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【Retty】アフターコロナで再び急成長を狙えるか?(書き起こし)1/3

※本記事は、下記動画の書き起こし記事となっています。

吉田:本日は新企画「ビジョンの裏側」ということで、上場企業が普段なかなか決算説明会等で伝えることが難しい、企業の経営者がどのような思いで事業をやられてるのか、どんな競争優位性を持っていて、今後中長期でどんな成長戦略を持ってるのか等々について根掘り葉堀り聞いていくという企画をやっていきたいと思います。
第1回は、グルメプラットフォームサービスを展開されているRettyさんにお話をお伺いしていきたいと思います。ということで本日は、RettyでIR・経営企画室室長を務められている奥田さんにお越しいただきました。奥田さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

奥田 健太氏(以下、奥田):よろしくお願いします。

吉田:まず早速なんですけど、Rettyさんが今どういったことをやられてる会社さんなのかということについて、簡単に教えていただいてもよろしいですか。

奥田:はい。Rettyは、今ご紹介いただいたようにグルメのサービスをやっておりまして、プラットフォーム上に飲食店の口コミをどんどん書いていけるようになっています。世の中にそういったグルメサービスは色々あると思うんですが、特徴としては、今の時代に合わせた実名での投稿をベースに展開していたり、点数やランキングといったある種画一的な価値の軸を作っていくというよりは色んな人が自分がおすすめしたいお店をどんどん紹介していくことによって、多様化している食のニーズに応えられるようなグルメサービスを作って運営しているような会社です。

吉田:ありがとうございます。Rettyさんが創業されるタイミングでもう既にこういったグルメプラットフォームみたいなサービスを展開されている会社さんっていくつかあったと思うのですが、その中でRettyを創業された経緯みたいなところをお伺いしてもよろしいですか。

奥田:はい。私は代表ではないので創業者の武田の話になるんですが、二つの側面からお話できればなと思っています。
まず一つ、いわゆる「想い」みたいな部分から言うと、2010年に弊社は創業しているのですが、その少し前に代表の武田が起業したいということでアメリカの西海岸の方に起業のネタを探しに1年ぐらい修行しに行っていたのですね。その中で何をやろうかと考えている中で、「せっかく日本でやるんだったら、事業がうまくいった暁に海外でも展開できるように、日本が先進的な分野で起業したい」というような思うに至りました。もちろん日本が先進的な分野は食だけではなく、アニメだったり他にも色々あるのですが、その中でできるだけ多くの人の幸せに携われるのが食なんじゃないか、という思いを持って、武田はこの分野を選んだといいます。

もう一つ、時代背景的な側面で言うと、創業時はデバイスがPCからスマホにどんどん移っていったタイミングでしたよね。日本でiPhoneが発売されたのが2008年で、ちょうどその後、日本でもやっと少しずつスマホが普及してきましたが、Facebookが入ってきた時期にmixiと比較して「匿名vs実名のどちらが制するか」みたいな話が行われていました。この点武田は、アメリカで実名サービスの勢いが凄いという状況を見て、「スマホ×実名のサービスとしてやっていこう」という考えにたどり着いたという、そういった時代背景的な経緯があります。

吉田:そういう経緯があったんですね。ありがとうございます。
ところで、最近御社は「新たな食体験を作り上げ、人生をもっとハッピーに」というビジョンに刷新されたと思うのですが、今回ビジョンを刷新された経緯みたいなものは何かあったりするのでしょうか?

奥田:大きな想いとして、元々ビジョンに掲げていた「食を通じて世界中の人々をハッピーに」というところが変わったというわけではなく、今もそういったことを念頭に置いています。
一方で、やはり最近の飲食業界であったりその周辺業界の事情みたいなものを見ていると、皆さんご存知の通り新型コロナ感染症の影響を受けているですとか、それによって人々の行動が変容している中で、飲食のあり方みたいなものもどんどん変わっていく可能性があるなと思っておりまして。本来的に日本に限らず世界中の食が素晴らしいということは変わらないと思いますが、それをもっと適した形で提供できるように食の形が変わっていくと思っています。その中で我々もそれに何か貢献していきたいという思いがあり、ビジョンを今の時代背景などに合わせて変えたというような背景になります。

吉田:なるほど。僕もビジョンムービーを見たんですけど、めちゃくちゃかっこいいなと思いました笑

要するに、グルメプラットフォームだけをやるという世界観ではなくて、もう少し広い「飲食業界全体を良くしていきたい」みたいな、そういった思いがあるっていうことですかね。

奥田:まさにそうですね。従来我々の提供できていた価値としては、飲食店さんにお客さんをお送りすることであったり、ユーザーの方にとっては良い飲食店が見つかるっていうことだったんですけれども、そこから今後はもっと踏み込んでいきたいという思いの表れでもありますね。

吉田:なるほどありがとうございます。では、Rettyさんが今どんなことをやられてるのかっていうのをもう少し深堀りしていくために、ビジネスモデルを簡単にご説明いただけますでしょうか。

奥田:ビジネスモデルとしては、ユーザーさんサイドから見ると、いわゆる無料で使えるグルメサービスという形になっているんですが、一方で弊社も営利企業として売上を上げていく必要がある中でどういう収益構造になっているかといいますと、大きく二つに分かれています。
一つは飲食店様側からお金をいただくようなビジネスモデル、もう一つはいわゆる広告コンテンツと言われるもので、広告事業であったりデータ事業を通してお金をいただいているというビジネスモデルになっています。

飲食店サイドのお話に関しては、このスキーム自体は他のグルメサービスとそこまで大きく変わっているわけではないのですが、飲食店様からお金をいただくことによって飲食店様はネット予約ができるようになるであったりとか、集客を加速することができるであったり、そういったことを対価としてお金をいただいているようなモデルになります。

一方で広告コンテンツに関しては、そういった飲食店様ではなくて、その周辺業界等の企業の方から広告の出稿をいただいたりですとか、あとは弊社にも色々なデータが溜まっているので、それを食であったりそれ以外の分野でのマーケティングに活かしていただくためのビッグデータを提供させていただくといったこともやっています。

吉田:「マーケティングに活かすためのビッグデータを提供」について、差し支えなければ何か具体例を教えていただくことは可能ですか?

奥田:例えば、自動車のカーナビにグルメの情報が欲しいというようなことを企業様から言われることがあるのですが、そういったところに弊社の全国の飲食店のデータを提供していたりすることもあります。あとはそういった形ではなくても、我々がこれまでオンライン上でのユーザー数をグロースしてきたノウハウみたいなものをデータ化してパッケージ化して、他のメディア様にご提供させていただいたりと、割と幅広いサービスを提供しているようなところあります。

吉田:ありがとうございます。FRM(ファンリレーションシップマネジメント)といった飲食店の集客支援がメインになっていると思うのですが、売上の割合としてはどういう状態になっていますか?

奥田:割合としては今大体6、7割がこの飲食店様の支援をしているビジネスモデルの収益となっています。

吉田:FRMの内訳を見ると、有料会員の中にも通常契約とチェーン店舗向けのトライアル契約というものがあります。あとプレミアム予約というものがあると思うんですけど、この辺りの違い等についても簡単にご説明いただけますか?

奥田:有料お店会員と書かせていただいてるのは、いわゆる飲食店様から固定の金額をいただいているプランになっています。
チェーン店舗向けのトライアルは、数百店舗を展開するチェーン店を対象に、会社様に個別にチューニングして商品を提供していたりします。これは数としては極少数にはなるんですけど、そういったものもあるという状態になっております。
一方でプレミアム予約と書いてある部分は、いわゆる従量課金のモデルと言われるような、1送客あたりの実績に応じて成果報酬のような形でお金をいただくようなビジネスモデルになっております。
最後に、その下に書いている無料お店会員について。こちらはまさに名前の通り無料で使っていただけて、お店様の方で最低限の情報を直していただいたり更新していただけるようなプランになっています。

吉田:なるほど。ちなみに、有料のお店会員は、いきなり有料で始められるケースが多いのか、最初は無料で使ってみて、後から予約機能とかが欲しいなというお店が有料に変えていくケースが多いのかというと、どんな感じでしょうか。

奥田:実態としては最初から有料で使っていただくお店さんが多いですね。ただ一方で我々としては当然できるだけ多くのお店さんに使っていただきたいという思いはあるので、無料で使っていただいてる方に価値を感じていただいて、有料になっていただくっていうことも推し進めていきたいなとは思っております。

吉田:ありがとうございます。
あと、Rettyのユーザー層に特徴みたいなものはあったりするのでしょうか?若い人がよく使っているとか、男性女性がどれくらいの割合なのかとか。

奥田:全ユーザーのデモグラフィー(属性)がどうなっているかというところは、オンラインで物を探している人のデモグラフィーとそこまで大きく変わらないとは思っています。
一方で、先ほどおっしゃっていただいたようにSNS的に凄く頻繁に使っていただく方のデータを見ていると、意外にも30代、40代の利用が多くなっていて、比較的新しいサービスではありながらも、若い人たちだけが使っているというわけではなくて結構ミドル層の方々にも使っていただけています。
それはやはり、それぐらい飲食が好きで、色んなところに行って口コミ投稿していただけるような方は、やはりそういうこだわりであったり時間的な余裕等が必要ということもあるのかもしれません。

吉田:なるほど。そういう意味で言うと、ユーザーとしてRettyのサービスを使うときは、やはり点数をもとにお店を探すというよりかは「このグルメ通の人をフォローして、この人のオススメしているところを探したい」みたい使い方をされている場合が多そうですね。

奥田:そうですね。まさに「この人が言ってるから間違いなさそうだみたいなこともありますし、一方で、ビジネスの会食の店を探さなきゃいけないんだけど、それについて明らかに詳しそうな人がおすすめしているからここは良さそうだとか。色んな軸があると思うんですけど、「この人が言ってるからよさそうだな、間違いなさそうだな」という点は、やはり一つの大きな軸といいますか、ポイントになっているところだと思いますね。

(続く。次回は、Rettyの直近の業績実績と競争優位性等について深掘りしていきます。)


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