「静かな朝」

カチャ。

ヤギ小屋の鍵を開ける。

いつもの声がしない。

ゆきみがゆっくりと歩いてくる。

「おはよう。」

ゆきみは、心配そうに、わたしの顔を覗き込む。

いつもは、走って先に餌箱に行って待ってるのに、わたしのそばをウロウロしながら一緒に歩く。

餌箱をあけると、いつもよりたくさん餌が残っていた。

ゆきみ、食欲ないの？？？大丈夫？？？
と一瞬心配になった。

昨日いつものように2匹分をあげたんだ、、と
すぐに思い直した。

餌を入れると、ゆきみが静かに食べ始める。

…やっぱり「だいふく」は居ない。

いつも2匹で勢いよく、餌箱に顔を突っ込んでいた。

餌を別々のトレイに入れても結局、代わりばんこに食べるし、別々の場所で食べさせてみたりもしたけど、結局大きい餌箱に落ち着いて、押し合いながら食べていた。

「いってくるね、ゆきみ」

と言っても、食事中は、食べることに一生懸命だ。ゆきみは、いつも通りでよかった。

-------ヤギ是好日。-------（1）静かな朝