海外送金について解説
先月の日経新聞で、ブロックチェーンの技術を使った海外送金の仕組みを新しく作ることが報道されていました。
今回は現状の海外送金の仕組みについてをの解説を投稿いたします。
コルレス契約とは
現状の海外送金を理解するにあたって、知らないといけない用語が「コルレス(Correspondent Banking Agreement)契約」です。
コルレス契約とは、国際的な送金や金融サービスを提供する際の銀行間で締結する欠かせない仕組みです。例えば、ある国に支店を持たない銀行が、その国の顧客に資金送金を行う際に、現地の銀行とコルレス契約を結び、その銀行を通じて取引を行うことを言います。
グローバル企業を担当したことのある銀行員は経験があるかと思いますが、最終的な送金先が自行とコルレス契約がない場合、その銀行とコルレス契約のある銀行を経由して送金され、最終的な送金先まで資金が届くまでに、何行か経由して送金が行われることもあり、いつ着金になりますかとお客さまから若干クレーム気味で問い合わせされることがあります。各行送金の処理を行うスピードが違い、自行ではコントロールができないので、予想が難しいと言うのが正直なところです。
最近のトレンド
近年、コルレス契約を取り巻く環境にはいくつかの変化が見られます。特に注目すべきトレンドとしては以下が挙げられます。
規制の強化とリスク管理 世界的なマネーロンダリング防止(AML)やテロ資金供与対策(CFT)の規制が強化され、銀行間の取引においても厳格なリスク管理が求められています。これに伴い、銀行はコルレス契約に基づく取引先に対するデューデリジェンスを徹底する必要があります。特に、リスクの高い地域とのコルレス契約に関しては、契約を解除するケースも増えています。この「コルレスリスク」と呼ばれる現象は、特に発展途上国に大きな影響を与えています。
デジタル通貨とフィンテックの台頭 デジタル通貨やフィンテック企業の台頭は、コルレス契約にも影響を与えています。今回の報道にもあるように、従来の銀行間取引を介さずに、ブロックチェーン技術を利用した国際送金が注目されており、一部のフィンテック企業は低コストで高速な決済サービスを提供しています。これにより、従来のコルレス銀行を介した取引が減少する可能性が指摘されています・
まとめ
コルレス契約は国際金融システムの重要な柱であり続けていますが、技術革新や規制強化によって、その形態は変化しつつあります。私個人としてはフィンテックやデジタル通貨の普及が進むことで、業務の効率化や、グローバルベースでのビジネスもスピードがあがると思いますので、新しい技術の活用は賛成です。
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