ゆとり齎す荒行
外気温零度によって麻痺した僕の身体には、
ヒートテックではなく、水風呂が解決策。
無理に服を着込む必要なんかそこにはなくて、
着飾った所で越冬なんかできちゃしない。
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九重連山の麓に位置する露天風呂「山恵の湯」と呼ばれる温泉に浸かった。いい湯。バリエーション豊富な露天風呂と弾みまくった会話によって、僕らは黄昏時を跨いだんだ。しわしわになった指と共に薄暗くなっていく景色。今度は、田舎ならではの、星と月の光が足元を照らしてくれる。
その温泉の1つに17℃の水風呂がある。僕の身長が半分にも満たない人が興味本意で右足を入れた瞬間「冷たっ」すぐパパの元に帰っていった。続いて、僕のしわより多い人が堂々と入水。5分以上いた。嘘でしょ。平気な顔が怖いんよ。
そして、僕らも水風呂に漬け込んだ。冷てーよ。首下まで浸かったんだけどさ、感覚がねーもん。ん?じっとしてたら耐えれるぞ、感覚が段々となくなって慣れてきた。まぁほんの3分なんだけどさ。
水風呂を上がると、外気温を感じることができない。濡れた髪は凍っていく中で寒いと一切感じない。いまならガンジーになれるかも?悟ってしまった。んなことどうでもよくて。麻痺した体が冷え切った空気に適応してしまったんだ。
服を着ることで寒さを凌げる、ホットカイロなんていうアクセサリーもある。ただ、この寒さに対抗する方法ってさ、外観を武装するだけではないってことなんだな。自然の恵みによって身体は勝手にコントロールされて、僕らは生きていく。
麻痺してもいいんだ、馬鹿になってもいいんだ。
また、温泉に浸かって、冷水を浴びて、
傲慢に塗れた性格なんか痺れてしまえ。
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