無添加スープカレー

以前に無添加スープカレーを作って、期間限定でお店で販売したことがあります。

無添加スープカレーと有機野菜のピクルス


スープカレーと言えば、僕の出身地である札幌の有名な料理です。
3日間だけの販売でしたが、気に入ってくれてリピートしてくれるお客さんもいて、嬉しかった記憶があります。
無添加カレーを作りたかったのは、コンソメや鶏がらスープの元などの化学調味料を使わず、自然の素材だけでどこまでの出汁が作れるかに興味があったからです。
まず、参考にしたのがフォンドボー、鶏肉からの出汁、豆から出る出汁、そして羊の脂です。
フォンドボーは、定番のセロリ、トマト、玉ねぎ、ニンニク、ローレルの葉、そして鳥の手羽先、手羽元を、いったんオーブンで軽く焦げ目がつくまでローストしました。
ちなみに野菜類は有機野菜を使いました。
鶏肉からの出汁ですが、部位によって出汁の味わいが異なります。
有名なのが鶏がらからの出汁ですが、実際何度かやってみましたが、割とあっさりした出汁になるので、水炊きや鍋用の出汁として使うのが向いていると感じました。
鶏がらに対して、手羽先と手羽元は、骨だけでなく皮からも出汁が出て、ちょうど自分が求めているカレー用に適していると感じました。
本当のフォンドボーは牛骨を使うらしいのですが、単純に牛骨が手に入らなかったので、手羽先と手羽元で代用しました。
さて、ローストした野菜と鶏肉は、いったん強火で沸騰させたお湯に入れて、アクを取り、アクが出なくなってからは、弱火で3時間煮込みました。

手羽先と手羽元を使ったフォンドボー


次に、大豆ですが、いったん下茹でしたあと湯切りを行い、再度沸騰させたお湯に大豆を入れ、弱火で4時間煮込みました。
途中アクが出るので、適度にアクを取り除きました。
大豆を使う理由は、大豆から出る出汁が、旨いからです。
以前、テキサスに住んでいた時に、テックスメックス(テキサス・メキシコ)料理のフリホーレスという豆をコンソメで煮たスープをいただいたのですが、あまりの旨さに虜になってしまいました。
住んでいたのがテキサスのド田舎で、近くに日本料理店もなく、当然日本の食材も手に入れにくかったので、正直、日本食に飢えていました。
そこで出会ったのがフリホーレスです。
スープを飲んだ瞬間、懐かしいみそ汁と通じる美味しさがあったのです。
よく考えれば、味噌と言えば大豆で、しょうゆも大豆でできています。
今まで使用してきた大豆は、すでに茹でてある水煮の大豆を使っていましたが、水煮の大豆は、だし汁がほとんど含まれていません。
なので、今回は煮汁も欲しかったので、生の大豆から茹でることにしました。
大豆も有機栽培の大豆です。

大豆を煮込んでいる様子


最後に隠し味で、ラム肉もフォンドボーに入れることにしました。
ラム肉と言えば、僕の出身地である北海道のジンギスカンです。
ジンギスカンで焼いたラム肉も美味しいのですが、もっと美味しいものがあります。
それが羊の脂で焼いた野菜です。
ジンギスカン鍋は、真ん中が隆起していて、そこでラム肉を焼きます。
すると羊の脂が縁に流れていきます。
野菜は鍋の縁に並べるのですが、これが旨いんです。
じつは、海外では羊の最上の部位は脂であるとされています。
つまり、羊の一番美味しいのは脂ということになります。
なので、今回は羊の脂を出汁にするために隠し味で入れました。
ただ、ラム肉は独特の香りがあるため、苦手な人は苦手です。
今回は、そんなラム肉が苦手な人も、言われなければ気づかないほどラム肉の匂いを消す下処理をしました。
さて、次に準備をしたのが、玉ねぎのみじん切り、ニンニクのみじん切り、ショウガのみじん切りとトマトペーストです。
フライパンにバターを敷き、弱火でみじん切りにした野菜類を炒めます。
野菜が焦げそうになったら、差し水を入れて、じっくり炒めます。
途中からトマトペーストも加え、トマトの成分が化学変化を起こすまで一緒に炒めています。
1時間くらいして、玉ねぎがあめ色になったら完了です。
この時点で、フォンドボーに3時間、大豆に4時間、そして玉ねぎを炒めるので1時間、合計8時間の手間がかかったことになります。
さて、下準備が整ったら、いよいよカレー作りです。
煮込んだ野菜は細かく刻んで、とけるまで煮込みます。
手羽先と手羽元は、骨から肉を取り分け、お肉はカレーの具材にします。
軟骨までトロトロになるので、骨以外食べられる部分はすべて使います。
次にフライパンにバターをしいて、ターメリック、クミン、オレガノ、バジル、コリアンダー、チリペッパー、パプリカ、コショウをブレンドしたスパイスを入れ、香りを引き立てます。
これを、下準備したフォンドボー、大豆煮と混ぜて、寸胴鍋で弱火で加熱していきます。
寸胴鍋には、さらにココナツミルクとヨーグルトを加え、きび砂糖も加えていきます。
ココナツミルクの香りを残すため、沸騰する寸前で火を止めます。
最後に塩を加え、味を調えていきます。
完成したカレーは、一晩寝かせます。

完成したスープカレー


ちょうど真冬の季節で、キッチンはエアコンをつけていないので、冷蔵庫よりも寒い状態です。
冷蔵庫を開けた時に、暖かい空気が漏れてきたのには笑ってしまいました。
さて、完成したカレーは一部を冷凍して、プロのシェフをされている知人にも試食してもらいましたが、「一口食べた瞬間に自然の素材だけで作られているのが分かった」と言われました。
また、「これは販売してもよいレベルで、特に女性に受けると思う。」と言われました。
カレーは、自家製ピクルスとセットで、1食500円で販売しました。
自分も試食してみましたが、コンソメや化学調味料を使わなくても、手間と時間をかければしっかりした出汁が出ることがわかりました。
安心、安全な料理でも美味しくなければ、もったいないというのが僕のコンセプトです。
美味しく出来上がって、嬉しかったです。

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