへと変貌した。

そこまで遊んだはいいものの、特段他にすることも無くなったためあとはスタンプ連打か、という雰囲気になった時だった。

もう1人の友人が口火を切った。
「私もそこのグループに招待してよ」

なるほど、そういうことも出来るのか。

それであれば私も参加したい、いつか誰も居なくなるであろう終わりの見えているグループで何か爪痕を残したい。
そんな欲が出てきた。

ここからは最初にスクショを送ってきた友人をA、招待を求めた友人をBとする。

招待されたら何をしようか考えつつトイレに行き、戻ってLINEを確認すると通知が40件ほど来ていた。

まあスカトロ愛好会だろうなと思ってアプリを開くと案の定だった。

Bがスタンプを怒涛の勢いで連打していたようだ。

我々の敬愛するバキバキ童貞こと、春とヒコーキのぐんぴぃのスタンプだ。

画面いっぱいに送られたぐんぴぃに微笑みを浮かべながら私もメッセージを送った。

「はじめまして
ここなら趣味の話を思う存分していいと聞きました😌
まだはじめたばかりの新参者ですが何卒よろしくお願いいたします」

投資系グループLINEに迷い込んだ何も分かっていないスカトロ愛好者だ。

ただ、スカトロとは一言も言っていないためどうとでも取れる。

さあ、どうなる。
笑いながらLINEを見つめていたその瞬間。

「〇〇がグループを退会しました」

なんてことだ。
1人の人間を退会に追い込んでしまった。
この調子で全員を退会させよう。
そう思ったもののしばらく動きはなく、なにか追撃してみようとAとB相談し、このグループでは自己紹介など必要なのか質問をメンション付きで投げてみた。
@ALLで。


結果、まずはBがグループから削除されてしまった。
そして次はAも削除された。
まずい、我々が追い出されてしまう。

急ぎ私はグループの招待画面を開き、すぐに見つかったBを招待した。

その刹那私のLINEからスカトロ愛好会はなくなり、「メンバーなし」にと虚しく表示されていた。

もはやこれまでか…Bの招待も間に合わなかったかもしれないな…と諦めかけたその時、メンバーなしからまたスカトロ愛好会へと表示が変わった!

Bの招待が間に合っていたのだ。
すぐさまBは私とAを招待し直し、叫んだ。

「仲間に入れてください!!!!
同じ趣味の仲間じゃないですか!!!!」

そうだ、我々は仲間だ。

私も声を高らかに叫ぼうとしたが、運命とは残酷なものだ。
また追い出されてしまった。

だが不思議と嫌な気持ちはしなかった。

だって所詮は怪しいグループだったしどうでもいいし。
それに何より私にスカトロ趣味は無い。

ただ、あの瞬間私は確かにスカトロ愛好者だった。
普段は大きな声で話せないことを思う存分話す場を与えられた人間だった。

きっとその瞳はすごく輝いていたと思う。


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