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GEAIM:日本のゲーミングデバイスブランド『DHARMA POINT』の梅村氏にブランド立ち上げや新展開について聞いてきました

公開日:2011-09-26 22:27:16

2011 年 7 月に株式会社クラスト事業譲渡された日本のゲーミングデバイスブランド『DHARMA POINT』の製品開発やサイト運営を担当する梅村 匡明氏にブランド立ち上げや新展開について聞いてきました。

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GEAIM ピープルに 24 回に登場していただいた佐藤カフジ氏に、次の回答者として『DHARMA POINT』の梅村さんをご指名いただいたのですが、梅村さんには以前から「今度インタビューさせてください」とお願いしつつもなかなか実現していませんでしたので、今回お会いして「GEAIM インタビュー」のコーナー用にお話をお聞きしました。

このインタビューは 2011 年 8 月 10 日(水)に秋葉原にて行なったものです。色々とあり、ようやく公開となりました。

会社に内緒で企画を進めて立ち上げられたゲーミングデバイスブランド『DHARMA POINT』

しばらくの沈黙の後に、ゲーミングデバイスブランド『DHARMA POINT』の事業がシグマ A・P・O システム販売株式会社から株式会社クラストに事業譲渡されました。これはどういう経緯で行なわれたのでしょうか?

梅村: そもそもこれはカットされてしまう話だと思うのですが、シグマ自体がキーボードとマウスの事業をやめることにしたわけです。そうするとダーマポイントが浮いてしまうよねと。当時シグマで展開していた量販店用のマウスやキーボードは展開が厳しくなることは数年くらい前からわかっていたことなのですが、これでみんなを食わせていけなくなりそうだったのですね。しかし、会社としてこれといって何か対応をするわけでもなく続けてきたのです

ーなんとかなるだろうと

梅村: なんとかなるだろうと。でも実際はなんとかなるわけがないですよね(笑)。それで、Windows Vista が出る一年くらい前ですか。それ用のマウスが必要になるぞということでいろいろ案をもって海外出張に行っていたのですが、打ち合わせ中に日本から電話がかかってきまして「いまマウス事業を止めることが決定した」と。いやちょっと待ってよ、俺いまここで Vista 用のマウス 5 ~ 6 種類やりますよという話をしているのに…と。

でも結局縮小はしたけれどやめられなかったわけです。僕は会社が止めるのだったら止めて別なところでやった方が良いと思うし、今までのマウス・キーボードなど組織の経験をいかして次のステージにいこうとゲーミングデバイスはどうか?という事を会社に提案したわけです。

OA 用だけやっていても仕方が無いので、次の一手としてゲーミング用のマウスをやるのはどうかと。

梅村: でもその話を提案しても、会社では誰も相手にしませんでしたね。そうこうしているうちに、社内の事情がいろいろあり体制を一新しようと私自身含めて異動等がありました。けど蓋をあけてみれば結局前の体勢とはあまり変わらなかったのですね。個人的にはそれだと意味が無いなと。

そこでとりあえず Vista 用の OA マウスだけはやらしてくれと。実は、それがダーマポイントのゲーミングマウスになるのですね。

ー元々は OA 用だったのですか?

梅村: 元々はというか、会社は僕がゲーミングマウスを作っているということを出来上がるまで知らなかったのですね。(笑)

ーVista 用のマウス作っていますよ、良い感じですよ、とか言いながら作っていたのは実はゲーミングマウス?

梅村: そうです。会社には色々便利な割り当てが出来ますよ、センサーはちょっといいのを使いますよ、というような話をしながら(笑) それで、ダーマポイントの事業が始まる一年くらい前には大体試作品はできあがっていたのですね。当時のセンサーは、6010 かな?

ーAvago のですか?

梅村: そうです。それを使って試作していて色々調べていくうちにマウスだけやっていても生き残れないなと。マウスパッドなど、ラインナップを作らなくてはということでいろいろと考えて作る事にしました。初期は確かマウスパッドが二種類。そのあとヘッドセットやキーボードもですね。

何年くらい前でしたっけ。4 ~ 5 年前とか…?

梅村: 形になり始めたのは 2006 年くらいですね。僕らがリリースする前に SteelSeries さんから Ikari シリーズ のリリースが出ていましたのでおそらく開発時期は同じくらいだと思いますよ。当時って多分、Vista が始まるまえの年でしたので開発は 2005 年かな。

最初は、ティーザーサイトが出たのですよね。最初はどこが始めるブランドかわからなくて。個人的にはエレコムさんとかサンワサプライさんなのかなと思っていたらシグマAPOさんだったという。最初のマウスの名前のコードネームが、確かマングースみたいな感じだったと思うのですけど。Razer の蛇を意識して付けられたのかなと思っていました。

梅村: 当時はまだ品番も決らないのでとりあえずコードネームを付けてやっていました。呼びやすい方が良いのじゃないかなということで途中で変えたりもして。やはりある程度意味づけがあったほうがいのじゃないかなということですね。

で、これをどのタイミングでリリースしようかなと思っていたのですが、そろそろ Vista も出るということで会社からせっつかれるわけですよ。

お前の Vista マウスはどうなっているんだと。

梅村: それまでは他のマウスやカラーリングを変えたバージョンや PC 切り替え機を出してお茶を濁していたのですけど、僕はゲーミングマウスを出すつもりだからそろそろゲームのタイアップ先とかを探さないとまずいぞと。それで動き始めたわけですが、これが悲しいことにどこも相手をしてくれないのですよ。(笑) 

ーオンラインゲームの会社ですか?

梅村: それもあるのですが、最初は Valve に連絡したのですよ。

いきなり Valve …!?

梅村: Valve はまったく反応が無くて、他のところも返信すらなかったですね。で、日本の会社にも色々と連絡したのですがこちらも反応がありません。単純に考えればマウスで、しかも試作しか出来上がっていないところでゲーミングデバイスを展開していくと言っても、まともに信じてくれる会社は普通ないですよね。

ー今後、マウスもパッドもキーボードもすごい製品が出ますよと言っても。

梅村: で、唯一アポイントがとれたのが EA さんだったのですよ。営業の人間にツテがあったので、その細い繋がりにしがみついて構想を話しに行ったわけです。でも、EA さんはグローバルに展開されているので、「ワールドワイドで出来ないと、いろいろ展開するのは難しいですよ、ゲームスタジオさんと話が付かないと」というような返事でした。でも「Valve さんには相手にもしてもらえなかったんです」なんて言えないじゃないですか(笑)

そこで色々と考えたのですが、FPS といえばミリタリー系がかならずひっかかるだろうという、すごく甘い予想で、とある夏の日曜日に当時営業部にいた神尾と会社の女の子と 3 人でミリタリー系の「ブラックホール」というイベントに行ってみたのです。

ーミリタリーファンの方が集うイベントですか?

梅村: そうです。「日本兵がいる!」「あそこでドイツ兵がヒトラーに敬礼しているぞ!」とか言いながら会場を見て回りました。一通り楽しんだのですがあまり収穫は無かったなと思って帰ろうとしたら、展示コーナーにゲームヤロウ、当時ゲームハイのマーケティングを担当されていた方が 1 人でオープン前の『サドンアタック』の PR をされていたのです。失礼な話ですけど 14 インチ TV でサドンアタックのビデオ上映とチラシだけですっごいヒマそうでした(笑) とりあえずダメもとで声をおかけして、今度お話をさせてくださいということでようやくアポが取れたんです。

ー当時の『サドンアタック』はそんなカンジでしたか…。それにしてもとりあえず行ってみるものですね(笑)

梅村: 本当に偶然でした。そしてしばらくしてゲームハイさんに行った時に、当時『サドンアタック』の公式インストラクターだった KeNNy さんにお会いしました。そして KeNNy さんに使ってもらって意見をいただいたりして。「IE3.0(Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0) みたいじゃないとダメですよ」とかまたまた厳しい意見で(笑)

他には『カウンターストライク NEO』がプレイできる蒲田の LEDZONE に足を運んだり、まだ発売もしていないのにいろいろなところに行きましたね。

その後くらいに『True Combat: Japan』ですか、彼らが夏に東京のネットカフェで TC:E の大会をやるというのを聞きまして。後の『CyAC』の前身ですね。当時、僕らの情報に入ってきていたオフラインの FPS イベントってそれしかなかったんですよ。彼らに連絡してみたらこういうことがしたいというので、じゃあ、そこに加わらせてくれないかとお願いしました。

そのイベントで公開前のマウスを参加者のみなさんに使って頂きました。一般の方が使ったのはその時が初めてですね。その時に何人かに声をおかけして試作品を 2 週間くらい使っていただいてレポートを出してもらいました。その当時の試作品は、サイドのラバーが無かったりいろいろあって、それぞれ違うわけです。その使用感などをレポートしてもらいました。いい意見はプレゼン資料に載せて(笑)

なるほど。そのプレゼンの後で『ダーマポイント』プロジェクトのゴーサインが出たのでしょうか?

梅村: いやーそれでも GO は出なかったんです。でも神尾がおもしろがっていて「注文取れました!」と言っていたりして受注を取り始めていたんですね。「買う人います!」と言っていたりして。多分ウソだったと思うんですけど(笑)

ーそこは機転が利いたサポートだったんですね(笑)

梅村: それでもうやりましょうということになりまして。神尾さまさまですね。

「ダーマポイント」プロジェクト正式スタート

ー「ダーマポイント」というブランド名にしたのはなぜですか?

梅村: もともと世界で販売しようともくろんでいましたので英語を由来とするブランド名でないほうが埋没しないでいいだろうと英語以外の言葉を探していました。トイレットペーパーから ICBM まで取り扱うアジアの会社のイメージがでれば面白いなと思っていました。

最初にお話した社内での一件があったので冗談半分で転職の意味がありました。ドラクエですね(笑) でもよく調べてみると dharma の意味はサンスクリット語で禅宗開祖「Bodhi-dharma」の音写「菩提達磨」でもあったのでだるまといえば七転び八起きじゃないですか。

それに禅問答が論理的な考え方をしているだけでは絶対に解けない不合理や矛盾を含んだ問題を何年も考えてようやく論理の壁を破って「悟り」という解答がでるかどうかというところにも「dharma」言葉に魅力を感じました。まあ単純に禅宗開祖のありがたい御利益があるのかなと思ったんですけど(笑) “ダーマ”というのは割合、初期にきまりましたね。“ポイント”は自分たちがニッチなのは承知してましたので(笑) 点を表す意味がついて最終的に“ダーマポイント”となりました。

最初のデザインロゴは梵字をあしらったものだったんですがある程度世界での販売を想定していたこともあったので宗教色はよくないだろうと現在の現代的なロゴに改めました。当時のデザイナーにドイツの銃器メーカー“ヘッケラー & コッホ”の WEB サイトを紹介したら今のロゴができあがりました。全然 H&K とロゴが違うのでなんでこのロゴになったのかは謎ですね。(笑)

ーそれで名前は正式に「ダーマポイント」となってプロジェクトがスタートしたわけですね。

梅村: しばらくして秋葉原の PC ショップ『PC Ark』でゲーミングデバイス等を担当されている桐山さんのところにお伺いして、こういう事をやろうと思っているんでご意見を聞かせてくださいとお願いしたら「ゲーミング関係は大変だから辞めた方がいい」とまた怖いこと言われたんですね(笑)。いろいろアドバイスをいただいて、でも結局は辞めなかったんです。

それで結局『ダーマポイント』製品としてリリースを出すことになりまして、その前にティザーサイトをやりたかったので色々な所にお話をしに行ったのですが、ちゃんと聞いてくれたのは 4gamer.net さんと Game Watch さんでした。4Gamer.net さんにお会いした時にはすでに Ark さんから話が流れていたようでした(笑)話をさせて頂くとどうやら興味を持って頂けていたようでした。

他にもアマゾンさんにもお話をしにいかせて頂いていて。アマゾンの担当の方に「マウスとマウスパッドを買うと 1 万円になるんですよ」というお話をしたのですが、高くて怒られると思ったら「高くて良いね!」という反応でした。アマゾンの方はそれでまとまったと。取り次いでいただいていた担当の方も『バトルフィールド』シリーズをプレーされていてゲーマーの方だったんです。最期は色々な方に電話をして取り扱って頂けないかお願いしたのですが、当時はリリース前で何の知名度もないので今となっては覚えていない方も多いのではないでしょうか。

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一番最初にリリースした DHARMA TACTICAL MOUSE と DHARMA TACTICAL PAD

そのあとは、ゲームヤロウさんからのご紹介で LAN パーティの『BIGLAN』に絡ませてほしいと長縄さんにお願いをさせていただいて、長縄さんがそれならと当時、イベントを担当されていた株式会社 成さんが放送していた SACTL の予選にお邪魔してはじめて BRZRK さんにお会いしました。

そこで予選配信を見ていた BRZRK さんがすごく興奮していまして「いままで見ていた大会とサドンアタックの大会は観戦者数のケタが違う」と。それで SACTL の規模はすごいんだなと思いましたね。その後から、当時ゲームヤロウにいらっしゃった岩間さんやゲームライターの佐藤カフジさんなど、いままでまったく反応がなかった扉が開かれるようにとにかくいろいろな方にお会いすることができました。思えば Yossy さんも同じタイミングでしたね。そして SACTL の最終日に当時 4Gamer.net でゲーミングマウスのレビューをしていた Crize さんとお会いしました。

ーあー、なるほど。その頃は今と違って彼がレビューしていましたね。

梅村: 最初にゲームマウスを作ろうと思った時に Crize さんのレビューを参考にさせてもらっていたんです。ゲーミングマウスのレビューや批評において、ある程度の基準を設けて書いていたのは当時彼だけだったと思うんです。だから、Crize さんがレビューしていなかったらダーマポイントは無かったかも知れないですね。なので、初めてお会いした時に感謝しているという事をお伝えしたんですよ。

ー多分、それを聞いたら「ダーマポイントはワシが育てた」とか言いますよ(笑)

梅村: いや、でも本当にそれは間違いないですよ(笑) KeNNy さんやいろいろな方からたくさんの意見をいただいて完成しましたから。そういう意味では本当にみなさんのおかげです。

マウスのゲームプリセットに Doom など化石クラスのタイトルがありますけどそれは BRZRK さんのアイデアです。SACTL で優勝記念マウスを贈ろうとおもったのも、自分たちなりの感謝を表明したかったのかもしれませんね。

製品を初めてリリースした後の反応はどうでしたか?評判とか。

梅村: そうですね、アマゾンのマウス部門でランキング 1 位になったんですよ。それまでの OA 用マウスではそんなことはなかったので、記念にスクリーンショットを取りましたね。リリースしてよかったのは各ゲーム関係各社へご連絡さしあげたときに以前とちがって話が非常に通りやすくなりました。(笑)

Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0 ライクなマウスを作らなかった理由

ーゲーマーからするとなぜ各メーカーは Microsoft IntelliMouse Explorer 3.0 のパワーアップ版的なものを作って出さないんだという意見が少なからずあると思うんですよ。IE3.0 の形状は良いけど、実際のところポーリングレートやセンサー性能は、最新のゲーミングマウスと比較すると劣っているのは間違いないと。ではなぜ形状が IE3.0 でスペックを上げたようなものを出さないのでしょうか? 想像では形状に特許があって使えないとかそういう事もあるのかと思っているのですが。

梅村: IE3.0 みたいなものを出さなかったのは、どうせ作るなら違うものをやろうということですね。軽量なマウスは当時ほとんどなかったのでそれをやろうと思いました。

IE3.0 って、発売当初は 7,000 円以上したマイクロソフトのフラッグシップモデルなんです。大量に量産する事で徐々に価格が下がって現在の価格になっているんです。ですから、新しいものを現在の価格で少数ロットでやろうとするとメモリとかマイコンの性能を下げて価格を落とすということになるんですよね。

やはり、ゲーミングデバイスを作る人間にとって、IE3.0 的なものを作ろうという結論に達するのは敗北を意味することだと思うんです。他に主張するべきことが無いデバイスブランドということになってしまうわけじゃないですか。主張が無いのであれば、単純に OEM を作らせてくださいと頭を下げるだけのことだと思うんです。

僕らが作ったモノというのは、お客さんの側から見ると求めているものではなかったかもしれないけど、製品選択の幅を広げることになったと思っています。それはもう完全に考え方次第で、どちらが良い、悪いではないと思います。最初に IE3.0 のような製品を出して開発資金を稼いで、それから自分たちが作りたいデバイスを作るという方法もあると思います。ただ当時の僕たちは IE3.0 ライクなマウスを作る事を選択しなかったということです。

ー自分たちが作りたいマウスを作るという。

梅村: たぶんこれが最初で最後のマウスになるのかなと思ってましたから。最初がダメでも次がある状況ではなかったです。仮に、IE3.0 ライクなマウスを出したとして、出てくる反応として「これ IE3.0 のパクリじゃん」という事がありえますよね。よくわからない新しいブランドがパチモンの IE3.0 を出してきたぞと。

ーそう考えると確かにリスキーですね。

梅村: ZOWIE GEAR さんは IE3.0 ライクなマウスを出しましたが、彼らは元プロゲーマーと開発してベストと思うマウスを作りましたという触れ込みで作っているから出来ている事だと思うんですよね。

ーなるほど。そうお聞きするとなぜ単純に IE3.0 的なものを作らないのだろうと思っていましたが、難しい判断ということがわかりますね。

梅村: マウスに重りをつけるという事については全く理解出来ないですね。それが何の意味があるか具体的なメリットを説明している所って全くないんですよね。誰も答えられない機能が搭載されているというのはどういうことなんだろうと。

ープレスリリースを出したりする際に特徴を増やしたいために付けているということですよね。実際に有益だと思っている人もいるんでしょうけど、個人的には魅力的なものではないですね。

梅村: 僕らが量販店用の OA マウスで、赤いマウスと黄色いマウスを出しているのと何ら変わりが無いことなんですよね。イメージ的な問題。それをユーザーさんが受け入れているのか、懐疑的なのかというのはよくわからなかったですけど。でも僕らが軽量をコンセプトにマウスを売りに製品を出したら余計なものが付いていないという事で評価されて、良かったのかなと思いました。

ー軽いし、余計なものもないし。

梅村: SteelSeries さんが LED やウェイトは勝利するためのデバイスとして必要ないという宣言をしていたじゃないですか。それは僕らもそう思っていて同意できる部分でした。言い方はどうかと思いましたけど(笑) でもすごく正しい意見だなと思いますね。考えていくと同じ結論に達するのかもしれないですね。

ー『DHARMA POINT』の製品には LED ってほとんど付いていないですよね。LED に否定的だったところが、最近の製品には LED を搭載したものが出してきています。『DHARMA POINT』では付けようと思ったりはしませんか?

梅村: 海外のバイヤーさんと話をすると言われますね。なんで LED が付いていないんだと。あとは重りも…。重りの方に関してはもう説明するのも面倒くさいんですよね(笑) LED については付けると熱くなるんですよね。ですから、熱くならなくて消費電力が少なくてというのであればあっても良いとは思っていますよ。

ーLED を付けてを熱くないようにするにはどうするんでしょう。ガワを厚くするんですか?

梅村: そうです。でもそうすると重くなってしまうのですよね。でも、僕らとしては光らせることを否定しているわけではないですね。先ほどのとおり、熱くなくて消費電力が少なくて重くならないのであればもういくらでも光らせますよ。まぶしいくらいに(笑)

まあ、何を優先するかという事ですね。今後そういうのを付けるという事もあるかもしれませんが、いまはそうなっていないということです。

イベントや大会へのゲーミングデバイスの提供は適切だったのか?

ー僕はニュースサイトをやっている関係で「どうしたら大会やイベントのスポンサードしてもらえるのでしょうか?」という問い合わせを時々受ける事があります。正直、それぞれかなり常識や意識に差があって、びっくりする問い合わせだと「ちょろっとマウスパッドを賞品として出して貰おうと思っているんですが」とか「なるべく高いのをたくさん出してもらいたいんですよね」というのがあったりとか。以前自分のブログに書いたのですが、ちゃんと提案としてやらないとダメですよということを返信したりしていたんですが。

梅村: さすがに「くれ」とか「大会やりたいんですけど、どうしたらスポンサーになってもらえますか?」と一行だけ書いて名前がないようなものはお断りします。誤解があるといけないのですが基本的にこちらから「デバイスを賞品として出しましょうか?」とか「出させてもらえませんか?」とお願いするということはほとんどなかったですね。

サドンアタックでユーザー大会を初期に企画した人がいたのですが、ちょうど大会の時に公式のサーバーが不調でイベントが延期になってしまったという事があったんです。そこの運営者さんがいる IRC チャンネルにたまたま入っていたので結構がんばっていたのは知っていたのですが、完全にお通夜モードになってしまっていました。せっかくたくさん参加者も集まったのに残念だな、と思ったので主催者の方に「もし良かったら賞品としてデバイスを提供するので、1 度延期してもう一回やってみませんか?」と提案しました。多分、こちらから賞品を出させて頂くというお話をしたのはその時くらいですね。

ーなんていうんでしょう。個人的な感想ですが、各ゲーミングデバイスブランドが一時期過剰にユーザー大会に賞品を提供している時期があったなと思っているんですね。僕は簡単にもらえるものだと思われると製品価値が下がるから安易に出すのは止めた方がいいのではと思っていたのですが。

梅村: 僕ら的にはあまり無差別に配っていたということはないんですよ。ダーマポイントに声をかけるともらえるというのがどこかで広まっていたのかも知れないですね。

ーええ。なんかこう、言えばもらえるみたいなのがあったように感じていました。

梅村: 僕らの場合は、問い合わせをしてきてくれた主催者の方にお話を聞いて、もしこの日に開催が出来なかったらどうしますか?予備日はもうけてありますか?など、最初の件があったので大会が滞ることなく運営できるよういろいろ質問しています。問い合わせることがある場合は IRC に来て聞いてください、ではなく問い合わせフォームを作っておきましょうとか。一人でやろうとしていませんか?とか。そこで返信が無くなってしまう人もいますし、こちらの意見を聞いて改善して運営されていた方もいました。そこまでやってくれて参加されるみなさんが楽しめるのであれば出さない理由がなかったということです。

※当時のスポンサードに関するガイドライン資料(pdf)
※現在は体勢が変更となっているため、上記のガイドラインを満たしても無条件で協賛を実施するわけではないそうです

ー実際にはいろいろな基準があったんですね…。

梅村: プレイヤーに関しては韓国で開催された e-Stars に視察にいったんですが、MYM など海外プロチームが来ていて試合をみると彼らはプレイする姿勢が違うと思いましたね。観客に見られることを意識してプレイしているんですね。

ーCounter-Strike のですね。毎年やっていますね。

梅村: ですね。オフラインで見られることを意識しているところが日本とは違う感じがしましたね。日本だと、普段はゲームの上手い人がいきなり箱の中から取り出されたみたいに萎縮してガチガチになってしまうこともありますので。彼らのようにオフラインでのアピールができるようになるにはやはりプレイ人口が増えてオフラインの機会が増えないと厳しいのかなとも思いますね。

ー日本ではやはり難しいですかねえ。

梅村: でも、格ゲーではちゃんと出てきているじゃないですか。

ーあれはカリスマがいたり、わかりやすさや認知度が違うなというのもあると思うんですよね。確かに、何が違うのかは興味がありますね。

梅村: 調べてみると面白そうですね。

ゲーミングデバイスレビューについて思うこと

ーユーザーさんのレビューはよく読んだりしますか? ユーザーレビューはどう思いますか? 個人的にサイトでもやっていたりして、上手く説明したり違いを表現したりするのが難しくて苦労しているのですが。

梅村: 読みますよ。なんというか一言で言うと、若い方が多いので背景のデータベースがあまりないのかなと思います。ある程度色々なものを試してそれを元に論ずるということがなかなか出来ていないのかなと思っています。

デバイスでもゲームでもそうだと思いますけど,ゲーマーとして、そのあたりが出来ると非常に良いと思いますね。例えばただ単に「クソゲー」と言われても良くわからないので、「なんでクソゲーなのか」と思うところをはっきりさせるように書くとか。比較してどこが良いとか、この作品は何の影響を受けているのかとか背景をしっかりさせると。でも、あまりそういう動きがないのは残念ですね。

デバイスレビューではないですけど、ゲームだとゲーム批評サイトの『GAME LIFE』さんが最近すごく出来上がってきてると思います。前に掲載されていた「MineCraft」の記事が非常に素晴らしくてダーマポイントサイトでも批評の批評みたいで変な記事でしたけどご紹介させていただいて、『GAME LIFE』さんの記事はすごくよく考えられていますよね。たんなる印象批評を逸脱してきたというか。

ーそうですね。「GAME LIFE」さんは、すごく良いサイトだなと思います。最近 Twitter のタイムラインを見ていても結構 URL を目にする回数が増えてきています。みなさん、記事が面白いと思っているから記事について発言していると思うんですよね。海外記事を翻訳するだけではなくてオリジナルの記事を作っていたりして独自性のあるサイトで、運営されている方はすごい人だなと思っています。1 度 GEAIM でお話を聞かせてもらうと面白そうだなと思っていますね。

梅村: そうですね。すごく良いと思いますよ。おそらく、運営者の方がゲームに対して、ある程度の基準点を自分の中で持っていて話をしているんじゃないでしょうか。『Edge』というイギリスの素晴らしいゲームマガジンがあるのですがオタクじみたところがなくてレビューも読み物として楽しめるというところに同じ雰囲気を感じますね。ちゃんとゲームの歴史を知識として持っているから記事に安定感がありますよね。

ー個人的にも結構興味深いと思っていて、どんな方がやっているのかなと思ってプロフィール等を探したのですがサイトには書いてないんですよね。以前にメールを頂いた事があったのを思い出して、ちょうど最近見直してお名前とかハンドルとか思い出したのですが。サイトには掲載されていないので記事では書かない方が良いのかも知れませんけど。

梅村: 謎ですね、どんな方なんでしょうかね? 1 度お話させていただく機会があれば面白いお話が聞けるかと思います。先ほどの話に戻りますけど、言いたいことはやはりレビューというのはやり続けてきた結果で背景の「データベース」が大事ということなんですよね。

ーデバイスレビューという話とはちょっとズレてきましたが(笑)、ゲームで気になるサイトという感じでしょうか?

梅村: そうですね。気になるゲーム情報サイトですね。

DHARMA POINT の新展開や新製品はどうなる?

ーブランドの立ち上げや個人的に気になることを聞いてきましたが、新生ダーマポイントの展開としてはどうでしょうか? 親会社が変わったことにより、展開も変更になったりするのでしょうか?詳しい事は言えないかも知れませんが、新デバイスはの開発は進んでいますか?

梅村: 基本的には変わらないように努めています。これまでどおり、ダーマポイントらしい製品を作っていければと思います。現状の販売は信頼のおける販売店さまで製品を取り扱っていただいて展開していきます。

ちょうど今日、開発中のデバイスを持ってきたんですよ。いくつかあるんですけど。一つ目はワイヤレスヘッドセットですね。機能を絞ってケーブルタイプの代替になるような製品を目指しています。オーディオ IC を変えたり、いろいろいじっていますけど完成に近づいています。家で実験を兼ねて試用しているんですけど、とても便利ですよ。有線だと「飲み物を取りに行ってきます」と言ってミュートしたりしないといけないですけどワイヤレスなのでそのまま会話しながらキッチンに歩いて行ったり(笑)充電式なんですけど電池が無くなってもチャージしながら使用できるのでほぼひっきり無しにつかってます。

ーこれは良さそうですね。個人的にヘッドセットが 3 個くらい連続で断線していて…。コードがない方がそういうことが無くて良いのかなと思っているんですよね。 エレクターみたいなラックにかけてあるんですけど子供がコードを引っ張るんですよね。

梅村: あー、それはきついですね。断線しちゃいますね(笑)。あとはイスのキャスターに巻き込まれるケースですね。

次は、布系のマウスパッドです。ルーペがあるので表面を拡大して見て頂くと面白いと思いますよ。堅い PET 樹脂の繊維でペットボトルに使われているような素材で構成したパッドです。 織りが立体的になっていて、マウスを点で支えるイメージですね。

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マウスパッドの表面拡大写真。

ー拡大すると面白いですね。こうやってパッドを見るのは新鮮かな。

梅村: 他のもありますよ。こっちはシリコンのパッドです。

ーすごく滑りそうですね。シリコンだけど一般的なシリコン製とは違いますね。

梅村: そうですね。さらさらとした感触ですけどよく滑ります。気持ちいい系です。光の反射の仕方が他のパッドとはちょっと違うんですよね。再帰性反射といいまして…

ー全然わからないです(笑)

梅村: 普通は光を当てると様々な方向に拡散してしまうんですが、この素材は光が入ると屈折反射して入った方向にまた戻っていくんですね。今まで拡散していた光がトラッキングにちょうどいい状態で取捨選択されるイメージですね。ルーペで見ると細かいところが見えるんですけど。

ーこの場所が暗すぎて見えない…。でも聞いていると面白そうなマウスパッドですね。

梅村: これは知らない人に試してもらうと滑り心地が良くて最初に必ずニヤッと笑うパッドなんですよね。

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見えないと言っていたので提供いただいたシリコンパッドの表面写真

ーこれらはいつリリース予定ですか?

梅村: もうすぐ出そうと思っているものです。マウスも来年早々には出せそうかなという感じですね。

※先日公開された 4Gamer.net さんのインタビューでは今後の展開についての詳細を読むことが出来る他、新製品の製品写真を見ることができます。


終わりに

ー本日は色々とお話を聞かせて頂きましてありがとうございました。おつきあいは長いですが、このような形でお話しさせて頂くのは初めてで面白かったです。今後の DP の展開や読者の方に何かメッセージ等がありましたらお願い出来ますでしょうか。

梅村: おかげさまで、『ダーマポイント』は新しいスタートを切ることができました。あれから日本でもゲーミングデバイスがとても増えたように思います。それはそれで大変素晴らしいことですが、一方で PC ゲームはオワコンなんて言葉も聞かれます。スマートフォンやセットトップボックスなどゲームプラットフォームがどんどん出てきて日々のニュースを彩っています。

たしかに一見すると PC ゲームは元気がないように見えますが僕らはそう思っていません。むしろハードの価格性能比がさがってきたこれからのほうが面白いことになると思います。

よく考えてみてください。スマートフォンでも PS3 でも XBOX でも結局どのプラットフォームでもゲームをつくっているのは PC です。そして PC ゲーマーがグラボを買う前のワクワク感や性能について友人と話す楽しみ、コミュニティによる MOD のパワーはコンシューマーゲームには無いものです。どうかそんな贅沢な楽しみを知らない他のゲーマーにその楽しみを伝えてください。

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梅村さんありがとうございました。カットになると思うのですが、という前提で話していただいていたことが、チェックではそのまま残されたままで結構驚きました。

見せていただいた新製品のプロトタイプはなかなか面白そうなものでした。これからどのように仕上がっていくのか、どんな製品が出てくるのか楽しみです。

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『GEAIM』は「Game」や「esports」でがんばっている方、活躍されている方々にターゲットをあわせて(AIM)、お話を伺いし紹介していくインタビューをメインにしたブログです。こちらはそのアーカイブマガジンです。 「GEAIM」は、紹介文に登場するキーワード「Game」「E-Sports」「AIM」を組み合わせた造語で「ジーエイム」と読みます。「GEAIM」を強引に発音すると「ゲーム」と響きが似ているので、この略語にしてみました。

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