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彼女に振られたので山暮らししようかと思う。#4

ヨッシャマン、家を売る

JR新幹線に乗って京都に行くようなノリで
そうだ、山暮らししよう。と思ってしまった私。
まずは、何から手を着けようか。
私が第一にしなくてはならないのは、一念発起した本気のダイエッターがぜい肉をそぎ落としていくかのごとくに、無駄なものを手放していくということである。
要は断捨離だ。
その優先順位の最高位は「家」だと思った。
正確には「住宅ローン」である。
借りるときには、貧乏人ですら家が持てるという魔法じみたシステムだと思ったが、それは家族がいてのこと。妻が去り、娘が去り、彼女までがいなくなってしまった今となっては、ローンは足かせであり、私を退屈な日々に縛り付ける呪いのようにさえ思えた。
現実的に考えて、住宅ローンの返済をしながら山暮らしというのは、不可能ではないのかもしれないが相当にきついはずだし、せっかく自然の中で暮らすのであれば自給自足したい。もっと言えば狩猟採集すらしたい。端的に望みを言うならば

仕事などしたくない。

というわけで持ち家を売りに出した。
ローンが完済できて、なおかつ不動産屋さんに手数料を払い、ちょびっと小遣いが残るかという絶妙な価格設定。
住みながら家を売るというのは、けっこう大変だ。
何しろ家を建ててから12年、本気の掃除などしたことないし、幼子がいたせいと猫の破壊工作のおかげで修繕箇所は多いし、いやがらせのように生えてくる雑草と格闘しなくてはならないし。
要は、きれいにしつつ、なおかつそれをキープしながら生活しなくてはならない。
現時点で内覧が3件あった。
まだ契約には至っていない。
合わせて、山林の物件も探さなくてはならない。
私の冒険は始まったばかりである。

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